もう恋なんてしない

第26話 カラダだけでも

「誰よりも沙那のことを愛してあげられるよ？大切にもする。拓人みたいに3股をかけたり沙那にお金を貢がせたりしないよ。いっぱい愛させて…？」

由衣の口から出てきたのは深くて甘い言葉。
同じように私も由衣のことが好きだったら、きっとすごく嬉しい言葉なんだと思う。

でも…。
違う。

大切な同僚で友だち。
すごく大好きなのに、恋愛としての好きとは違う。

こんなに好きって言ってくれているのに…。

困惑する沙那に
「無理なんだ？」
冷たい声が降り注ぐ。

「どうして？」
そう聞かれ、答えに困る。

どうしてなのか、こっちが聞きたい。

由衣のことをいますぐ好きになれたらどんなにラクだろうって思う。
でも、それができないから苦しい。

少しの間お互いに無言の時間が続いて
「だったらカラダだけでも私のモノにしていい？」
「…へ？」
突然のことに声が裏返った。

「じょ…冗談だよね…？」
コロの付いたオフィス用のイスに座ったまま思わず後ずさった沙那。

「冗談？そんなわけないじゃん。カラダの相性がよければ、私も恋愛対象に入るかもしれないし。ね？」
気づいたときには両肩を強く押さえつけられていて
「このまま両腕を縛って自由を奪われたまま犯されたい？それとも甘くてやさしいほうが好き？」
真剣な表情でそう聞かれていた。