もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第91話 本物の恋人以上

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これは…本物の恋人以上なのでは…?!
沙那は飛鷹に包まれるようにして歩きながらふと思う。

だってこんなめちゃめちゃ寄り添った歩き方、恋人同士だってなかなかしないかも。

考えているうちに遊園地への出入口ゲートが目前に迫り
「きれいだな」
暗闇を照らす色とりどりの電飾を見て飛鷹が漏らした。

遊園地の灯りを瞳に映しながらほんの少しだけ緩んでいる表情を見て沙那もなんだか嬉しくなる。
飛鷹と同じように遊園地のイルミネーションをきれいだと感じていたから。

もしかして飛鷹さんも意外とライトアップとか好きだったりするのかな…?

まぁ…。
ほぼ無表情だけどw

「飛鷹さん、意外なところがいっぱいあって楽しいです」

嬉しそうに微笑んだ沙那に
「沙那は変わっているな」
少し突き放したような冷たい言い方をする飛鷹。

「どうしてですか?」

「…よくイメージと違うと驚かれたり引かれたり…。自分では素直な反応や行動をしただけなのにまわりからそういう態度をとられるたびに嫌な思いをしていてな…」

「…え?私、そんなつもりじゃ…」
「わかっている。だからそういうふうに言ってもらえたことがちょっと嬉しくて…」

完全に沙那とは目が合わないよう視線を逸らした飛鷹が
「だから…嬉しくなった」
言った瞬間、沙那は吹き出した。

「…は?」

急に笑い出した沙那を飛鷹が驚いたように見つめる。

「ご、ごめんなさい。だって、さっきの反応はまったく嬉しそうじゃなかったですよ…?」
「…え?」

「無表情だったし、少し突き放したような冷たい言い方だったし」

思いっきり笑いながら
「でもそういうところも含めて飛鷹さん、めちゃめちゃ魅力的です!」
告白みたいな言葉を口走ってしまいながら
「早く行きましょう」
誤魔化すように飛鷹の大きな手をギュっと握って引っ張った。
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