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第51話 ドキドキ
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とつぜん割り込んできた翡翠を見て怒りがおさまらないという様子の陽翔は
「まだ話してんだけど?」
イライラしながら言う。
「でも玲人、泣きそうな顔してるよ」
そう言いながら翡翠が玲人の耳元で囁く。
「陽翔、ムキになってる。いい感じだよ。だからこのまま無視して教室へ戻ろう。そうすれば、仲直りできる日も近いよ」
翡翠に気づいて、
「お前、なに吹き込んでんの?」
陽翔が睨みながら近づく。
それでも翡翠は涼しい表情を崩さない。
「そんな怖い目で見つめるからでしょ?玲人が怖がってるから。ほら、王子スマイルだよ」
にっこりと翡翠が微笑んだとき、
「だ、大丈夫?」
「何があったの?」
パタパタと屋上に駆け上がってきた取り巻き女子たちは陽翔と翡翠の二手に分かれてワーキャー騒ぎはじめた。
取り巻き女子たちに囲まれたまま呆然と立ち尽くしている陽翔とは対照的に
「行こう、玲人」
翡翠はすぐに玲人の手を取って言葉をかける。
そして取り巻き女子たちにも
「ごめんね。またあとでね」
きちんと声をかけ、笑顔を振りまいた。
そして人気のない階段下まで辿り着いたとき
「陽翔にとつぜん手を握って引っ張られて怖かったよね?よく頑張ったよ、玲人」
ギュッと抱きしめられていた。
翡翠くんは、やさしい。
陽翔とは対照的すぎて…。
戸惑ちゃうよ。
玲人は無意識に翡翠の制服を掴んでいることに気づいてハッとした。
え…?
どうして俺、翡翠くんにドキドキしてるんだろ…?
「まだ話してんだけど?」
イライラしながら言う。
「でも玲人、泣きそうな顔してるよ」
そう言いながら翡翠が玲人の耳元で囁く。
「陽翔、ムキになってる。いい感じだよ。だからこのまま無視して教室へ戻ろう。そうすれば、仲直りできる日も近いよ」
翡翠に気づいて、
「お前、なに吹き込んでんの?」
陽翔が睨みながら近づく。
それでも翡翠は涼しい表情を崩さない。
「そんな怖い目で見つめるからでしょ?玲人が怖がってるから。ほら、王子スマイルだよ」
にっこりと翡翠が微笑んだとき、
「だ、大丈夫?」
「何があったの?」
パタパタと屋上に駆け上がってきた取り巻き女子たちは陽翔と翡翠の二手に分かれてワーキャー騒ぎはじめた。
取り巻き女子たちに囲まれたまま呆然と立ち尽くしている陽翔とは対照的に
「行こう、玲人」
翡翠はすぐに玲人の手を取って言葉をかける。
そして取り巻き女子たちにも
「ごめんね。またあとでね」
きちんと声をかけ、笑顔を振りまいた。
そして人気のない階段下まで辿り着いたとき
「陽翔にとつぜん手を握って引っ張られて怖かったよね?よく頑張ったよ、玲人」
ギュッと抱きしめられていた。
翡翠くんは、やさしい。
陽翔とは対照的すぎて…。
戸惑ちゃうよ。
玲人は無意識に翡翠の制服を掴んでいることに気づいてハッとした。
え…?
どうして俺、翡翠くんにドキドキしてるんだろ…?
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