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8、変幻
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水面に顔をだす。王子は真っ先にトウヤを息継ぎさせ、目をみて言った。
「深く潜った先で抜け穴があり、そこをくぐりぬければ容易に山の者の領域から離れることができる」
真剣な口調に、こちらも神妙にうなずく。
「多少長めに潜るが、わたしを信じろ。心配するな。恐ろしいなら息をとめ目を閉じていればすべて終わっている。わかったか?」
大きな水音がした。振り返ると山の者がこちらにむかって岩を投げている。直撃すれば無傷ではすまされない。
「深く息を吸うのだ。私にしっかりつかまれ。3、2、1」
王子はトウヤに合図した。
滝つぼといっても、流れにのまれるようなことはなく潜るのは容易だった。王子のいうとおり、深く潜った先に抜け穴があった。
しかし抜け穴は、王子には小さすぎた。小さな子どもであれば抜けられそうだが、とてもではないが王子の身体は通り抜けられそうにない。かといって慌てることなく、トウヤだけ一人で行くよう手振りで示す。
トウヤはふるふると首を横に振った。
このまま王子だけが水面に戻れば、山の者の襲撃にさらされる。
トウヤは王子の手から抜けだし王子の頬に寄り添う。その唇に小さな顔をおしつけ深く吐息を捧げる。吐息はいくらかがぼこぼことあぶくとなるが、しっかり王子に届いたはずだ。
すぐに王子の身体に異変が起こる。
どんどん小さくなってゆくのだが、トウヤのように現在の姿を保ったまま小さくなるのではなく、時間が逆戻りするように若返って少年となり、少年だったのがさらに幼い子どもになる。
トウヤは水棲生物のようにひらりと先導する。王子は自分の身に何が起こっているか考える間もなく、トウヤに従った。王子は小さな抜け穴を、通り抜けることができた。
そこからはそれぞれが力強く水をかき、蹴り、水面まで浮上する。
王子を振り返ると、息をついだのはいいが身体が傾き沈みかけているところだった。トウヤは王子の身体を助けようとした。だが、小さな体ではどうすることもできない。沈む顔をとらえてもう一度口づけするが、今度は反応を示さなかった。
トウヤはすぐに決めた。
わずか数秒でトウヤの身体は、大きく変幻する。長い髪が水中でたなびき、のびやかな手足が強く流れをかいた。
元の大きさに戻ることができたトウヤは、王子の身体を抱きかかえ水面まで浮上し、気道の確保をする。
洞窟の天井からは、いくつも帯のように光が降りそそいでいた。水面のきらめきが反射して、すべてがゆらゆらと輝いている。
ぐったりと水にぬれた小さな体を運び、苔の生えた平らな場所に横たえる。
すぐ自然に水を吐いたのを見て、ひとまず安堵する。
ヨミ王子の顔を上向かせ、息を送った。何度もそうした。もう大丈夫だ、と思うまで繰り返すと、やがて小さな手で払いのけるようなそぶりをみせた。トウヤは濡れた服を脱がせた。
「深く潜った先で抜け穴があり、そこをくぐりぬければ容易に山の者の領域から離れることができる」
真剣な口調に、こちらも神妙にうなずく。
「多少長めに潜るが、わたしを信じろ。心配するな。恐ろしいなら息をとめ目を閉じていればすべて終わっている。わかったか?」
大きな水音がした。振り返ると山の者がこちらにむかって岩を投げている。直撃すれば無傷ではすまされない。
「深く息を吸うのだ。私にしっかりつかまれ。3、2、1」
王子はトウヤに合図した。
滝つぼといっても、流れにのまれるようなことはなく潜るのは容易だった。王子のいうとおり、深く潜った先に抜け穴があった。
しかし抜け穴は、王子には小さすぎた。小さな子どもであれば抜けられそうだが、とてもではないが王子の身体は通り抜けられそうにない。かといって慌てることなく、トウヤだけ一人で行くよう手振りで示す。
トウヤはふるふると首を横に振った。
このまま王子だけが水面に戻れば、山の者の襲撃にさらされる。
トウヤは王子の手から抜けだし王子の頬に寄り添う。その唇に小さな顔をおしつけ深く吐息を捧げる。吐息はいくらかがぼこぼことあぶくとなるが、しっかり王子に届いたはずだ。
すぐに王子の身体に異変が起こる。
どんどん小さくなってゆくのだが、トウヤのように現在の姿を保ったまま小さくなるのではなく、時間が逆戻りするように若返って少年となり、少年だったのがさらに幼い子どもになる。
トウヤは水棲生物のようにひらりと先導する。王子は自分の身に何が起こっているか考える間もなく、トウヤに従った。王子は小さな抜け穴を、通り抜けることができた。
そこからはそれぞれが力強く水をかき、蹴り、水面まで浮上する。
王子を振り返ると、息をついだのはいいが身体が傾き沈みかけているところだった。トウヤは王子の身体を助けようとした。だが、小さな体ではどうすることもできない。沈む顔をとらえてもう一度口づけするが、今度は反応を示さなかった。
トウヤはすぐに決めた。
わずか数秒でトウヤの身体は、大きく変幻する。長い髪が水中でたなびき、のびやかな手足が強く流れをかいた。
元の大きさに戻ることができたトウヤは、王子の身体を抱きかかえ水面まで浮上し、気道の確保をする。
洞窟の天井からは、いくつも帯のように光が降りそそいでいた。水面のきらめきが反射して、すべてがゆらゆらと輝いている。
ぐったりと水にぬれた小さな体を運び、苔の生えた平らな場所に横たえる。
すぐ自然に水を吐いたのを見て、ひとまず安堵する。
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