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Phase3 真の力の目覚め的な何か!
パトロール任務へようこそ!
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「ふっ、昨日はどうした? 怖気づいたのか?」
「誰だっけ、あれ」
「相手をしてはいけません」
「目を合わせるな少年」
「早く行くであります」
「分かりました、大切な任務ですからね」
班員たちに背を押され、血の闘争団本部の玄関を出る。6時課の鐘はとうに鳴り、真上から若干ズレた太陽に照らされる大理石の階段を降りていく。
小さな花火大会を開催した翌日、由梨花班にはパトロールの任が与えられた。それは警察権がある正規軍の仕事ではないかと思ったが、転移者やら魔女やらを探す任務でもあるらしい。
インターネットなど存在しない為、この足で探し回るしかないようだ。情報屋というものが存在するらしいが、莫大な料金を請求される上に仲が悪く、現在は自分たちで情報を集めるしかない。
天炎者が二人も本拠地から抜けることに疑問を抱いたが、敵の攻勢はしばらくない、という言葉を信じて歩き出した。
「で、どこに行くんだっけ?」
「まずは馬に乗り、フォールベルツの東へ向かいます。瑞希、乗馬は完璧ですか?」
「お、おう」
いつもの顔で確認され、曖昧に答える。
たった一日で馬を扱えるワケないだろ──当時は若く、そう思っていた。だが午前の練習では不思議と言うことを聞いてくれ、多少暴れはするものの歩行には問題無い程に仕上がった。後は、自分の重心移動を極めるばかり。未だに腰が痛い。
「失礼ながら、ミズキ殿の乗馬は未熟であります。私の後ろに乗って、目的地へ向かうべきであります」
見透かされていたようで、赤いマントを羽織る騎士が、悪気の無い中傷を繰り出した。
やっぱり嘘はいけないな。腰を痛めた勇者の姿など民衆に見せるワケにもいかないし、ここはありがたく従おう。過去に相乗りした経験もあるのだ、抵抗感はそこまで無い。
「はい……分かりました、お願いします」
「ほー……その必要はありませんよウィーザ、私の馬に相乗りさせますから」
「なりませんユリカ様! 少年とそのような……!」
班長は静かな声で諫め、部下はやめろと具申する。
由梨花が何故そんなことを提案したのかは分からないが、騎士の言い分は理解できる。俺が由梨花と仲良く……必要以上に接することを嫌がるからだ。異世界のロリコンめ。
「大丈夫であります、お任せであります」
「聞きません。分かっていますねウィーザ?」
「何のことでありますか」
「譲りなさい」
「嫌であります」
「ならんぞウィーザ! 少年はユリカ様と……は?」
「譲りなさい!」
「嫌であります!」
馬が繋がれている小屋まで移動する中、熱い口論が行き交う。
「命令です!」
「あぅ……分かったでありますぅ……」
「何という……いやしかし、ユリカ様の願い……いやしかし……」
ヴァルターの焦りはごもっとも。由梨花の後ろに相乗りするということは、必然的にどこか掴まなければならない。その華奢な体を。
どこに力を入れるべきだ? 腰か? イヤ待て、あの暴力女のことだ、ありもしない容疑を駆けられて殴られる。目を抉られるのもこりごりだ。
「ということです。では──」
「あの、さ。俺、ヴァルターさんの後ろに乗るから」
よくよく考えると、女性と相乗り……しかも「乗せられる」ことが恥ずかしく思えてしまった。決して下ネタではない。
「何ですって?」
「ミズキ殿ぉ~」
「少年……うむ、それが良い。やはりユリカ様の後ろに乗れるのは、ノーレン様ただ一人!」
ロリコンで百合好きなのか──言えない、絶対に言えない。
突き刺さる由梨花とウィーザの視線に耐えながら、歩を進める。
新たな迷い人を探す為に。
「そんなに私の後ろは嫌なのですか? 殺りますよ?」
「だから、そういうところが──」
