もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第607話 みんなで嵌めた?

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にこやかに挨拶をした美咲をチラリと見ながら溜め息をついた高峰のすぐ近くで
「え~っ?!え、え、え、え~っ?!」
大声を出して驚くシズク。

そんなシズクの声にびっくりしながらも
「雨宮さん、あんた車にGPS発信機を取り付けられていると思うから確認したほうがいい」
高峰がそっと言う。

「ええっ?!じ、GPSって物騒な…。それってまさか元…」

元締め?

そう聞こうとしたシズクの口を高峰は思いっきり塞いだとき
「高峰さ~ん、お待たせしました」
高峰クリニックで医師として働く萩尾零士はぎおれいじが大きなバッグを持って走ってきた。

「一応は鎮静剤も持ってきましたけど…」
息を切らしながら美咲のほうをチラリと見た零士。

そんな零士と目が合った美咲は逃げようとして、しっかりと千隼に腕を掴まれていた。

「ちょ…、は、放してよ!」
掴まれている腕を振りほどこうとする美咲。

まったく歯が立たずしっかりホールドされたまま千隼を睨みつけた美咲は
「なに?みんなして私を嵌めたってこと?!」
激しく怒鳴って暴れはじめた。

「…すんごい暴れるなぁ…。零士、笑気麻酔」

指示した高峰の手にマスクのようになっている専用機器を手渡す零士を見つめて
「鎮静剤って注射じゃないんですね?」
シズクが興味津々で聞く。

「あぁ。注射でおこなう静脈内鎮静法だと事前に禁食や禁水が必要だが、笑気吸入鎮静法の場合は不要だし気道刺激も少なく臓器機能への影響もないといわれているからな。それにこれだけ暴れられたら注射は無理だ」

シズクの質問に答えながら高峰は美咲の鼻に専用機器を押し当てる。
そして深刻な顔をして千隼に言った。

「彼女は成金が関わっていたある施設に監禁されていたらしい。それを佐原社長が見つけてな。詳しい事情はあとで話すが、とにかく雨宮さん、あんたに恐ろしいくらい執着している。気をつけてくれ」
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