もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第89話 カップル設定

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相師の知り合いの店で着替えを済ませ、ABC遊園地へ。

「…あ、ちなみに沙那ちゃんと飛鷹はカップルって設定だからよろしくね」

到着するなりびっくりするようなことを言いはじめた相師に
「フリとはいえそんなことを沙那に確認もせず勝手に決めていいわけないだろう?」
すぐに飛鷹が抗議した。

さらに
「しかも俺と恋人設定なんて申し訳なさすぎるし…」
なんて言いはじめたところで
「…え?そんなことないよね、沙那ちゃん?」
相師が片目を閉じ、合図を送るようにして沙那に振る。

「え…あ…」

戸惑う沙那を見て
「ほら見ろ。だいたい相師は強引すぎなんだ」
飛鷹が機嫌を損ね
「さ、沙那ちゃん、本当にいいの?」
そっと相師が耳打ちしてきた焦りもあって…。

「む、むしろ私は嬉しいですけど」
なんてとんでもないことを口走ってしまったことに気づいて慌てて口を塞ぐ。

「へぇ~」

ニヤニヤしながら沙那を見つめる相師に、顔を真っ赤にしたまま絶句してしまった飛鷹。

「沙那ちゃんも嫌じゃないなら、カップル設定なんだし、手くらいはつないで行ってもらわないとね?」

そう言って相師は腕時計を確認。

「あ~、パーティとっくにはじまってるから、ウダウダしないでさっさと行って」

言い放って2人を追い出した相師は溜め息をついて後部座席のシートにもたれ込んだ。

「何なんだよあの2人、いつの間にかお互いにめちゃめちゃ好きじゃん?なのに、じれったすぎるわまじで。イライラする…」
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