【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗

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第58話 大和のこと

大和の言葉がうまく理解できないまま深刻な表情をして歩きはじめた和馬をよそに、4人は楽しそうに少し前を歩いている。

大和は二羽と、意外にも結香は洸紀と大盛り上がり。
何を話しているのかと思ったら、筋肉がどうとかプロテインがどうとか…。

おう、そうか。
俺にはなかった会話の引き出し…。

「洸紀の筋肉いい感じ~」
「そ、そうか?一応毎日ゆで卵とササミ食べてジムも行ってるからかな」

いつの間にか結香は洸紀を名前呼びで呼び捨てしているし、よほど筋肉が気に入ったのかベタベタと触りまくってご満悦。
普段はクールな洸紀も、まんざらでもないという感じで笑顔までこぼしている。

途切れることなく盛り上がる結香と洸紀に少し癒されながら、もう一度さっき会ったトモのことや大和の言葉について考えていると…。

「和馬って、歌、なに得意なの?」

大和が寄ってきて、
「いろいろ歌うよね。幅広く」
二羽も話に混じる。

そういえば、大和はどんな歌が得意なんだろう?

1年のときと同じで2年に上がったいまも同じクラスで寮部屋も隣同士。
なのに、つい最近まではまともに話したことすらなかったし、よく考えたら大和のことはほとんど知らない。

エスカレーター式の北校に外部から入ってきた数少ない生徒で、入学したときから女子たちにキャーキャー言われていたことはイラついたからよく覚えている。
あと記憶にあるのは、陸上やってて期待されたのにすぐ辞めて女子たちが騒いでいたことぐらい…。

おっと…、やべぇ。
つい、大和に壁ドンされたことや倒れた拍子に「このまま食べたい」と耳元で囁やかれたことまで思い出してしまった!

「和馬くん、大丈夫?顔、赤いけど」
二羽に言われ、
「わ、ほんと。和馬、熱あるんじゃね?」
大和に覗き込まれて、ますます顔が赤くなっていくのが自分でもわかる。

うわ、やばい。
ドキドキする…!

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