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1:はじまりはじまり
目覚めたらお姫様ポジだったんだが?
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「ううん……」
変な夢を見た、と思ったのもつかの間、俺は目の前の薄いカーテンに驚いた。これは……いわゆるあれだ。異世界ファンタジーとかで見るお姫様が寝てる……そう! 天蓋付のベッド。
(は? 俺はなんでこんなところに……)
腕がふわりとした感触に沈む。体を起こすと、ベッドのそばで人影が動いた。
「気がつかれましたか?」
「あなたは……」
俺の隣にいた男は、そっと手元の本を閉じて、ベッドのそばに跪いた。
「初めまして、神託の神子。私は宰相ランベールと申します」
胸にそっと添えられた手の所作がきれいだと見惚れたが、そんな暇はない。
(ランベール? ランベールだって? やっぱりここは……!)
銀の長髪に少し尖った耳。特徴的な丸眼鏡。俺は最近ずっとやりこんでいたソシャゲのことを思い出した。
BLゲーム「神子の守護者~五人の皇子と神託の神子~」。
攻略対象選択型のシナリオメインBLゲームだ。つい三週間ほど前にリリースされ、プレイヤーは主人公である神託の神子(男)になりかわり、守護者となりうる五人の皇子と親密度を高めて結ばれるというゲームである。
BLゲームらしく、オメガバースをベースにしたつくりになっており、主人公はΩ、皇子たちはαかβで、それぞれとの恋愛には障害があるが、最終的には恋人として結ばれるというシナリオゲームだ。なお、壁モードという、好きな皇子たちをカップリングできるモードも近々アップデートされるという話だった。
俺はこのゲームのクロヴィスという第一皇子が好きで、その攻略のルートを色々探っていた。まだリリースされたばかりだし、社畜の俺はそこまでやりこめていないけれど、ハッピーエンドスチルには辿り着いた。シナリオは結構エロくて大満足だった。
いや、そんなことはどうでもいい。
目の前にいるランベールは、まさにそのゲームの中にいる宰相である。ゲームのガイド役。
つまりここは……
(ゲームの世界のスタート地点ってことか!?)
自分の記憶は曖昧だ。確か新宿二丁目で酔っぱらった後、信号を渡っていた。スマホを見ると、このゲームの通知が来ていて、そして、悲鳴とともに衝撃が走り……
(トラックに轢かれた……おそらく居眠り運転。俺は即死か死にかけってことか?)
夢にしてはやけにリアルだ。転生?転移?よく分からない。
ただ、理論ではなく、自分の実感としては、この世界に「生まれ変わった」という感覚が近い。
「神子? ご気分はいかがですか?」
「あ……神子、というのは……?」
「どうぞお鏡を」
すぐそばにもう一人従者がいたようだ。渡された金の手鏡をそっと覗くと、そこにはいつもの自分の顔。黒い髪、黒い目、そして……
「その首の文様が神子であられる何よりの証拠です」
首を一周している、翼のようなタトゥー。
(いや、こんなものは俺にはなかった!!)
「神子の守護者」の主人公にはスチルがない。顔なしで描かれたことはあるが、そういえば、絡みのシーンで首周りに神子としての文様が~とか言ってたような! オメガバースだから首元に何かあるんだなーぐらいの認識で、必死でシナリオを進めていた俺の記憶は曖昧だ。
「これは……」
「それこそが我が国に幸福と富をもたらす神子の証。しかし、αの皇子たちと面会するにあたり、こちらをつけていただかねばなりません」
「あ……」
そこで俺は思い出した。そうだそうだ。αもΩも魔法薬などである程度フェロモンは抑えられるが、神子の守護者=番を決めるまではこのチョーカーをはめておかなくてはいけないんだった。
ランベールに差し出された革製のチョーカーをつける。すると、不思議なことに、俺の指に呼応するように、バチンっと何かがはじけて首周りにきれいにそれがフィットした。息苦しさはない。
これでいいのかな? とランベールの方を見つめると、彼はその長い銀髪をゆらし、手を差し出した。
「では参りましょう」
「え? ど、どこへ……?」
「我が神殿セレスティアルの礼拝堂で、皇子たちがお待ちです」
そのセリフに言葉に、俺の心臓の奥がぎゅっとなる。
ゲームの一番最初のスチルシーン。
やはり、俺はBLゲームの世界に転生してしまったらしい。
変な夢を見た、と思ったのもつかの間、俺は目の前の薄いカーテンに驚いた。これは……いわゆるあれだ。異世界ファンタジーとかで見るお姫様が寝てる……そう! 天蓋付のベッド。
(は? 俺はなんでこんなところに……)
腕がふわりとした感触に沈む。体を起こすと、ベッドのそばで人影が動いた。
「気がつかれましたか?」
「あなたは……」
俺の隣にいた男は、そっと手元の本を閉じて、ベッドのそばに跪いた。
「初めまして、神託の神子。私は宰相ランベールと申します」
胸にそっと添えられた手の所作がきれいだと見惚れたが、そんな暇はない。
(ランベール? ランベールだって? やっぱりここは……!)
