【奨励賞・受賞】彼氏がイケメンなのは絶対ヒミツ

竹柏凪紗

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第62話 おじぃちゃんがいた不思議

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自我の柚吏がおじぃちゃんに封じ込められて最初の休憩時間、隣同士の末明と柚吏の席へやってきた紗里が
「まだまだ警察の事情聴取、続くらしいよ。終わった人から帰れるとか、ズルイよね」
そうスネた。

最初の1時限目を潰してはじまった警察の事情聴取は1人平均10分程度。
警察官が2人がかりでやってくれてはいるものの45分が経ったいまも帰ったのはまだ8人だけという状況。

「まだあと20人も残ってるんだよ。はぁ…、最悪」

溜め息をついた紗里に、
「仕方ないですね、皆さん待ってますから。しんどいですけど呼ばれるまで待ちましょう」
柚吏が声をかける。

その瞬間、
「え?えっ?ええっ?ゆ、柚吏?!」
驚く紗里。

もういちど大きく驚いて、
「ん…?自我じゃないほうの柚吏だよね?」
声を潜めて確認する。

「…あ…はい。僕は、普段の柚吏です…。って言うのもなんか変ですけど、自我の柚吏ではありません」
「え…、ちょっと、どういうこと?さっき話があるって言ってたのは柚吏のほうだったよね…?ん?柚吏が自我を封じ込めてってお願いしたってこと???」

驚きまくりの紗里を引っ張り、ひとまず女子トイレへ。
トイレへ到着したときにはチャイムが鳴っていたけど、2人ともそれどころじゃない。

さっきまでの出来事とともにおじぃちゃんのことを話したら、
「え?ええぇっ?どうして末明のおじぃちゃんが学校に?」
めちゃめちゃ驚いている。

そういえば、そう。
自我の柚吏が封じ込められたことでそんなところまで頭が回ってなかったけど、そもそもおじぃちゃんが学校にいたというのは不思議な話。

もしかして、任務を受けてからずっと見張ってた…?
でもそれなら、皇帝が気づきそうなもの。

…ということは、昨日の帰りが遅かったから?
う~ん、それもなんか違う気がする。

「末明、おじぃちゃんにいろいろ話したの?」
「ううん、まさか!」

「だったらどうして、末明のおじぃちゃんは学校にいたんだろう?」
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