もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第58話 密室でドキドキ

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テーブルの置かれた1台のタブレットを覗き込むって、結構な感じで距離が近い。

隣同士で2人、その前に2人座れる仕様にはなっている普通のテーブではあるけれど、こうして正面から見るとあらためて整っている千隼の顔が近すぎてドキドキする。

誰もいない無音の倉庫。
小窓しかない倉庫は電気をつけても薄暗い感じで雰囲気もいい感じ…。

…って、なにが?
もう私、本当におかしい。

「…で、どのホストクラブに潜入したい?」
「そう聞かれても…」

「なるほど。ホストクラブは初めてか?」
「はい。行ったことなくて…」

だから正直、潜入調査なんかが私にできるのか不安でたまらない。

ただ飛鷹さんに新人ホストのフリをして潜入してほしくなかったから咄嗟に立候補しただけで…。
かなり不安。

「…どこに行ったらいいとかありますか?」
不安そうに聞く沙那に飛鷹が聞く。

「できればこのINNOCENTイノセント、もしくはlumineルミネのどちらかに潜入してほしいというのが本音だな。まだ調査段階だが、どちらのホストクラブでも複数のホストが行方不明になっている」

説明する飛鷹の顔面が近い!
うぅ~っ、心臓が止まりそう…。

ドキドキを抑えながら
「でもそんなことニュースとかネットで話題になってましたっけ?」
疑問を飛鷹にぶつける。

「いや。まだ騒ぎにはなっていないようだ」

「…え?このネットやSNSが盛んな時期にそんなことってあります?」
「俺たちもそこは謎なんだが、なにか理由があるのかもしれない」

「へぇ。不思議ですね…。ところで飛鷹さんたちはどうしてホストの行方不明事件なんか調べてるんですか?」
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