やさしさの溢れる世界で

竹柏凪紗

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第50話 ロクでもない人たち

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伊吹と太郎の後ろを歩きながら
「なんか今日、めちゃくちゃいろいろあったね。里奈、大丈夫?」
里奈に声をかけたのは秋穂。

「…めちゃめちゃ疲れた…」

どっと疲れた様子で言った里奈は
「もしさ、またゲーセンの男みたいなヤツに脅されそうになったら相談してよ。まぁ、たいしたことはできないけど」
やさしく秋穂から声をかけられて戸惑った。

なんか、思ってた感じと違う。
そうあらためて思ったから。

心の中では正直、偏見があった。

夜間高校なんて。
見下しみたいな、そんな気持ち。

「夜間なんて、ヤンキーとか半グレみたいな馬鹿か遊び人みたいなチャラいヤツしか行かねぇだろ」
なんて、誰かが言ってた。

「あとは経済的な事情があるとか」
「けど、高校って公立は無償じゃん?」

中学で入試の話が出たとき、いろいろと耳にしたけれど、そのどれもが微妙な内容ばかりで、嘘なのか本当なのかもわからず深く知りたいとも思わなかったこと。

頭のどこかでうっすらとロクな人たちがいないのだと決めつけていたようにも思う。

自分とは無縁の世界だと、どこかで思っていた。

だけど、こんなボロボロの私にやさしい声をかけてくれたのは、そのロクでもないと思っていた人たちで…。

「り、里奈、だ、大丈夫?!」

「な、泣いてんじゃん!ど、どうした?秋穂、お前が泣かしたのか?!」
「んなわけないでしょっ!」

なぜか急にあふれてきた涙を引っ込めてくれたのもまた、ロクでもないと思っていた人たちだった。

そして気づかされる。
勝手に偏見を持ってロクでもなかったのは、私だったのだと。
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