もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第637話 慎重な手口

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シズクと黛が美咲を担ぐようにして支えながら連れて行ったあと、駐車場へ行ってしばらく千隼が所有する車体の下回りを見て回っていた友己が顔を上げて首を捻る。

車体の下回りをスマホのライトで照らしながら、かなり入念にチェックしていた。
当然、さっきまでは絢世や千隼も同じようにGPS発信機を探していたけれどまったくもって見つからず。

「くそっ、これだけ探しても見つからないってことは車体の中心部に近い位置にGPS発信機を仕掛けてあるのかもしれないな」

溜め息をついた友己に
「付き合わせて悪いな」
申し訳なさそうに千隼。

「本当にな。俺はまだ入院中の身だぞ。シズクと、俺たちを病院まで送ってくれた黛店長といい感じで盛り上がってたのに高峰さんから電話があって絢世が危ないかもしれないなんて言うもんだから大慌てで駆けつけたけどよ」

不満気に言った友己は
「今度、創作フレンチの店BANQUETバンケで腹が避けるくらいたらふく食ってやるから絢世、奢れよ」
絢世に牙を剥く。

「お、俺?!」
「当たり前だろ。絢世の危機に駆けつけたんだから」

「…BANQUETバンケって、アウトレットモールにある店でしょ?佐原社長が1回連れて行ってくれた」
「そうそう」

「む、無理でしょ。あの店でたらふく食べるって、何万円かかると思ってるんです?」

不安そうに抗議する絢世を横目に
「GPS発信機は盗聴器や超小型カメラみたいに強い電波を発していないから発見器のような電波探知機やアプリで設置位置を特定するのは無理ってなぁ…。面倒臭せぇ」
イラつきながら友己はさらに続ける。

「まぁ想像はしていたが、強力な磁石付きのGPS発信機をシャーシ・フレームにくっつけてあるなんていう単純な感じではなさそうだ。絶対にバレたくないっていうのが伝わってくる慎重な手口だな」
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