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第1章 婚約破棄
Ⅸ.セシルの仕事
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教室で見ていた。
教室の窓から見える中庭で妹と婚約者がキスをしているところを。
知っていた。
ミハエル様の心がグロリアにあることを。
この婚約はミハエルの父、ミロハイト侯爵から申し出て来たものだった。
伯爵家である我が家がそれを撥ね退けるなどできるはずもない。
私の父はかなり渋っていたが最終的に私は頷いたのでこの婚約は成立した。
「あんな大人しい顔をして大胆だな」
「っていうか、これって」
「妹に婚約者取られるとか」
「いい気味ね。氷姫が婚約者を寝取られるなんて」
「あんな使い古しでよければあなた達にも貸してあげるわよ」
「っ」
散々人のことを好き勝手言っているので仕返しとばかりに言うと彼らは顔を真っ赤に染め上げた。
本当に単純な奴ら。
「セシル、その辺にしな。
君達の上流貴族にしては品がないよ」
オルフェンに窘められたのでこれ以上の口論には発展しなかった。
だが、一部の生徒から嘲笑を向けられながら午前中は過ごした。
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
「お嬢様、お迎えに上がりました」
「ありがとう」
「最初に孤児院へ行きますか?」
「いいえ、その前にお店を回りたいわ」
「畏まりました」
授業を午後で切り上げ、校門へ向かうと既にジークが迎えに来ていた。
私はジークのエスコートで馬車に乗り、ジークは私と対面する形で馬車に乗る。
「お嬢様、何かありましたか?」
「え?」
「些かお顔をの色が優れませんが」
相変わらず鋭い。
平気な顔をしている。
クラスメイトだって気づかなかった。
さすがは氷姫。何とも思っていないのだろうと流したのに彼にはバレてしまう。
それでも私は笑って「何でもないわ」と言う。
そうしたら執事の彼は何も言えなくなると分かっているから。
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
「あら、シルちゃんいらっしゃい」
シルとはセシル、私のお忍びの名前だ。
私は今自分が経営しているお店に居る。
そこは庶民対象の美容品を扱っているお店だ。
化粧水、乳液、香水、シャンプーやリンス、ボディーソープなどがある。
無臭の物もあるが花の匂いがついたものもある。
実は、それらは今までこの国にはなく、私が初めて開発したものなのだ。
しかも匂い付きということで貴族も欲しがったのだが私は庶民向けにしたかったので価格はかなり抑えてある。
庶民向けに作っているのだが貴族もこぞって買い始めたので貴族は貴族で別のお店を作って高価格で買ってもらうことにした。
収入の4割は私が経営している孤児院に充てている。
「こんにちは、おばさん。最近はどう?」
「まぁまぁね」
「人員とかは足りているの?」
「そうさね、一人結婚とかで辞めていったから補充がちょっと厳しいかな」
「了解。探してみますね」
「ああ、頼むよ」
其れから店主と3分程話、品物を孤児院ように購入
別の店に向かう。
そこは絵本が売っている。
大人向けの文字の本はあるが絵本などはなかった。
孤児院を経営していると小さい子供の用の本があったらいいなと思った。
その方が文字を覚えやすいし、教材としても利用できるからだ。
勿論、その本屋を経営しているのも私だ。
私はそこの店主と話してから孤児院用に本を購入し別のお店に行く。
それを繰り返してから最後に孤児院へ行った。
「お姉ちゃん、いらっしゃい」
窓から私が来たのが分かったのか子供達が走ってやって来た。
私に抱き着く子供達を見て、先生たちが慌てた。
「止めなさい、あなた達」
「お嬢様のドレスが幾らだと思っているのあなた達、止めなさい」
「平気よ、先生。それより院長はいるかしら?」
「は、はい」
「馬車にみんなへのお土産あるから運んでくれる?」
「はい」
施設から先生が何人か出て来て私が乗って来たのとは別の馬車に乗せていた荷物を受け取って施設の中へ入れていった。
「これ、お菓子、みんなで食べてね。