「は?」
「ぐっ……」
「だー! 無視するなー!」
小さな影が道を遮り、進行を阻んだ。
「さっきからうるせーな……」
「はぁ、はぁ……ふっ、哀しいな。人の理性を高く評価してしまうのはオレの悪い癖だ。貴様には期待していたが……どうやら見込み違いだったな」
黒衣の少年は手を額に当て、くっくっと笑う。貴様、というのは俺のことで間違いないだろう。
「あ? 喧嘩か?」
「はぁ……オニキスを構ってはいけません、行きますよ」
決して忘れてはいない。剣聖オニキス。昨日、喧嘩を吹っ掛けてきたクソガキ。
何となくだが、勝てる気がする。うん大丈夫、生意気な餓鬼には灸をすえなければ。おしりペンペンでは済まさない。
そうは思ったが、由梨花に背を押される。即刻立ち去らなければ「面倒になります」と囁かれた。
「おいおい、つれないな。見送りくらいさせてくれても良いじゃないか。せっかく任務を切り上げてまでここに来たというのに。あの二人の目を欺くのは大変だったんだ、礼の一つはくれるべきだ」
カサカサと追い縋り、にやけた顔で言う。
構うなと言っていた由梨花だが、我慢できずに口を開いた。
「任務を優先して下さい。こちらにも任務があります、見送りは結構です」
「寂しいことを言うじゃないか。このオレが見送りの為に来たと思うか? なあユリカ、犬の調教を手伝ってやってもいいぞ」
「いりません」
「ふっ、嫌われたな。何もメンツを潰してくれたことを怒っているワケじゃない。ユリカ、オレは貴様を信頼している。だからこそ言っておこう……その首輪、きつく締め上げなくていいのか?」
「言っている意味が分かりません」
「ふっ、流石はエーデル要塞守備隊を見捨てただけはある。報告で聞いているぞ? それ以前にも多くの──」
「彼らと我々では価値が違うのです。金貨と宝石の話はしたでしょう、あれは当然の行いです」
矢継ぎ早に交わされる言葉の応酬。見送りなどではなく、何か別の意思が垣間見える。だが何だ……どういう意思だ、どういう意味だ。
調教、というのは訓練か。
首輪は、ヴァルターによる儀。
見捨てた……それは、解釈によっては、そうなってしまう。救援が間に合わなかったとはいえ、脱出を確認せずに大魔法の発動を決定した。結果、中で戦っていたであろう戦士と、その死体ごと、要塞は崩れ落ちた。
それでも。
それでも、間違ってなどいない。
見捨ててなどいない。あの状況では、あれが最善だったのだ。誰が責任を負えるというのか。その小さな背中に。
「ああそうだな、彼らは罪人なのだから。しかし、天炎者である貴様が言うと滑稽だ、同じ穴の狢だろう? そうか、だからこそ罪悪感が無いのか」
「彼らは国家への義務を果たしました。そこに私情など挟みません」
棘を隠しもしない、挑戦的な声。
それに厳とした声で返す由梨花が何を思っているかは、激情を灯す瞳を見れば明らかだった。
「模範的な回答だ。命の輝きは有限、宝石の輝きは無限……だが本音はどうだ?」
「偽りなどありません」
どくん、どくん。ドアをノックされる。
血よ滾れ、劣情よ咆えろ、復讐心よ燃え上がれ。
「てめえ……いい加減にしろ! 喧嘩なら買うって言ってんだろ!」
「ふっ、早速噛みついてきたようだ。獰猛な犬には躾が必要かな?」
薄ら笑いを浮かべて挑発するオニキス。その幼い顔が、吊り上がった口元が、酷く不愉快だった。
由梨花を守るようにオニキスへ立ちはだかり、拳を強く握って対峙する。
「用があるのは俺だろ!? 由梨花にネチネチ付き纏ってんじゃねーよ……テメーに由梨花の何が分かる!」
「分かるとも。別の世界で自殺し、この世界へ堕とされた精神異常者だ。団の監視下に置かれ、ただ戦う為に存在を許される爆弾だ。貴様も同様にな」
「ふざけんな、死縛者になるとでも思ってんのか!? なるワケねーだろ、あんな化け物に!」
「それを誰が照明できる? クレタ人のパラドックス……とは、このことを言うんだったかな」
「あ!?」
「何故天炎者と崇められているか、考えたことはあるか?」
「知らねーよ! うだうだ続けてねーで、さっさとやろうぜ!」
「やれやれ、そこまで言うなら仕方ない……ここでいいか?」
「当然──お?」
踏み出そうとした足が、ガクッと引き戻される。
「私の部下にちょっかいを出さないで下さい、オニキス・アンドラス」
由梨花だった。憤怒の覇気を静かに纏い、決然と答える。
「仲間であり家族です、信頼するのにこれ以上の理由はありません。これ以上侮辱するのであれば、教育してあげますよ。女性に恐怖を覚えるまでに」
「本気にするな、オレはただ試しただけだ。あの二人の前では会話もままならないからな、今しかないと思ったんだ」
「それは私ですか? それとも瑞希ですか?」
「ふっ、どちらだと思う? 胸ではなく頭に栄養が詰まっているのだから、それくらい考え付くだろう」
「ああもういつまでも……やるぞコラー!」
「意見が合いました……やりますよ、このチビ!」
冷笑を浮かべて蔑むオニキスが、苛ついた。
上司を、仲間を、家族を、友達を傷付けられたことが気に食わなかった。
拳だけでは物足りない──無意識に右手が腰へ伸び、鞘に納められているジャマダハルを掴もうとした。それに触れた瞬間、少しだけ、怖くなった。
いや、下らないことなんかじゃない。これは、喧嘩だ。
「戦争はこうでなくてなくてはな。ではオレも──」
存在証明の為の、聖戦だ。
回せ、廻せ、鼓動を舞わせ。
少女を辱める獣に、鉄槌を下す為に。
「目覚めろ──」
「吼えなさい──」
「なりませんユリカ様。さ、お行きましょう」
「ミズキ殿も行くであります」
乱暴に腕を掴まれ、言霊が途切れる。由梨花はヴァルター、俺はウィーザに引っ張られていた。体勢を崩さぬよう足をばたつかせる中、興が削がれたのか、唖然となって立ち尽くす黒衣の少年が映る。
どんな言葉で貶してやるかと思考する最中、オニキスが呟くように投げかける。
「ふんっ、団に生かして貰っている分際で……」
その罵りの言葉に、先を進む騎士が一瞬、震えた。
「あ!? 俺のことか!? 死縛者にならねえっつってんだろーが!」
「いいでありますから、行くでありますミズキ殿。あれはほっとくであります」
「あのチビ、徹底的に抗議します!」
「ユリカ様、どうか落ち着き下さい」
喚く少年少女を、年の離れていない大人たちが引きずって行く。
ここまで言われておいて、なぜ無視するんですか──叫ぶ声を飲み込んだ。振り返って見ると、大人たちは、これまで見たことない程の並々ならぬ怒りを発露させていたからだ。
気取られぬように、ただ、真正面を向き続けて。
望む未来を、夢見続けて。
「自分の命も守れそうに無いじゃないか。あの稽古を貴様は見たか? 酷いオママゴトだ、人間を殺すことなど出来はしない。要塞で敵を倒したというのは嘘だろう? オレたちの敵はあの化け物ばかりじゃない、それを忘れるな……死にたくなければ、死に物狂いで戦え」
☆ ☆ ☆
「何なんだよアイツ、ムカつくヤツだとは思ってたけど……本当にムカつく!」
かっぽかっぽと優雅に揺られながら悪態をつく。馬を操ることに集中しているのか、目前にいるヴァルターは答えない。
この男は表面上平然としているが、怒りの炎を灯しているのは確実だ。上司を、大切な少女を侮辱されたのだ、何の感情も涌かない筈がない。きつく握られた手綱は、千切れんばかりに唸っている。
「なあ由梨花、どうしてもっと言い返さなかったんだよ? それに、いつもの暴力はどうした? まさか俺だけに振るってるワケじゃないだろ」
黙りこくっているヴァルターの背から顔を出し、先を行く班長へ声を掛ける。
ここはフォールベルツの街中。狭い路地を通らなければならない箇所であり、由梨花班は一列に走行していた。
「言ったでしょう、あれに構うのは面倒だと。瑞希が言い返さなければ、もっと早く離脱できたというのに」
こちらを振り向きもせず、場違いなほど高い声で答える。
腰にダメージを負いながら得たものは、中傷。
