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第522話 薬物を混入したタイミング
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「カギは閉めておくし、絢世がいない間は俺が早朝も店のカギ明けをするから。とりあえずゆっくり休め。絢世は心配ないから」
床に散らばったグラスの破片を片づけながら言う大垣をしばらく見つめていた千隼は
「…俺も、絢世やシズクと同じように大垣さんを信じます」
静かに伝えて立ち上がった。
そしてうなだれたままのシズクに声をかけ
「シズク、行くぞ」
帰るよう促す。
ゆっくりと立ち上がったシズクは
「夜営業終わってからのカギ閉めは俺がやるんで、任せてくださいね」
どうにか作った笑顔で微笑む。
「…無理…するな…」
俯いたまま言った大垣の様子がおかしいことはシズクにもわかった。
テーブルを拳で殴ったときにはすでに感じていた違和感が確信へと変わっていく。
それでも
「今日は、ありがとうございました」
お礼だけ言って店を出る。
店から出た瞬間、泣きそうになって千隼にしがみついた。
違う。
嘘だ。
大垣さんは何もしていない。
繰り返すたびに虚しくなっていく。
「…千隼さん…。絢世さんがいなくなったことに大垣さんが絡んでいるかもしれません」
ギュッと千隼のロングコートを握りしめて歩きながらボソリと言うシズク。
慰めてやりたいのに言葉が出てこない。
「…鼻水つけるなよ」
言いながらシズクを思いっきり抱きしめて千隼は空を仰いだ。
飲み物に薬物を混入したのは大垣で間違いない。
けれどなぜ、自分が関与していると名乗り出るような方法で薬物を飲み物に入れたのか?
千隼は首を捻った。
床に散らばったグラスの破片を片づけながら言う大垣をしばらく見つめていた千隼は
「…俺も、絢世やシズクと同じように大垣さんを信じます」
静かに伝えて立ち上がった。
そしてうなだれたままのシズクに声をかけ
「シズク、行くぞ」
帰るよう促す。
ゆっくりと立ち上がったシズクは
「夜営業終わってからのカギ閉めは俺がやるんで、任せてくださいね」
どうにか作った笑顔で微笑む。
「…無理…するな…」
俯いたまま言った大垣の様子がおかしいことはシズクにもわかった。
テーブルを拳で殴ったときにはすでに感じていた違和感が確信へと変わっていく。
それでも
「今日は、ありがとうございました」
お礼だけ言って店を出る。
店から出た瞬間、泣きそうになって千隼にしがみついた。
違う。
嘘だ。
大垣さんは何もしていない。
繰り返すたびに虚しくなっていく。
「…千隼さん…。絢世さんがいなくなったことに大垣さんが絡んでいるかもしれません」
ギュッと千隼のロングコートを握りしめて歩きながらボソリと言うシズク。
慰めてやりたいのに言葉が出てこない。
「…鼻水つけるなよ」
言いながらシズクを思いっきり抱きしめて千隼は空を仰いだ。
飲み物に薬物を混入したのは大垣で間違いない。
けれどなぜ、自分が関与していると名乗り出るような方法で薬物を飲み物に入れたのか?
千隼は首を捻った。
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