銀の長髪に少し尖った耳。特徴的な丸眼鏡。俺は最近ずっとやりこんでいたソシャゲのことを思い出した。
BLゲーム「神子の守護者~五人の皇子と神託の神子~」。
攻略対象選択型のシナリオメインBLゲームだ。つい三週間ほど前にリリースされ、プレイヤーは主人公である神託の神子(男)になりかわり、守護者となりうる五人の皇子と親密度を高めて結ばれるというゲームである。
BLゲームらしく、オメガバースをベースにしたつくりになっており、主人公はΩ、皇子たちはαかβで、それぞれとの恋愛には障害があるが、最終的には恋人として結ばれるというシナリオゲームだ。なお、壁モードという、好きな皇子たちをカップリングできるモードも近々アップデートされるという話だった。
俺はこのゲームのクロヴィスという第一皇子が好きで、その攻略のルートを色々探っていた。まだリリースされたばかりだし、社畜の俺はそこまでやりこめていないけれど、ハッピーエンドスチルには辿り着いた。シナリオは結構エロくて大満足だった。
いや、そんなことはどうでもいい。
目の前にいるランベールは、まさにそのゲームの中にいる宰相である。ゲームのガイド役。
つまりここは……
(ゲームの世界のスタート地点ってことか!?)
自分の記憶は曖昧だ。確か新宿二丁目で酔っぱらった後、信号を渡っていた。スマホを見ると、このゲームの通知が来ていて、そして、悲鳴とともに衝撃が走り……
(トラックに轢かれた……おそらく居眠り運転。俺は即死か死にかけってことか?)
夢にしてはやけにリアルだ。転生?転移?よく分からない。
ただ、理論ではなく、自分の実感としては、この世界に「生まれ変わった」という感覚が近い。
「神子? ご気分はいかがですか?」
「あ……神子、というのは……?」
「どうぞお鏡を」
すぐそばにもう一人従者がいたようだ。渡された金の手鏡をそっと覗くと、そこにはいつもの自分の顔。黒い髪、黒い目、そして……
「その首の文様が神子であられる何よりの証拠です」
首を一周している、翼のようなタトゥー。
(いや、こんなものは俺にはなかった!!)
「神子の守護者」の主人公にはスチルがない。顔なしで描かれたことはあるが、そういえば、絡みのシーンで首周りに神子としての文様が~とか言ってたような! オメガバースだから首元に何かあるんだなーぐらいの認識で、必死でシナリオを進めていた俺の記憶は曖昧だ。
「これは……」
「それこそが我が国に幸福と富をもたらす神子の証。しかし、αの皇子たちと面会するにあたり、こちらをつけていただかねばなりません」
「あ……」
そこで俺は思い出した。そうだそうだ。αもΩも魔法薬などである程度フェロモンは抑えられるが、神子の守護者=番を決めるまではこのチョーカーをはめておかなくてはいけないんだった。
ランベールに差し出された革製のチョーカーをつける。すると、不思議なことに、俺の指に呼応するように、バチンっと何かがはじけて首周りにきれいにそれがフィットした。息苦しさはない。
これでいいのかな? とランベールの方を見つめると、彼はその長い銀髪をゆらし、手を差し出した。
「では参りましょう」
「え? ど、どこへ……?」
「我が神殿セレスティアルの礼拝堂で、皇子たちがお待ちです」
そのセリフに言葉に、俺の心臓の奥がぎゅっとなる。
ゲームの一番最初のスチルシーン。
やはり、俺はBLゲームの世界に転生してしまったらしい。
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