もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第519話 カラダの自由を奪う

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俯いたまま突っ立っている大垣の後ろで見え隠れしていた成金は、その背中にぶつかるようにしながら室内へ。

ぶつかられた拍子にふらついた大垣に
「邪魔ねぇ」
非情な言葉を浴びせると絢世の前までやってきてニヤリと笑った。

「こんなにも早く絢世さんに再会できるなんて嬉しいわ」
「…お前…!約束は守る主義じゃなかったのかよ?!」

キレ気味に怒鳴った絢世を見おろしながら
「きれいな顔をしているのに口が悪いだなんていけないわ」
絢世の口の両方に指を突っ込んで強く左右に引っ張り、意地悪な口調で言う。

「いま、絢世さんは手足を拘束されていてアタシにカラダの自由を奪われているの。このままその口を引き裂いちゃうこともできるのよ。お忘れなく」

「…っ!」

言葉にならない声が漏れたのを嘲笑いながら、絢世の口を弾くようにして成金が指を放す。

「約束は守ったわ。アタシはウソをつかない。だから高峰のタクシーだってあのあとすぐにレッカー移動させて修理してる。終わり次第に高峰タクシーへ連絡するつもりよ」

淡々と説明し
「それから…」
続ける成金。

「アンタたちもこれっきり。アタシにはかかわらないこと。そうしないと絢世さん、今度はもっと酷い目に遭うわよ。アタシはそう言ったわよね。アレだって嘘じゃない。あのときほど酷い目に遭わせたりはしないわ。だってあなたに薬物を使うことなんてもう、できないもの」

カラダの奥が嫌悪感と恐怖で軋むのがわかる。

「だからクスリが使えないぶん、カラダの自由を奪わせてもらったわ。やさしいでしょ?ぜんぜん酷い目になんて遭わせてない」

成金はスーッと絢世の頬を撫でると
「やっぱり絢世さんの顔、タイプだわ…」
うっとりとした目で見つめて言った。
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