ディスる彼氏と褒める彼

竹柏凪紗

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第19話 ストレスコーピング

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「ここ、シンギングボウル屋さん。看板の蓮とか雲を見て宗教をイメージしたかな?悪い」
申し訳なさそうに志月。

「シンギングボウル?」

「そう。簡単に言えば金属製の器かな。その縁を専用のスティックでなぞったり叩いたりして音を出す道具だよ。ルーツはブッダが誕生するよりも前からあったとか、チベット仏教の仏具だったとかいう説もある」

「それが癒しとどう関係が?」

「あぁ、ストレスコーピングにぴったりだと思ってな」
「ストレスコーピング?」

「簡単に言うと、ストレスに対処する方法のことかな。ストレスに対処する方法はいろいろとあるんだけど、野波さんを見た感じ、向き合って原因を探して解決方法を探るっていう方法が合っているのかな?と思って」

「…え?」

「シンギングボウルの音にはヒーリング効果があるなんて言われていてね。瞑想するときやヨガの前後・最中に取り入れている人もいるそうだ。そういうのは苦手か?」

「い、いえ!だ、大丈夫です!」

なんてわけのわからない返事をして
「い、行きましょう!お店のなか」
とりあえず店のなかへ入ってみることにした。

本当は気分が重い原因なんて、もうすでにちゃんとわかってる。
原因は彼氏の怜央。

どんどんと扱いが酷くなっていて、私が好きだから別れられないでいることもしっかりわかっていて、絶妙なバランスで謝ったり嗜めたりしてくることが苦痛で仕方ない。

だけどそんなことを知る由もない宮都さんが私のことを思って連れて来てくれた場所。
無下に断るのは申し訳ないと思ってしまった。

「シンギングボール、い、1回やってみたいなって思ってたんです」
いままのいままで知らなかったけど。

「なら、よかった」

志月は店に入りかけて
「シンギングボウルね」
穂波にやさしく言った。
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