「俺のせいにするな! どう見たって、いつまでも絡んできたアイツが悪いだろ! 昨日の喧嘩を受けてればこうはならなかったかもしれないんだぞ、由梨花にも責任はある!」
「少年、もうよせ」
「いや、でも……!」
一切の感情を捨て去った、冷たい声。
諫められ、暴れ出した思考が一つの言葉を捉えた。責任──自分の馬鹿さ加減が嫌になる。重すぎる、責任。
「どうせ勝てません。昨日負けていたら、先ほど以上になじられていたかもしれませんね。ですが安心して下さい、紳士的に対応すればすぐに解放してくれます」
「どうせとか言うな! ストラップにしてやるっつーの!」
「あくまで模擬戦でしょう? 魔法も使わないで勝てると思っているのですか?」
「当然、ぶん殴る!」
「呆れました……重さを感じずに振り回せるアレが無ければ、どうしたって当たりませんよ。第一、そんな下らない事に力を使わないで下さい」
「お前だって魔法使おうとしたくせに……」
「何ですか?」
「いや……」
揚げ足を取ろうと呟いた言葉に反応し、ジロリと睨まれる。
やはり気にしているらしい。
「知ったことじゃない、返ったらボコボコにするぞ。いいだろ? いいよな?」
「任務外であなたが何をしようと、こちらも知ったことではありませんが……お勧めしません」
「どうしてさ? 絶対勝つって」
「勝ち負けではありません。色々とあるのですよ」
「色々、ねえ」
知る必要はない──濁す際の常套句。
だが、俺はもう無関係ではないのだ。それに、仲間を侮辱されたのだ。理由を知らなければ納得できない。
「もろもろを話してくれ」
「何故ですか?」
「アイツ、俺たち転移者のこと馬鹿にしたんだぞ? 要塞の兵だって……おかしいだろ、みんな仲間じゃねえのかよ。内ゲバなんてサイテーだ」
最初は、ただの喧嘩だと思っていた。だというのに矛先は由梨花へ向かい、あまつさえ要塞で散った英霊さえも蔑ろにしたのだ。
「私が言うのも変ですが……他人にあまり影響されないで下さい」
「は……?」
「ユリカ様、私が説明致します」
真意が汲み取れない言葉の後を、ヴァルターが引き継ぐ。
「少年、皆が同じ意思を持っているワケではないのだ。まあ、組織というのはそういうもの……意思が統一されていては、腐るのも早くなる。批判意見があるのは間違いではないのだ」
「例外はありますがね。独裁体制だった頃が輝いていた組織や企業だってあります。ある種の新興宗教のように」
「面倒ごとを引き受けるのも天炎者の役割……偶像として、様々な声を投げかけられるのも仕方のないことだ。どうか耐えてくれ、少年」
どこか哀愁すら漂う声音。
「いや、それでもおかしいですって! 正しいことをしてるのに、どうして責められなきゃならないんだ!」
激情が迸る。
選ばれた運命を、生きているのに。
好きに生きるのを諦めて、ここにいるのに。
「ああそうだ……だがな、絶対に正しいものなど、どこにも無いのだ」
「は……?」
不意に、暗い闇が見えた──気がした。
グラナの背後に潜んでいた闇。この男にも、何か、底知れぬ狂気が渦巻いている。
いつの日か、身を投げ出した深淵。
「まあ……オニキスは天邪鬼ですから、構って欲しいだけなのかもしれません。15歳という幼さもありますし、反抗するのも当然です」
決死の思いが詰まったそれに呑まれないよう、力を入れて腰を掴んだ。
そちらへ行ってしまう気がして。
「反抗……まさかアレが反抗期でしょうか? 瑞希、あなたはどう思いますか?」
「え……? どうだろ……」
「私は反抗期など無かったであります、ユリカ様! みんなで仲良くするのが一番であります!」
「ウィーザには聞いていませんよ」
「冷たい事言わないで欲しいでありますぅ」
「はいはい、悪かったですよ」
ゆっくりと、俺たちは進んだ。
この時間を噛み締めるように。
強い日差しに呑まれぬように。
果ての果てを目指して。
大人になるということは、優しくなることだと信じて。
「誰だっけ、あれ」
