【R18】異世界転生したら、まさかの総受ヒロインポジ(しかもΩ)だったんだが?

二久アカミ

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1:はじまりはじまり

目覚めたらお姫様ポジだったんだが?

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「ううん……」

 変な夢を見た、と思ったのもつかの間、俺は目の前の薄いカーテンに驚いた。これは……いわゆるあれだ。異世界ファンタジーとかで見るお姫様が寝てる……そう! 天蓋付のベッド。

(は? 俺はなんでこんなところに……)

 腕がふわりとした感触に沈む。体を起こすと、ベッドのそばで人影が動いた。

「気がつかれましたか?」
「あなたは……」

 俺の隣にいた男は、そっと手元の本を閉じて、ベッドのそばに跪いた。

「初めまして、神託の神子。私は宰相ランベールと申します」

 胸にそっと添えられた手の所作がきれいだと見惚れたが、そんな暇はない。

(ランベール? ランベールだって? やっぱりここは……!)

 銀の長髪に少し尖った耳。特徴的な丸眼鏡。俺は最近ずっとやりこんでいたソシャゲのことを思い出した。


 BLゲーム「神子の守護者~五人の皇子と神託の神子~」。
 攻略対象選択型のシナリオメインBLゲームだ。つい三週間ほど前にリリースされ、プレイヤーは主人公である神託の神子(男)になりかわり、守護者となりうる五人の皇子と親密度を高めて結ばれるというゲームである。
 BLゲームらしく、オメガバースをベースにしたつくりになっており、主人公はΩ、皇子たちはαかβで、それぞれとの恋愛には障害があるが、最終的には恋人として結ばれるというシナリオゲームだ。なお、壁モードという、好きな皇子たちをカップリングできるモードも近々アップデートされるという話だった。
 俺はこのゲームのクロヴィスという第一皇子が好きで、その攻略のルートを色々探っていた。まだリリースされたばかりだし、社畜の俺はそこまでやりこめていないけれど、ハッピーエンドスチルには辿り着いた。シナリオは結構エロくて大満足だった。
 いや、そんなことはどうでもいい。

 目の前にいるランベールは、まさにそのゲームの中にいる宰相である。ゲームのガイド役。
 つまりここは……

(ゲームの世界のスタート地点ってことか!?)

  自分の記憶は曖昧だ。確か新宿二丁目で酔っぱらった後、信号を渡っていた。スマホを見ると、このゲームの通知が来ていて、そして、悲鳴とともに衝撃が走り……

 (トラックに轢かれた……おそらく居眠り運転。俺は即死か死にかけってことか?)

  夢にしてはやけにリアルだ。転生?転移?よく分からない。
 ただ、理論ではなく、自分の実感としては、この世界に「生まれ変わった」という感覚が近い。

「神子? ご気分はいかがですか?」
「あ……神子、というのは……?」
「どうぞお鏡を」

 すぐそばにもう一人従者がいたようだ。渡された金の手鏡をそっと覗くと、そこにはいつもの自分の顔。黒い髪、黒い目、そして……

「その首の文様が神子であられる何よりの証拠です」

 首を一周している、翼のようなタトゥー。

(いや、こんなものは俺にはなかった!!)

 「神子の守護者」の主人公にはスチルがない。顔なしで描かれたことはあるが、そういえば、絡みのシーンで首周りに神子としての文様が~とか言ってたような! オメガバースだから首元に何かあるんだなーぐらいの認識で、必死でシナリオを進めていた俺の記憶は曖昧だ。

「これは……」
「それこそが我が国に幸福と富をもたらす神子の証。しかし、αの皇子たちと面会するにあたり、こちらをつけていただかねばなりません」
「あ……」

 そこで俺は思い出した。そうだそうだ。αもΩも魔法薬などである程度フェロモンは抑えられるが、神子の守護者=番を決めるまではこのチョーカーをはめておかなくてはいけないんだった。
 ランベールに差し出された革製のチョーカーをつける。すると、不思議なことに、俺の指に呼応するように、バチンっと何かがはじけて首周りにきれいにそれがフィットした。息苦しさはない。
 これでいいのかな? とランベールの方を見つめると、彼はその長い銀髪をゆらし、手を差し出した。

「では参りましょう」
「え? ど、どこへ……?」
「我が神殿セレスティアルの礼拝堂で、皇子たちがお待ちです」

 そのセリフに言葉に、俺の心臓の奥がぎゅっとなる。
 ゲームの一番最初のスチルシーン。


 やはり、俺はBLゲームの世界に転生してしまったらしい。
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