もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第4話 耳たぶへのキス

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普段どおり仕事をする同僚たちのすぐ近く、耳元で告白のような言葉を囁かれた沙那は一瞬、時が止まったように錯覚して焦る。

「…え?」

「まぁ沙那の気が向いたらってことで。考えておいて」
そのまま耳たぶをそっと咥える感じでキスをしてきた由衣に動揺が止まらない。

…え?
これって…。
ど、どういうこと?

「え、え、え、ええっ…、えっと…、ちょっと待って。由衣…」

「そんなビビらなくても襲ったりしないって。そんなことより、さっさとクズ男のことなんか忘れて次の恋愛でもしないとね」
普段どおりに微笑む由衣。

え、どういうこと?
由衣の意図がわからない。
まさか本当に私のことを好きとか…?

…いやいや、ないない。

「あ、そうだ。これ、新商品お披露目イベントの企画書。広報に持って行ってくれない?私このあと、ちょっと急ぎで出なきゃいけなくて」

「うん、いいけど。広報の誰に持って行けばいい?」
「ちょっと前に移動してきた飛鷹ひだかさん」
「あぁ、いたね。みんながイケメンだって大騒ぎしてる人」

「うん、そう。アイドル並みの人気を集めている飛鷹さんね。まぁ…、私はあの人、どうも苦手なんだけどね。不愛想というか表情ない感じが何を考えているのかわからないし、キツそうじゃん?」

「へぇ珍しい。由衣に苦手な人なんているんだ?」

「そりゃあ苦手な人の1人や2人くらい誰でもいるでしょ。沙那は私のこと、どんな目で見てるの?」
そんなふうに聞かれ、さっきのキスが頭の中に浮かんできて気まずくなった。

「…あ、い、行ってくるね。ゆ、由衣も気をつけて」
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