やさしさの溢れる世界で

竹柏凪紗

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第39話 どういう魂胆?(※閲覧注意)

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スタッフの控室。

ゲーセンのシャワーを借りてすっかりきれいになった伊吹と男子高校生に
「災難だったな」
あたたかいお茶をふるまってやりながら店長兼オーナーで胡桃の父、坂東ばんどう

篠崎と胡桃はゲーセンフロアへ吐しゃ物の掃除へ行き、先に座っていた里奈と吏都、秋穂は坂東が出してくれたお菓子を満喫していた。

「す、すみません…。お店を汚しちゃったうえ、シャワーまで借りてしまって…」

ずっと俯いたまま申し訳なさそうに言う男子高校生に
「そんなこと、気にしなくていいって。誰でも気分が悪けりゃあ吐いたりもするだろ」
坂東が出してくれたお茶を熱そうにすすりながら伊吹。

「同感だけどお前が言うなよ、伊吹。ここは俺の店だぜ?俺が言わなきゃコイツ、ずっと恐縮したままになるだろうが」

「…あ、なるほど。そりゃそうか。悪い、悪い」

伊吹は気まずそうに頭を掻くと
「…まぁそういうことだから、もう気にするな!」
男子高校生の背中をバシン…と叩いて
「そんなことよりお前、名前は?」
なんて聞く。

「…へ?」

「名前だよ。名前。お前、名前ねぇの?」

面倒臭そうに言った伊吹に
「おい、言い方」
吏都が注意。

「ごめんね。こいつ、口と態度と頭は悪いけど、結構やさしいヤツだから」

フォローした吏都に
「おい、吏都お前、ケンカ売ってんのか?!」
伊吹が机を叩いて立ち上がる。

「ほらほら、すぐそういうことするから誤解されるんだってば。早く名前、もういっかい聞いてみたら?」

呆れた様子の吏都に促され、勢いよく隣に座り直した伊吹にビクっとなりながらも
「や、山田た、太郎です!」
小刻みに震えながら答える男子高校生。

そんな2人を見て吏都が笑って聞いた。

「…というか、伊吹が他人の名前を聞くなんて珍しい。いったい、どういう魂胆?」
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