私は院長先生と話してくるから」
「はい」
子供達は私からお菓子を受け取り、素直に施設の中に入って行った。
「いつもいともすみません」
「いいえ。其れより、何か困ったことはない?」
「そうですね。ちょっと子供が増えているのでお部屋が足りなくなってきましたね」
「そうですか。そろそろ増改築でもしますかね」
「随分、簡単に言いますね」
「簡単にできるように小高い丘に施設を建設したんですよ」
「いえ、そうではなくて費用の方を」
「ああ、それでしたら問題ありませんわ。
そういうことも含めて予算は見積もっているので。
院長先生から言われなかったら私が言っていましたので。
其れに伴い新しい先生も雇用しようと思います。
こちらがその名簿と調査資料です。
他の先生達とよく話し合って決めてください。
因みに私の方でも人と通り会っているので取り敢えずの試験はクリアした人達です」
「分かりました。明日にでも議題に上げてみます」
先生は資料を受け取った。
次にシーズンの時に行われるバザーについて話し合った。
バザーは孤児院の重要な収入源なのだ。
子供達からもどんなのがいいのかを最初にアンケートを取り、その中から先生達が話し合って決めている。
「子供達も増えているので売る物の数を少し増やしてもいいかもしれません」
「そうですわね」
「クッキーは定番ですね」
「はい」
「何か、コーサジュやブローチなどのようなものを作って売るのもいいかもしれません」
「ですが、布や糸などはお値段も張りますし、売り物になるかは」
「私の知り合いから安く買い取ることができます」
「本当ですか!?」
「ええ。それに服屋に行けば余って捨てる布ぐらいありますわ。
それを貰ってきて練習用に使えば問題はありません。
布や糸の調達は私に任せてもらってもよろしいですか?」
「はい、お願いします」
院長先生との話し合いはここまでにして私は子供達の元へ向かった。
「お姉ちゃん、お話終わったの?」
「ええ」
「時間ある?」
「少しなら」
「じゃあ、遊んで」
「ご本読んで」
「では、本を読みましょう。遊んで欲しいものはジークのところへ」
ジークと二手に分かれて子供達と遊んで私達は邸へ帰った。
教室の窓から見える中庭で妹と婚約者がキスをしているところを。
知っていた。
ミハエル様の心がグロリアにあることを。
この婚約はミハエルの父、ミロハイト侯爵から申し出て来たものだった。
伯爵家である我が家がそれを撥ね退けるなどできるはずもない。
私の父はかなり渋っていたが最終的に私は頷いたのでこの婚約は成立した。
「あんな大人しい顔をして大胆だな」
「っていうか、これって」
「妹に婚約者取られるとか」
「いい気味ね。氷姫が婚約者を寝取られるなんて」
「あんな使い古しでよければあなた達にも貸してあげるわよ」
「っ」
散々人のことを好き勝手言っているので仕返しとばかりに言うと彼らは顔を真っ赤に染め上げた。
本当に単純な奴ら。
「セシル、その辺にしな。
君達の上流貴族にしては品がないよ」
オルフェンに窘められたのでこれ以上の口論には発展しなかった。
だが、一部の生徒から嘲笑を向けられながら午前中は過ごした。
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
「お嬢様、お迎えに上がりました」
「ありがとう」
「最初に孤児院へ行きますか?」
「いいえ、その前にお店を回りたいわ」
「畏まりました」
授業を午後で切り上げ、校門へ向かうと既にジークが迎えに来ていた。
私はジークのエスコートで馬車に乗り、ジークは私と対面する形で馬車に乗る。
「お嬢様、何かありましたか?」
「え?」
「些かお顔をの色が優れませんが」
相変わらず鋭い。
平気な顔をしている。
クラスメイトだって気づかなかった。
さすがは氷姫。何とも思っていないのだろうと流したのに彼にはバレてしまう。
それでも私は笑って「何でもないわ」と言う。
そうしたら執事の彼は何も言えなくなると分かっているから。
❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️❄️
「あら、シルちゃんいらっしゃい」
シルとはセシル、私のお忍びの名前だ。
私は今自分が経営しているお店に居る。
