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第26話 楽しい時間
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「なら、遅めのランチでお祝いするとしよう」
いちど滑り出た言葉は取り消すはずもなく、やたら喜んでくれる志月に前言撤回できる雰囲気ではないことを思い知らされる。
それほど戦力になるとも思えないところが申し訳ない。
「そ、そんなお祝いだなんて大袈裟な」
「大袈裟?嬉しいことがあれば祝うのは当然だろう?」
「あはは…。そんなに喜んでもらうと逆に申し訳ないというか、私、そんな仕事ができるほうじゃないので委縮しちゃいます」
「ふぅん。謙虚なんだな。仕事ができるかどうかなんて受け持った内容やタイミングによるところも大きい。失敗や経験を次に生かすことが重要…なんて説教くさくなってしまった」
「宮都さん、思っていたよりもぜんぜん話しやすくて人間味のある人でよかったです」
「…それは褒められているのか?」
「もちろんです」
「なんだか宮都さんって見た目が洗練されているというか、どこか近寄りがたいオーラを身に纏っているんですよね。なんか私が普通の鍋なら、宮瀬さんはふぐとかスッポンが入った鍋みたいな」
「…ほぅ。わかりにくいたとえだな。だけどこんなふうにはっきりと言ってもらえるのは有難い。野波さん、これからもよろしく頼むからな」
「あ、はい。また語尾がおかしいですけどね?」
「なかなか会話するのも難しいな」
「ネイティブなのにときどき変なんて親しみやすくていいと思いますけど」
「野波さんは褒め上手だな」
「…そ、そうですか?」
こんな自然に誰かと話したのはいつぶりだろう?
なんだかすごく楽しくて仕方ない。
いちど滑り出た言葉は取り消すはずもなく、やたら喜んでくれる志月に前言撤回できる雰囲気ではないことを思い知らされる。
それほど戦力になるとも思えないところが申し訳ない。
「そ、そんなお祝いだなんて大袈裟な」
「大袈裟?嬉しいことがあれば祝うのは当然だろう?」
「あはは…。そんなに喜んでもらうと逆に申し訳ないというか、私、そんな仕事ができるほうじゃないので委縮しちゃいます」
「ふぅん。謙虚なんだな。仕事ができるかどうかなんて受け持った内容やタイミングによるところも大きい。失敗や経験を次に生かすことが重要…なんて説教くさくなってしまった」
「宮都さん、思っていたよりもぜんぜん話しやすくて人間味のある人でよかったです」
「…それは褒められているのか?」
「もちろんです」
「なんだか宮都さんって見た目が洗練されているというか、どこか近寄りがたいオーラを身に纏っているんですよね。なんか私が普通の鍋なら、宮瀬さんはふぐとかスッポンが入った鍋みたいな」
「…ほぅ。わかりにくいたとえだな。だけどこんなふうにはっきりと言ってもらえるのは有難い。野波さん、これからもよろしく頼むからな」
「あ、はい。また語尾がおかしいですけどね?」
「なかなか会話するのも難しいな」
「ネイティブなのにときどき変なんて親しみやすくていいと思いますけど」
「野波さんは褒め上手だな」
「…そ、そうですか?」
こんな自然に誰かと話したのはいつぶりだろう?
なんだかすごく楽しくて仕方ない。
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