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1:はじまりはじまり
やけ酒してたら死んだんだが?
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「くっそ、まじで最低!!」
俺はバーで一人やけ酒を飲んでいた。俺の荒れた声にカウンター内にいるママが近寄ってくる。
「どうしたのー類ちゃん。やけに荒れてるじゃない」
「振られたんだよ! くそ!!」
「くそくそっていやーねぇ。この前言ってた商社マン?」
このゲイバーで、俺の恋愛遍歴はママに筒抜けだ。
結構長かったのにねぇ、と言われることにあらためてショックを受ける。
「類ちゃん、あんまり真剣に恋愛しないからぁ」
「一応こっちは真剣なんだよ! 結果セフレになってるだけで!」
「それが真剣じゃないって言ってんの」
ぐうの音も出ない言われように、俺は何杯目か分からないカクテルを飲み干した。
もう腹の中でかなりのアルコールがちゃんぽんしていて、ぐらりと目が回る。
「ほらほら。今日はちゃんと帰りなさいな」
その辺のにお持ち帰りされないようにね、とママに追い出されて、俺は新宿二丁目の夜を歩いた。十二月の新宿はいつもよりきらびやかで、それが一層心を寒くする。
(最悪。結婚するからってなんだよ)
俺が付き合っていたと思っていた男は商社に勤めていた。システム畑の俺と仕事の話は合わなかったが、体の相性はそこそこいいと思っていた。
今度の家の更新にあわせて一緒に住もうかなんて話まで出ていたのに。
(海外赴任が決まって、今の彼女と結婚するからって。はあ? だわ)
いつもこんなのばっかりだ。
基本的に社畜な俺は仕事が忙しいし、社会に出てからはゲイバーでの出会いが恋愛のきっかけであることが多かった。そういう場所で出会って、付き合うまでは比較的スムーズ。
今度こそはと思うけれど、大体半年ぐらいで「セフレだった」「恋人がいる」「なんか違う」いろんな理由で振られてしまう。いっそのこと、割り切ってしまえれば楽だろうに、どこかで運命の人がいるんじゃないかと思ってしまう。
今回は一年半近く付き合いが続いて、今度こそはと思っていたのに。
(むなし……もう恋なんてしねぇー……)
本気だったのになと思いつつ、元カレとのLINE画面をブロックするのに数秒戸惑う。信号が変わって、スマホを尻ポケットに入れたままふらふらと歩いた。
(飲みすぎたな……やべー、勿体ないけどタクシー……)
そんなことを考えていると、ぶるぶるっとスマホが震える。まさか、とそれを取り出すと、いつもやってるソシャゲの通知だった。
(なんだ……)
まだ元カレからの連絡に期待している自分が馬鹿みたいだ。自分が情けなくて笑えたその時、
「きゃあああああ!!」
「やばい! よけろ!」
冷たい夜をつんざくような悲鳴と大きな音。体に走る衝撃、血まみれの視界の中で見えた、顔をふせたトラックドライバー。
(あ。死んだわ、これ)
衝撃とともにぷつっと意識が途切れて、胸の痛みに呼吸が、息が……
「ぶはっ!! ……っ、あっ、ぁっ、はっ!!」
「ああ……目覚めたか」
突然の呼吸。目の前に飛び込んできた光に瞬く。
俺を覗き込んできた影におびえて思わず体を起こしたがよく見えない。
自分の顔が濡れているのは分かった。視界がまだ狭い……。
――その中で見えたのは赤い瞳。
そして俺はまたふっと意識を失っていく。
「おい……おい……!」
「アレクシ様、この方はもしや……!」
意識が遠のく中で、不穏な単語が耳に残る。
「もし本当に神子であるなら、セレスティアルにお連れしなくては!」
それは、俺がやりこんでいたBLゲーム「神子の守護者~五人の皇子と神託の神子~」の神殿名だった。
俺はバーで一人やけ酒を飲んでいた。俺の荒れた声にカウンター内にいるママが近寄ってくる。
「どうしたのー類ちゃん。やけに荒れてるじゃない」
「振られたんだよ! くそ!!」
「くそくそっていやーねぇ。この前言ってた商社マン?」
このゲイバーで、俺の恋愛遍歴はママに筒抜けだ。
結構長かったのにねぇ、と言われることにあらためてショックを受ける。
「類ちゃん、あんまり真剣に恋愛しないからぁ」
「一応こっちは真剣なんだよ! 結果セフレになってるだけで!」
「それが真剣じゃないって言ってんの」
ぐうの音も出ない言われように、俺は何杯目か分からないカクテルを飲み干した。
もう腹の中でかなりのアルコールがちゃんぽんしていて、ぐらりと目が回る。
「ほらほら。今日はちゃんと帰りなさいな」
その辺のにお持ち帰りされないようにね、とママに追い出されて、俺は新宿二丁目の夜を歩いた。十二月の新宿はいつもよりきらびやかで、それが一層心を寒くする。
(最悪。結婚するからってなんだよ)
俺が付き合っていたと思っていた男は商社に勤めていた。システム畑の俺と仕事の話は合わなかったが、体の相性はそこそこいいと思っていた。
今度の家の更新にあわせて一緒に住もうかなんて話まで出ていたのに。
(海外赴任が決まって、今の彼女と結婚するからって。はあ? だわ)
いつもこんなのばっかりだ。
基本的に社畜な俺は仕事が忙しいし、社会に出てからはゲイバーでの出会いが恋愛のきっかけであることが多かった。そういう場所で出会って、付き合うまでは比較的スムーズ。
今度こそはと思うけれど、大体半年ぐらいで「セフレだった」「恋人がいる」「なんか違う」いろんな理由で振られてしまう。いっそのこと、割り切ってしまえれば楽だろうに、どこかで運命の人がいるんじゃないかと思ってしまう。
今回は一年半近く付き合いが続いて、今度こそはと思っていたのに。
(むなし……もう恋なんてしねぇー……)
本気だったのになと思いつつ、元カレとのLINE画面をブロックするのに数秒戸惑う。信号が変わって、スマホを尻ポケットに入れたままふらふらと歩いた。
(飲みすぎたな……やべー、勿体ないけどタクシー……)
そんなことを考えていると、ぶるぶるっとスマホが震える。まさか、とそれを取り出すと、いつもやってるソシャゲの通知だった。
(なんだ……)
まだ元カレからの連絡に期待している自分が馬鹿みたいだ。自分が情けなくて笑えたその時、
「きゃあああああ!!」
「やばい! よけろ!」
冷たい夜をつんざくような悲鳴と大きな音。体に走る衝撃、血まみれの視界の中で見えた、顔をふせたトラックドライバー。
(あ。死んだわ、これ)
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「ぶはっ!! ……っ、あっ、ぁっ、はっ!!」
「ああ……目覚めたか」
突然の呼吸。目の前に飛び込んできた光に瞬く。
俺を覗き込んできた影におびえて思わず体を起こしたがよく見えない。
自分の顔が濡れているのは分かった。視界がまだ狭い……。
――その中で見えたのは赤い瞳。
そして俺はまたふっと意識を失っていく。
「おい……おい……!」
「アレクシ様、この方はもしや……!」
意識が遠のく中で、不穏な単語が耳に残る。
「もし本当に神子であるなら、セレスティアルにお連れしなくては!」
それは、俺がやりこんでいたBLゲーム「神子の守護者~五人の皇子と神託の神子~」の神殿名だった。
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