【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗

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第72話 俺のストーカー

大和のことを好きだと自覚したあとはずっとモヤモヤと気分が悪い感じが続いて、結局は朝まで一睡もできなかった。

あのあと大和が追いかけてくるかと思ったけどそれもなかったし、部屋に尋ねてくることも連絡をしてくることもないとか…。

あいつは、なめてんのか?!
俺は、こんなモヤモヤしてるというのに。

はぁ…。
彼氏がいるような男に、俺は何をときめいているんだろう…?
しかもトモが言っていたことが本当だったとしたら、俺は大和の復讐相手。

…って、そんなことはないよな?
誘惑しておいて、こっちがその気になったら捨てる作戦とか…?

完全な作り話だとは思いたいけど、トモは俺の名前も部活のことも知っていた。
そして俺が、入学時点ですでに陸上をやっていなかったことも。

もしそれが原因で大和がショックを受けていたとしたら、あれは自分の意思じゃなかったと伝えるべきか…。
でも、どのタイミングで?

俺だって続けたかった。
唯一、自分の居場所を作ってくれた陸上…。

いろいろと思い出しているとまた発作が起きる前のように心臓がバクバクしてきて、慌てて大きく息を吸って呼吸を整えた。

あ~あ、大和に会ったらなんて言おう。

冴えない気分のまま準備をしていたら、あっという間に遅刻ギリギリの時間。

急いで玄関を飛び出したら大和が立っていて、
「遅っ」
いつもみたいに言ってくる。

…まじか…。

俺をずっと待ってたのか?
電話とかメッセージじゃなく、訪ねてくるとかでもなく、玄関前で待ってるとか…。

「お前はストーカーかよっ?!」

呆れたフリをしてそうは言ったけど、
「そうそう、俺、和馬のストーカー」
フッと笑った大和に救われた。

こいつはどうして、俺には難しいことをこんなにもすんなりとやれてしまうのか?

「今日遅刻したら、和馬はまた反省文だな?」

ニヤニヤする大和の腕を掴んだ和馬は、
「走るぞ」
そう言って走り出している自分に驚いた。

なぜだろう?
大和の腕を掴んだ瞬間カラダがラクになった。

まえに大和から腕を掴まれたときと同じように恐怖心がなくなって、いつもは走ることを拒む足が自然と動く。
そしてリズムを刻んで…。

自分が走れていることに気づく。

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