もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第665話 アンビバレンス

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「…どうして…?どうして千隼さんはシズクが裏切者だと思うんです…?」

言葉が口からではなく、全身から抜けていくような妙な感覚に陥りながら絢世。

だけどそのあと滑り出していたのは
「…どうして…?どうして千隼さんはシズクが裏切者だと思うんです…?」
言葉が口からではなく、全身から抜けていくような妙な感覚に陥りながら絢世。

だけどそのあと滑り出していたのは
「理由は?証拠は何なんです?」
自分でも驚くほど怒りをはらんだ攻撃的な声で戸惑ってしまう。

信頼している千隼からの言葉に揺れ動いてしまいそうになる気持ちやシズクを信じるという気持ち。
そしてシズクを信じているからこそ千隼に対してわいてくる怒りとわずかな絶望が心の中を抉っていく。

だからこそ無意識にきつい口調で千隼にあたってしまった。

ハッとして
「…ごめんなさい…」
すぐに謝ったのに、なぜか千隼が嬉しそうで焦る。

けれどすぐ
「…千隼さん?」
絢世が名前を呼んだ瞬間にまた厳しい表情へ。

「だいたいシズクはよくしゃべるしお調子者だし、どこか信用ならない」
この悪口のようなものは一体いつまで続くのか。

気が変になりそうで苦しい。

その原因は明らか。
千隼はもちろん、シズクのことも同じくらい大切で信じているから。

「わざとらしく財布なんか置いていなくなったところをみると、なかに何か入っているんじゃないか?」
「…え?」

「稀血の絢世を元締めのところまで誘導する仕掛けがしてあったりしてな」

千隼が言ったとき
「いい加減にしてください!」
絢世はついにブチ切れた。
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