「相手をしてはいけません」
「目を合わせるな少年」
「早く行くであります」
「分かりました、大切な任務ですからね」
班員たちに背を押され、血の闘争団本部の玄関を出る。6時課の鐘はとうに鳴り、真上から若干ズレた太陽に照らされる大理石の階段を降りていく。
小さな花火大会を開催した翌日、由梨花班にはパトロールの任が与えられた。それは警察権がある正規軍の仕事ではないかと思ったが、転移者やら魔女やらを探す任務でもあるらしい。
インターネットなど存在しない為、この足で探し回るしかないようだ。情報屋というものが存在するらしいが、莫大な料金を請求される上に仲が悪く、現在は自分たちで情報を集めるしかない。
天炎者が二人も本拠地から抜けることに疑問を抱いたが、敵の攻勢はしばらくない、という言葉を信じて歩き出した。
「で、どこに行くんだっけ?」
「まずは馬に乗り、フォールベルツの東へ向かいます。瑞希、乗馬は完璧ですか?」
「お、おう」
いつもの顔で確認され、曖昧に答える。
たった一日で馬を扱えるワケないだろ──当時は若く、そう思っていた。だが午前の練習では不思議と言うことを聞いてくれ、多少暴れはするものの歩行には問題無い程に仕上がった。後は、自分の重心移動を極めるばかり。未だに腰が痛い。
「失礼ながら、ミズキ殿の乗馬は未熟であります。私の後ろに乗って、目的地へ向かうべきであります」
見透かされていたようで、赤いマントを羽織る騎士が、悪気の無い中傷を繰り出した。
やっぱり嘘はいけないな。腰を痛めた勇者の姿など民衆に見せるワケにもいかないし、ここはありがたく従おう。過去に相乗りした経験もあるのだ、抵抗感はそこまで無い。
「はい……分かりました、お願いします」
「ほー……その必要はありませんよウィーザ、私の馬に相乗りさせますから」
「なりませんユリカ様! 少年とそのような……!」
班長は静かな声で諫め、部下はやめろと具申する。
由梨花が何故そんなことを提案したのかは分からないが、騎士の言い分は理解できる。俺が由梨花と仲良く……必要以上に接することを嫌がるからだ。異世界のロリコンめ。
「大丈夫であります、お任せであります」
「聞きません。分かっていますねウィーザ?」
「何のことでありますか」
「譲りなさい」
「嫌であります」
「ならんぞウィーザ! 少年はユリカ様と……は?」
「譲りなさい!」
「嫌であります!」
馬が繋がれている小屋まで移動する中、熱い口論が行き交う。
「命令です!」
「あぅ……分かったでありますぅ……」
「何という……いやしかし、ユリカ様の願い……いやしかし……」
ヴァルターの焦りはごもっとも。由梨花の後ろに相乗りするということは、必然的にどこか掴まなければならない。その華奢な体を。
どこに力を入れるべきだ? 腰か? イヤ待て、あの暴力女のことだ、ありもしない容疑を駆けられて殴られる。目を抉られるのもこりごりだ。
「ということです。では──」
「あの、さ。俺、ヴァルターさんの後ろに乗るから」
よくよく考えると、女性と相乗り……しかも「乗せられる」ことが恥ずかしく思えてしまった。決して下ネタではない。
「何ですって?」
「ミズキ殿ぉ~」
「少年……うむ、それが良い。やはりユリカ様の後ろに乗れるのは、ノーレン様ただ一人!」
ロリコンで百合好きなのか──言えない、絶対に言えない。
突き刺さる由梨花とウィーザの視線に耐えながら、歩を進める。
新たな迷い人を探す為に。
「そんなに私の後ろは嫌なのですか? 殺りますよ?」
「だから、そういうところが──」
「は?」
「ぐっ……」
「だー! 無視するなー!」
小さな影が道を遮り、進行を阻んだ。
「さっきからうるせーな……」
「はぁ、はぁ……ふっ、哀しいな。人の理性を高く評価してしまうのはオレの悪い癖だ。貴様には期待していたが……どうやら見込み違いだったな」
黒衣の少年は手を額に当て、くっくっと笑う。貴様、というのは俺のことで間違いないだろう。
「あ? 喧嘩か?」
