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第138話 驚きの事実
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白川先生は、柚吏の自我が目覚めたことをおじぃちゃんに話すつもりだろうか?
家までついてきてくれるのは心強いけど、どんなふうに私の状態について説明するのか、柚吏のことには触れるのか触れないのかはかなり気になるところ。
かと言って深刻な表情をしたまま気絶した恭介を肩に担ぎ、屋根や壁をパルクール状態で進んでいく白川先生に声をかけるのは憚られる。
柚吏とともに後ろに続いていた末明は、
「白波と馬戸は、運命や引き寄せという言葉は信じるかな?」
とつぜん聞かれて返答に困った。
「なぁ先生、なんでさっきから変なことばっかり聞くんだ?」
柚吏は不機嫌そう。
「そうだよ。先生、なんか変だよ?」
末明もあとに続く。
「…悪い。実は…」
白川先生はいちど何かを言おうとしたが、すぐに
「いや…。そうだな。今日は変だ。悪かった」
そう言って静かに口を閉ざしてしまった。
柚吏と末明は不思議そうに顔を見合わせる。
そうこうしているうちに、元忍者屋敷だった白波家の建物が見えてきた。
「デカイ家だな!」
「まぁ、元忍者屋敷だからね」
「こんなすごい屋敷で住んでるって末明のおじぃちゃん、相当すごい忍者なのか?」
それが全然そんなことないんだよね。お酒には飲まれるしギャンブルにはふけるし、そのうえ女の人がやさしく接客してくれるキャバクラやスナックが大好きすぎて莫大な借金してるとか、絶対に言えない。
…って思ったけど、確か柚吏って、おじぃちゃんが忍者協会に借金を肩代わりしてもらうために私と紗里をAランク忍者と偽って契約したことは知ってたんだった。
いやでも、お酒・ギャンブル・おんな好きが原因でっていう肝心の部分を知っているかどうかは謎だから、やっぱりこれはシークレット案件!
柚吏への説明に迷っていたとき、
「白波のおじぃさんは、忍者協会における陰の立役者でありキーマンだよ」
白川先生がびっくりして目玉が飛び出るようなことを言った。
「え…?そうなのぉっ?!」
「な…っ、まさか白波、知らなかったのか?」
家までついてきてくれるのは心強いけど、どんなふうに私の状態について説明するのか、柚吏のことには触れるのか触れないのかはかなり気になるところ。
かと言って深刻な表情をしたまま気絶した恭介を肩に担ぎ、屋根や壁をパルクール状態で進んでいく白川先生に声をかけるのは憚られる。
柚吏とともに後ろに続いていた末明は、
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とつぜん聞かれて返答に困った。
「なぁ先生、なんでさっきから変なことばっかり聞くんだ?」
柚吏は不機嫌そう。
「そうだよ。先生、なんか変だよ?」
末明もあとに続く。
「…悪い。実は…」
白川先生はいちど何かを言おうとしたが、すぐに
「いや…。そうだな。今日は変だ。悪かった」
そう言って静かに口を閉ざしてしまった。
柚吏と末明は不思議そうに顔を見合わせる。
そうこうしているうちに、元忍者屋敷だった白波家の建物が見えてきた。
「デカイ家だな!」
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それが全然そんなことないんだよね。お酒には飲まれるしギャンブルにはふけるし、そのうえ女の人がやさしく接客してくれるキャバクラやスナックが大好きすぎて莫大な借金してるとか、絶対に言えない。
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