【完結済】俺のモノだと言わない彼氏

竹柏凪紗

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第73話 ヤキモチを妬け

大和と走って教室へ着いたときには、和馬自身もいままでどおり自然と過ごせるぐらいメンタルが回復していた。

教室の前で大和が開発している制汗シートを和馬が使うと
「お、今日、俺と同じ香りのを使ってるじゃん。もしかして、いっしょの香りが良かったとか?」
突っ込んでくるあたりも普段の感じ。

「べ、別に大和といっしょの香りだから選んだわけじゃねぇからな」
「もっと正直になっていいのに」
「だから、俺は正直に…」

すっかりいつもと同じように話していると、教室で授業の予習をしていた二羽がこっちに気づいて
「おはよ~」
挨拶しながら近づいてきた。

そして、
「これ、サナちゃんの電話番号」
折りたたんだ白い紙を渡してくる。

「…サナちゃん…?」

「え…、覚えていないの?ちょっと前に大和くんが女の子に声をかけてくれて合コンしたじゃん。和馬くんの前に座っていた子。たまたま昨日、そこの公園でバッタリ会ってね、和馬くんに渡しておいてほしいってお願いされたんだよね」

「あぁ…」

なんとなく思い出した。
まったく話題を振ることができない俺に呆れることなく、どんどんと話しかけてくれ、けっこう話が弾んだ子。

連絡先を聞こうと思っていたのに、そのあとすぐ大和に無理やり連れて帰られたから存在自体もう記憶から消えかかっていた。
…というか、大和の存在が濃すぎて!

サナちゃんはイイ子そうだったけど、いまは興味ないかな。
無意識にチラリと大和のほうを見てしまった。

その瞬間、全身の血が一気に熱くなって心臓がやばいぐらい大音量で動きはじめる。
大和はといえば涼しい顔で二羽と盛り上がって楽しそう。

今日の朝だって、昨日のことなんてまるでなかったかのように振る舞いやがって!
くそっ、俺ばっかしんどい思いしてんじゃん。

なぜか昨日トモに会ったことまで思い出してイライラし、
「へぇ、サナちゃんか。可愛かったよなぁ~」
二羽から受け取った紙を開いて興味ありそうに振る舞ってみた。

どうだ大和、お前もたまにはヤキモチを妬け!

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