「はぁ……オニキスを構ってはいけません、行きますよ」
決して忘れてはいない。剣聖オニキス。昨日、喧嘩を吹っ掛けてきたクソガキ。
何となくだが、勝てる気がする。うん大丈夫、生意気な餓鬼には灸をすえなければ。おしりペンペンでは済まさない。
そうは思ったが、由梨花に背を押される。即刻立ち去らなければ「面倒になります」と囁かれた。
「おいおい、つれないな。見送りくらいさせてくれても良いじゃないか。せっかく任務を切り上げてまでここに来たというのに。あの二人の目を欺くのは大変だったんだ、礼の一つはくれるべきだ」
カサカサと追い縋り、にやけた顔で言う。
構うなと言っていた由梨花だが、我慢できずに口を開いた。
「任務を優先して下さい。こちらにも任務があります、見送りは結構です」
「寂しいことを言うじゃないか。このオレが見送りの為に来たと思うか? なあユリカ、犬の調教を手伝ってやってもいいぞ」
「いりません」
「ふっ、嫌われたな。何もメンツを潰してくれたことを怒っているワケじゃない。ユリカ、オレは貴様を信頼している。だからこそ言っておこう……その首輪、きつく締め上げなくていいのか?」
「言っている意味が分かりません」
「ふっ、流石はエーデル要塞守備隊を見捨てただけはある。報告で聞いているぞ? それ以前にも多くの──」
「彼らと我々では価値が違うのです。金貨と宝石の話はしたでしょう、あれは当然の行いです」
矢継ぎ早に交わされる言葉の応酬。見送りなどではなく、何か別の意思が垣間見える。だが何だ……どういう意思だ、どういう意味だ。
調教、というのは訓練か。
首輪は、ヴァルターによる儀。
見捨てた……それは、解釈によっては、そうなってしまう。救援が間に合わなかったとはいえ、脱出を確認せずに大魔法の発動を決定した。結果、中で戦っていたであろう戦士と、その死体ごと、要塞は崩れ落ちた。
それでも。
それでも、間違ってなどいない。
見捨ててなどいない。あの状況では、あれが最善だったのだ。誰が責任を負えるというのか。その小さな背中に。
「ああそうだな、彼らは罪人なのだから。しかし、天炎者である貴様が言うと滑稽だ、同じ穴の狢だろう? そうか、だからこそ罪悪感が無いのか」
「彼らは国家への義務を果たしました。そこに私情など挟みません」
棘を隠しもしない、挑戦的な声。
それに厳とした声で返す由梨花が何を思っているかは、激情を灯す瞳を見れば明らかだった。
「模範的な回答だ。命の輝きは有限、宝石の輝きは無限……だが本音はどうだ?」
「偽りなどありません」
どくん、どくん。ドアをノックされる。
血よ滾れ、劣情よ咆えろ、復讐心よ燃え上がれ。
「てめえ……いい加減にしろ! 喧嘩なら買うって言ってんだろ!」
「ふっ、早速噛みついてきたようだ。獰猛な犬には躾が必要かな?」
薄ら笑いを浮かべて挑発するオニキス。その幼い顔が、吊り上がった口元が、酷く不愉快だった。
由梨花を守るようにオニキスへ立ちはだかり、拳を強く握って対峙する。
「用があるのは俺だろ!? 由梨花にネチネチ付き纏ってんじゃねーよ……テメーに由梨花の何が分かる!」
「分かるとも。別の世界で自殺し、この世界へ堕とされた精神異常者だ。団の監視下に置かれ、ただ戦う為に存在を許される爆弾だ。貴様も同様にな」
「ふざけんな、死縛者になるとでも思ってんのか!? なるワケねーだろ、あんな化け物に!」
「それを誰が照明できる? クレタ人のパラドックス……とは、このことを言うんだったかな」
「あ!?」
「何故天炎者と崇められているか、考えたことはあるか?」
「知らねーよ! うだうだ続けてねーで、さっさとやろうぜ!」
「やれやれ、そこまで言うなら仕方ない……ここでいいか?」
「当然──お?」
踏み出そうとした足が、ガクッと引き戻される。
「私の部下にちょっかいを出さないで下さい、オニキス・アンドラス」
由梨花だった。憤怒の覇気を静かに纏い、決然と答える。
