5 / 6
第4話 本望じゃないけど仕方ない
しおりを挟む
もちろん、何でも聞いてなんて社交辞令。
さっき私が同じように何でも聞いてと声をかけたときは、図々しく営業のコツについて質問してきたからつい冷たくあしらってしまった。
だからこそ、さっきの対応でオフィスの空気や私への印象を悪くしないために「何でも聞いて」と社交辞令の言葉をもういちど口にしただけ。
それくらいのことは、いくらなんでも理解してくれるはず…。
なのに。
愛想笑いをしたまま宮瀬の席を離れようとした麻衣を宮瀬が引き留めた。
「川崎先輩って、本当にやさしいんですね!さっき、なんの努力もせずに営業のコツを教えてくださいなんて図々しく質問した俺にもう一度そんな言葉をかけてくれるなんて」
ワンコみたいに人懐っこい笑みを浮かべてそんなことを言ってくる。
…な…、なんか、社交辞令だったのにこんな喜ばれたら調子狂うな。
ちょっと罪悪感というか、嬉しいというか…。
なんだか変な気分になっていた麻衣に宮瀬は、さらにすごいことを言う。
「じゃあさっそくなんですけど、聞くというか…。手が空いているときでいいので、会社内を案内してもらえると嬉しいです。企画営業部のフロアはさっき社長が案内してくれたので、それ以外。お願いします」
…は?
えっと…。
どうして私が?
新人には教育係がつく。
男性社員には男性の。
女性社員にはっ女性の先輩が教育係につくのが決まりになっている。
その教育係にじっくりと聞けばいい。
こっちはそんなヒマがあるなら1件でも多く営業先をまわって契約をとりにいく。
…だけど、新人社員を冷たくあしらったという印象がついてしまうのは本望じゃない。
「い、いいよ。じゃ、じゃあ手が空いたときにね」
麻衣はひとまずそう言って、忙しいフリで逃げ切ることにした。
さっき私が同じように何でも聞いてと声をかけたときは、図々しく営業のコツについて質問してきたからつい冷たくあしらってしまった。
だからこそ、さっきの対応でオフィスの空気や私への印象を悪くしないために「何でも聞いて」と社交辞令の言葉をもういちど口にしただけ。
それくらいのことは、いくらなんでも理解してくれるはず…。
なのに。
愛想笑いをしたまま宮瀬の席を離れようとした麻衣を宮瀬が引き留めた。
「川崎先輩って、本当にやさしいんですね!さっき、なんの努力もせずに営業のコツを教えてくださいなんて図々しく質問した俺にもう一度そんな言葉をかけてくれるなんて」
ワンコみたいに人懐っこい笑みを浮かべてそんなことを言ってくる。
…な…、なんか、社交辞令だったのにこんな喜ばれたら調子狂うな。
ちょっと罪悪感というか、嬉しいというか…。
なんだか変な気分になっていた麻衣に宮瀬は、さらにすごいことを言う。
「じゃあさっそくなんですけど、聞くというか…。手が空いているときでいいので、会社内を案内してもらえると嬉しいです。企画営業部のフロアはさっき社長が案内してくれたので、それ以外。お願いします」
…は?
えっと…。
どうして私が?
新人には教育係がつく。
男性社員には男性の。
女性社員にはっ女性の先輩が教育係につくのが決まりになっている。
その教育係にじっくりと聞けばいい。
こっちはそんなヒマがあるなら1件でも多く営業先をまわって契約をとりにいく。
…だけど、新人社員を冷たくあしらったという印象がついてしまうのは本望じゃない。
「い、いいよ。じゃ、じゃあ手が空いたときにね」
麻衣はひとまずそう言って、忙しいフリで逃げ切ることにした。
4
あなたにおすすめの小説
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
*全28話完結
*辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
*他誌にも掲載中です。
敏腕SEの優しすぎる独占愛
春咲さゆ
恋愛
仕事も恋愛も、兎に角どん底の毎日だった。
あの日、あの雨の夜、貴方に出逢うまでは。
「終わらせてくれたら良かったのに」
人生のどん底にいた、26歳OL。
木崎 茉莉 ~kisaki matsuri~
×
「泣いたらいいよ。傍にいるから」
雨の日に現れた、30歳システムエンジニア。
藤堂 柊真 ~Todo Syuma~
雨の夜の出会いがもたらした
最高の溺愛ストーリー。
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
若社長な旦那様は欲望に正直~新妻が可愛すぎて仕事が手につかない~
雪宮凛
恋愛
「来週からしばらく、在宅ワークをすることになった」
夕食時、突如告げられた夫の言葉に驚く静香。だけど、大好きな旦那様のために、少しでも良い仕事環境を整えようと奮闘する。
そんな健気な妻の姿を目の当たりにした夫の至は、仕事中にも関わらずムラムラしてしまい――。
全3話 ※タグにご注意ください/ムーンライトノベルズより転載
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる