【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第137話 集まる大金

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ガリガリガリガリガリガリ…。

タブレットに映るリアルタイム動画をチェックしながらイライラした様子で爪を噛んでいた女は、スッと立ち上がってテーブルを拳で叩きつける。

「くそっ…。いまいましいヤツらを一気に始末できるチャンスがやってきたというのに…」
苛立ちを抑えられず、さっきまで座っていたイスを蹴り倒してギリギリと奥歯を噛む女。

そんな女の前にどこからともなく現れて跪いた男は
「ご機嫌斜めですね」
丁寧な言葉づかいで機嫌を伺った。

そして藍染めされた上品な風呂敷をペラリとめくり、分厚い札束を視界に入れる。

「あら、もうそんなに集まったの?」

さっきまで機嫌を損ねていたのが嘘のように明るい笑みを浮かべた女は、分厚い札束を手に取ると帯を引きちぎり、扇子のようにして扇ぎはじめた。

「皆、自分たちや家族は可愛いもの。しばらくはこの調子で黙っていても大金が集まってくるでしょう」

「さすがは秦の始皇帝の末裔ね。あなたと出会えたことに感謝しなくちゃ。同じように歴史に名を遺した人物の末裔でも自分の存在にすら気づかず、まわりを危険に晒している馬鹿もいるというのに」

男はチラリと女がさっきまで見ていたタブレットに視線を移すと、
「白波末明ですね」
ふと気味の悪い笑みを浮かべる。

「いいわねぇ、その不気味な笑み。お金のためなら何でもする、あなたのそういうところが好きよ。私の先祖もあなたの先祖と出会ったとき、どれだけ助けられたことか」

「いいえ、こちらこそ。お陰様で日本という資源豊かな国に秦の民たちを多く繁栄させることができましたから。これからも、お互いの金と欲望のために…」

男はフッと嗤うともう姿を消していた。
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