「仲間であり家族です、信頼するのにこれ以上の理由はありません。これ以上侮辱するのであれば、教育してあげますよ。女性に恐怖を覚えるまでに」
「本気にするな、オレはただ試しただけだ。あの二人の前では会話もままならないからな、今しかないと思ったんだ」
「それは私ですか? それとも瑞希ですか?」
「ふっ、どちらだと思う? 胸ではなく頭に栄養が詰まっているのだから、それくらい考え付くだろう」
「ああもういつまでも……やるぞコラー!」
「意見が合いました……やりますよ、このチビ!」
冷笑を浮かべて蔑むオニキスが、苛ついた。
上司を、仲間を、家族を、友達を傷付けられたことが気に食わなかった。
拳だけでは物足りない──無意識に右手が腰へ伸び、鞘に納められているジャマダハルを掴もうとした。それに触れた瞬間、少しだけ、怖くなった。
いや、下らないことなんかじゃない。これは、喧嘩だ。
「戦争はこうでなくてなくてはな。ではオレも──」
存在証明の為の、聖戦だ。
回せ、廻せ、鼓動を舞わせ。
少女を辱める獣に、鉄槌を下す為に。
「目覚めろ──」
「吼えなさい──」
「なりませんユリカ様。さ、お行きましょう」
「ミズキ殿も行くであります」
乱暴に腕を掴まれ、言霊が途切れる。由梨花はヴァルター、俺はウィーザに引っ張られていた。体勢を崩さぬよう足をばたつかせる中、興が削がれたのか、唖然となって立ち尽くす黒衣の少年が映る。
どんな言葉で貶してやるかと思考する最中、オニキスが呟くように投げかける。
「ふんっ、団に生かして貰っている分際で……」
その罵りの言葉に、先を進む騎士が一瞬、震えた。
「あ!? 俺のことか!? 死縛者にならねえっつってんだろーが!」
「いいでありますから、行くでありますミズキ殿。あれはほっとくであります」
「あのチビ、徹底的に抗議します!」
「ユリカ様、どうか落ち着き下さい」
喚く少年少女を、年の離れていない大人たちが引きずって行く。
ここまで言われておいて、なぜ無視するんですか──叫ぶ声を飲み込んだ。振り返って見ると、大人たちは、これまで見たことない程の並々ならぬ怒りを発露させていたからだ。
気取られぬように、ただ、真正面を向き続けて。
望む未来を、夢見続けて。
「自分の命も守れそうに無いじゃないか。あの稽古を貴様は見たか? 酷いオママゴトだ、人間を殺すことなど出来はしない。要塞で敵を倒したというのは嘘だろう? オレたちの敵はあの化け物ばかりじゃない、それを忘れるな……死にたくなければ、死に物狂いで戦え」
☆ ☆ ☆
「何なんだよアイツ、ムカつくヤツだとは思ってたけど……本当にムカつく!」
かっぽかっぽと優雅に揺られながら悪態をつく。馬を操ることに集中しているのか、目前にいるヴァルターは答えない。
この男は表面上平然としているが、怒りの炎を灯しているのは確実だ。上司を、大切な少女を侮辱されたのだ、何の感情も涌かない筈がない。きつく握られた手綱は、千切れんばかりに唸っている。
「なあ由梨花、どうしてもっと言い返さなかったんだよ? それに、いつもの暴力はどうした? まさか俺だけに振るってるワケじゃないだろ」
黙りこくっているヴァルターの背から顔を出し、先を行く班長へ声を掛ける。
ここはフォールベルツの街中。狭い路地を通らなければならない箇所であり、由梨花班は一列に走行していた。
「言ったでしょう、あれに構うのは面倒だと。瑞希が言い返さなければ、もっと早く離脱できたというのに」
こちらを振り向きもせず、場違いなほど高い声で答える。
腰にダメージを負いながら得たものは、中傷。
「俺のせいにするな! どう見たって、いつまでも絡んできたアイツが悪いだろ! 昨日の喧嘩を受けてればこうはならなかったかもしれないんだぞ、由梨花にも責任はある!」
「少年、もうよせ」
「いや、でも……!」
一切の感情を捨て去った、冷たい声。
諫められ、暴れ出した思考が一つの言葉を捉えた。責任──自分の馬鹿さ加減が嫌になる。重すぎる、責任。
