【完結】火を吐く土の国の王子は、塔から来た調査官に灼熱の愛をそそぐ

月田朋

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8、変幻

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 陽光の差す暖かな場所で王子の身体が冷えぬよう膝に抱き、うとうとしているところ、王子が目覚めた。
「これは、」
(よかった、気分はいかがですか)
「ちょうさかん、すがたが」
 王子はトウヤの膝から起き上がろうとして。自分の手が小さいことに気づき、愕然とする。うってかわってトウヤが大きく、自分が小さく、否、トウヤは元に、自分はおさな子になっている。
 王子の身体は、齢五つか六つほどの年頃のものとなっていた。
(まだあまり無理をなさらず)
 身の丈が、トウヤの腰ほどだった。自分が身に着けていた服はトウヤがちゃっかり着ている。ヨミ王子自身は、腰布を巻いているのみだ。それも子どもには大きすぎる。
「いったいわたしのからだになにをした」
(あの抜け穴からわたしだけが逃げたとしても、あなたがいなければ王を探すこともできません)
 幼い姿の王子は小さな指で眉間をもんだ。
(私が小さいままでいたのは、実は元の姿に戻れずにいたのです。それがなぜか、殿下をお小さくしてなお、戻ることができた、いったい何が起こったのか……)
「そんなことより、はやくすぐにわたしももとにもどせ」
 王子が子ども特有の甲高い声で癇癪を起こすと、(それはそうですね)とトウヤは王子を抱き寄せる。
「なにを」
(口づけです。離れていてはできません)
 王子は顔が真っ赤になった。
「なにゆえ」
(ですから元に戻りたいのでしょう? これまでに何度もしているですから、もうおわかりでは? わたしの塔のご加護は主にこの息と声にある)
 トウヤは口づけを待つ体勢で瞳をとじたが、すぐにぱっと目を開け、破顔した。
(冗談です。残念ながら殿下を元に戻すことはできません。先ほどから試しています。自分の身体を元の大きさに戻したのが最後だったのかもしれません)
 王子はさわぎたてることをやめた。止める間もなく再び水に入ると腰布を使って器用に魚をとり、石で簡易なかまどを作り、火をおこし大きな葉でつつんで魚を蒸し焼きにして、トウヤにわけた。
 トウヤは目をみはった。
(なんでもできるのですね)
「わたしはここでそだったのだからとうぜんだ」
(なるほど)
 食べながら、王子はトウヤにみずをむけた。
「……なにもきかぬのか」
 山にはいったおり、王子に質問攻めだったのに、何も尋ねてこない。
「このさき、のぼればひはきやまのいただきにゆける。おうがいるところはだいたいのめぼしがついている……なにをする!?」
(さんざん私を手で掴んだり懐にほうりこんだり、雑に扱った仕返しでございます!)
「あれはしょうがなく……おろせ! やめろ!」
 トウヤは有無を言わせず小さな王子を抱き上げた。
 先ほどから王子の動きが緩慢になっていた。おさな子の身体では無理もない。疲れ、腹がいっぱいで暖かいのだ。

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