もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第124話 嫉妬からのキス

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「上原さんがあんなにシイタケファームの工場見学を楽しみにしていたなんて意外でした。しかも神妙な表情で確かめたいことがあるって…。一体なにを確かめたいんでしょう?」

昨日のことを思い出しながら、倉庫でいっしょに仕事をしていた飛鷹に沙那が聞く。

不機嫌な飛鷹に睨まれ
「…飛鷹さん、睡眠不足で眠いとか?」
つい聞いてしまった。

「睡眠不足?…あぁ、まぁ眠いのは眠いが…。なぜそんなことを聞くんだ?」
「な、なんかものすごく不機嫌そうな顔をしていたので」

沙那に言われてイラっとした自分に戸惑う。

「あ、眠気を覚ましたいときは、手のココ。中指の親指寄りにある爪の生え際を押すとスッキリしますよ。中衝ちゅうしょうっていうツボらしいです」

説明しながら自分の中指を押して微笑む沙那にスッと手を差し出す飛鷹。

「…ん?」

一瞬だけ驚く素振りを見せた沙那の反応に思わず手を引っ込めそうになった飛鷹は
「ツボ、推しますね」
白くて細い指にやさしく捕まえられていた。

きれいでしなやかではあるけれど骨ばった飛鷹の中指に沙那の指が触れる。

「眠気、冷めてきました?」

ツボを刺激されながら聞かれ
「…不機嫌だったのは…眠かったからじゃない。沙那が相師のことばかり気にかけるからだ」

イラっとした飛鷹は止まらない。

「…え?そ、そんなつもりじゃ…」

戸惑う沙那の腕を掴んだ飛鷹は
「イラつく」
少し強引に唇を重ねていた。
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