もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第190話 脱がせて

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「なぁ千隼、銭湯に来たってことは当然…服を脱がせてくれるだろ?」

…は?

千隼の言葉に反応してどうするべきか焦っていた絢世は固まった。
いや、さすがに頭おかしいでしょ社長。

「…は?」
ほらほら、千隼さんも引いてる。

「なんだよ冷たいな。昔みたいに脱がせっことかしたいなって思ったのにさ」
「いつの話だ?」

呆れる千隼に
「そうか。それは残念だ。俺は昔みたいに千隼とはしゃぎながらお風呂を愉しみたいと思って山のように溜まっている仕事を蹴ってまで来たんだぞ」
ぼやく友己。

いやいや社長、よく考えてみ?
昔みたいにって、いつの話って感じだし。

なんで大の大人が、恋人でもないヤツの服を脱がす?

しかも銭湯だぞ、ここ。
人も結構多い。

こんな場所で千隼さんがそんなことするはず…。

思った次の瞬間
「帰ろうかな」
友己がつぶやき、絢世はまた固まることになった。

千隼が友己のジャケットに手をかけていたから。

ウソ…だろ?
え…。

俺いま、何を見せられてんの?
まじで意味わかんないんだけど!

カラダの中が一瞬にして熱くなって、視界がぼんやりと黒く曇っているような気分。
友己がニヤけた顔でチラチラとこちらを見ているのがわかる。

いやもう…。
本当にぜんぜん意味がわかんねぇ!
社長はともかく千隼さんまで、一体なに考えてんだ?

「俺が帰ります…」

思わずそう絢世が口走ったとき、
「ここからは自分で脱ぐよ千隼。絢世も早く脱げ。何なら手伝ってやろうか?」
友己がふざけた感じで絢世のジャケットに手をかける。

なんだよ…。
まじムカつく。

そんな絢世に友己が耳元で囁いた。

「もっとヤキモチ妬けよ?」
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