そこは庶民対象の美容品を扱っているお店だ。
化粧水、乳液、香水、シャンプーやリンス、ボディーソープなどがある。
無臭の物もあるが花の匂いがついたものもある。
実は、それらは今までこの国にはなく、私が初めて開発したものなのだ。
しかも匂い付きということで貴族も欲しがったのだが私は庶民向けにしたかったので価格はかなり抑えてある。
庶民向けに作っているのだが貴族もこぞって買い始めたので貴族は貴族で別のお店を作って高価格で買ってもらうことにした。
収入の4割は私が経営している孤児院に充てている。
「こんにちは、おばさん。最近はどう?」
「まぁまぁね」
「人員とかは足りているの?」
「そうさね、一人結婚とかで辞めていったから補充がちょっと厳しいかな」
「了解。探してみますね」
「ああ、頼むよ」
其れから店主と3分程話、品物を孤児院ように購入
別の店に向かう。
そこは絵本が売っている。
大人向けの文字の本はあるが絵本などはなかった。
孤児院を経営していると小さい子供の用の本があったらいいなと思った。
その方が文字を覚えやすいし、教材としても利用できるからだ。
勿論、その本屋を経営しているのも私だ。
私はそこの店主と話してから孤児院用に本を購入し別のお店に行く。
それを繰り返してから最後に孤児院へ行った。
「お姉ちゃん、いらっしゃい」
窓から私が来たのが分かったのか子供達が走ってやって来た。
私に抱き着く子供達を見て、先生たちが慌てた。
「止めなさい、あなた達」
「お嬢様のドレスが幾らだと思っているのあなた達、止めなさい」
「平気よ、先生。それより院長はいるかしら?」
「は、はい」
「馬車にみんなへのお土産あるから運んでくれる?」
「はい」
施設から先生が何人か出て来て私が乗って来たのとは別の馬車に乗せていた荷物を受け取って施設の中へ入れていった。
「これ、お菓子、みんなで食べてね。
私は院長先生と話してくるから」
「はい」
子供達は私からお菓子を受け取り、素直に施設の中に入って行った。
「いつもいともすみません」
「いいえ。其れより、何か困ったことはない?」
「そうですね。ちょっと子供が増えているのでお部屋が足りなくなってきましたね」
「そうですか。そろそろ増改築でもしますかね」
「随分、簡単に言いますね」
「簡単にできるように小高い丘に施設を建設したんですよ」
「いえ、そうではなくて費用の方を」
「ああ、それでしたら問題ありませんわ。
そういうことも含めて予算は見積もっているので。
院長先生から言われなかったら私が言っていましたので。
其れに伴い新しい先生も雇用しようと思います。
こちらがその名簿と調査資料です。
他の先生達とよく話し合って決めてください。
因みに私の方でも人と通り会っているので取り敢えずの試験はクリアした人達です」
「分かりました。明日にでも議題に上げてみます」
先生は資料を受け取った。
次にシーズンの時に行われるバザーについて話し合った。
バザーは孤児院の重要な収入源なのだ。
子供達からもどんなのがいいのかを最初にアンケートを取り、その中から先生達が話し合って決めている。
「子供達も増えているので売る物の数を少し増やしてもいいかもしれません」
「そうですわね」
「クッキーは定番ですね」
「はい」
「何か、コーサジュやブローチなどのようなものを作って売るのもいいかもしれません」
「ですが、布や糸などはお値段も張りますし、売り物になるかは」
「私の知り合いから安く買い取ることができます」
「本当ですか!?」
「ええ。それに服屋に行けば余って捨てる布ぐらいありますわ。
それを貰ってきて練習用に使えば問題はありません。
布や糸の調達は私に任せてもらってもよろしいですか?」
「はい、お願いします」
院長先生との話し合いはここまでにして私は子供達の元へ向かった。
「お姉ちゃん、お話終わったの?」
「ええ」
「時間ある?」
「少しなら」
「じゃあ、遊んで」
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「では、本を読みましょう。遊んで欲しいものはジークのところへ」
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