もう恋なんてしない

第41話 潜入調査

飛鷹から何を頼まれるのかとドキドキ、そして少し不安に感じていた沙那は
「あんた素直だから、俺が作った料理の味見をしてくれないか？」
そう頼まれて拍子抜け。

「そ、そんなことですか？もちろんＯＫですけど、想像してたのとちょっと違いすぎて…」
「…ん？一体どんなすごいことを頼まれると思っていたんだ？」

「例えばですけど、“例の事件”はホストが行方不明になっている事件でしょ？だからお客さんとしてホストクラブに潜入してほしいとか…」

沙那が言った途端
「それ、いいね。採用」
突然そんな声が聞こえてきて焦る。

聞き覚えのある声に振り向くと、立っていたのは相師。

「…相師？」

「あぁ、エビさんにコレ。ちょっと早いけど、お店に来たついでに渡しておこうと思って買ってきた」
「そうか。もうそんな時期か…」

しんみりとした声で言った飛鷹をチラリと見ながら
「さっきの話、さっそく明日どう？」
相師が沙那に聞く。

「…えっと？」

「ホストクラブへの潜入」

満面の笑みで答えた相師に
「は？お前、会社の人間に潜入調査をやらせるなんて…」
反対する飛鷹。

「ただホストと話すだけだよ？送り迎えは俺たちが責任もってやれば危なくもないでしょ。それとも飛鷹が新人ホストのフリをしてホストクラブに入職でもする？」

「…は？なんで俺が」

「だって俺はホストってガラじゃないし」
「は？どう考えても俺か相師なら、絶対に相師のほうがホスト向きだろうが」

ゴチャゴチャと言い合いがはじまってしばらくしたとき
「私、ホストクラブに潜入してみます」
気づいたら沙那は宣言していた。

それはなぜか、飛鷹にはホストをやってほしくないと思ったから…。
…え？
どうして…？