「どうせ勝てません。昨日負けていたら、先ほど以上になじられていたかもしれませんね。ですが安心して下さい、紳士的に対応すればすぐに解放してくれます」
「どうせとか言うな! ストラップにしてやるっつーの!」
「あくまで模擬戦でしょう? 魔法も使わないで勝てると思っているのですか?」
「当然、ぶん殴る!」
「呆れました……重さを感じずに振り回せるアレが無ければ、どうしたって当たりませんよ。第一、そんな下らない事に力を使わないで下さい」
「お前だって魔法使おうとしたくせに……」
「何ですか?」
「いや……」
揚げ足を取ろうと呟いた言葉に反応し、ジロリと睨まれる。
やはり気にしているらしい。
「知ったことじゃない、返ったらボコボコにするぞ。いいだろ? いいよな?」
「任務外であなたが何をしようと、こちらも知ったことではありませんが……お勧めしません」
「どうしてさ? 絶対勝つって」
「勝ち負けではありません。色々とあるのですよ」
「色々、ねえ」
知る必要はない──濁す際の常套句。
だが、俺はもう無関係ではないのだ。それに、仲間を侮辱されたのだ。理由を知らなければ納得できない。
「もろもろを話してくれ」
「何故ですか?」
「アイツ、俺たち転移者のこと馬鹿にしたんだぞ? 要塞の兵だって……おかしいだろ、みんな仲間じゃねえのかよ。内ゲバなんてサイテーだ」
最初は、ただの喧嘩だと思っていた。だというのに矛先は由梨花へ向かい、あまつさえ要塞で散った英霊さえも蔑ろにしたのだ。
「私が言うのも変ですが……他人にあまり影響されないで下さい」
「は……?」
「ユリカ様、私が説明致します」
真意が汲み取れない言葉の後を、ヴァルターが引き継ぐ。
「少年、皆が同じ意思を持っているワケではないのだ。まあ、組織というのはそういうもの……意思が統一されていては、腐るのも早くなる。批判意見があるのは間違いではないのだ」
「例外はありますがね。独裁体制だった頃が輝いていた組織や企業だってあります。ある種の新興宗教のように」
「面倒ごとを引き受けるのも天炎者の役割……偶像として、様々な声を投げかけられるのも仕方のないことだ。どうか耐えてくれ、少年」
どこか哀愁すら漂う声音。
「いや、それでもおかしいですって! 正しいことをしてるのに、どうして責められなきゃならないんだ!」
激情が迸る。
選ばれた運命を、生きているのに。
好きに生きるのを諦めて、ここにいるのに。
「ああそうだ……だがな、絶対に正しいものなど、どこにも無いのだ」
「は……?」
不意に、暗い闇が見えた──気がした。
グラナの背後に潜んでいた闇。この男にも、何か、底知れぬ狂気が渦巻いている。
いつの日か、身を投げ出した深淵。
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決死の思いが詰まったそれに呑まれないよう、力を入れて腰を掴んだ。
そちらへ行ってしまう気がして。
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「え……? どうだろ……」
「私は反抗期など無かったであります、ユリカ様! みんなで仲良くするのが一番であります!」
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「冷たい事言わないで欲しいでありますぅ」
「はいはい、悪かったですよ」
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※※楽しかった……続きが気になると思って頂けた場合、お気に入り登録……このエピソード好みだなとか思ったらコメントを貰えたりすると軽い絶頂を覚えるくらいには喜びます……メンタル弱めなので、誹謗中傷てきなものには怯えていますが、気軽に頂けると嬉しいです。※※
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