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1:はじまりはじまり
Ωの薬をもらったんだが?
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その後、カイトに城のメイン棟ともう一つの棟を案内してもらう。メインの方には大広間や王の間があるということで、今日は入ることができず、簡単に場所の案内だけだ。
もう一棟の方には主に会議室や食堂などがあるようだ。食事は部屋でもとれるが、皇子たちとの会食などにも使えるらしい。
その奥には城に勤めている使用人たち用の宿舎、各皇子の親衛隊の待機宿舎や厩屋など。あとは畑などもあるようだった。
俺たちの部屋のある方は奥に森があり、そのさらに奥に神殿がある。
王宮には立派な中庭と森、そして狩猟用の草原なども裏にひろがっており、思っていた以上に自然が多い。
(これは慣れるまでは迷子になりそうだな……)
しかし、俺はそれなりに動かなくてはならない。
カイトにお願いをして、城と周辺の見取り図を特別に写させてもらった。ゲームのように簡単にはいかなくとも、ちゃんとした情報整理は必要だ。
そうして、部屋に戻ろうとした時、アイリという魔術師に会うことができた。彼はすぐに俺にあった処方だと言ってΩ用の魔法薬を持ってきてくれた。
「一日一回、定期的に飲み続けなければ効きが悪くなりますので、お気をつけくださいませ」
「分かったよ。ありがとう」
「あと、それでもヒートがひどい時期がございましたら、なんなりとご相談を」
心強い言葉に嬉しく思うが、俺にはいまいち「ヒート」がどういうものなのか分からない。
そりゃ、受け側としてムラっとするときはあるけど、付き合っていなかったりセフレがいなかったりの時期には割と淡白な方だったからだ。
(とりあえず今日の分は飲んでおくか)
言われた通り、薬瓶の小さな受け口に入れて一杯飲み干す。味は悪くない。色がとてつもなくどぎついピンクなだけで……。
味はお世辞にも美味いとは言えなかったが、飲むのに苦労する感じではなかった。薬瓶の中身もたっぷりあるし、容量と言われた蓋のカップは小さい。子供のシロップ薬みたいなもんだった。
(はあ、これからどうしたもんかな)
五人の皇子たちとの接触……明日から色々とイベントごとが始まっていくのだろう。
俺は出会ってしまったゴーチエのことを思い出し、嫉妬システムについてハッと気づいた。
(そうだ……! 嫉妬ステータスだけでも分かれば、変なことにはならないよな? 確か嫉妬ステータスが分かるのはブレスレット……王宮の森の奥にある泉にあったはず!)
(あのアイテムが泉に浮かぶのは確か夜だけだったよな。それで入手に苦労したわけだし!)
「とりあえず場所確認に行ってみるか」
ランベールはあんなことを言っていたが、カイトも王宮の結界は強力だと言っていた。
思い立ったが、とばかりに俺はベッドから飛び起き、そっと廊下へと抜け出す。
俺はカイトからもらった地図を、さらに小さな紙に写して部屋を出た。
もう一棟の方には主に会議室や食堂などがあるようだ。食事は部屋でもとれるが、皇子たちとの会食などにも使えるらしい。
その奥には城に勤めている使用人たち用の宿舎、各皇子の親衛隊の待機宿舎や厩屋など。あとは畑などもあるようだった。
俺たちの部屋のある方は奥に森があり、そのさらに奥に神殿がある。
王宮には立派な中庭と森、そして狩猟用の草原なども裏にひろがっており、思っていた以上に自然が多い。
(これは慣れるまでは迷子になりそうだな……)
しかし、俺はそれなりに動かなくてはならない。
カイトにお願いをして、城と周辺の見取り図を特別に写させてもらった。ゲームのように簡単にはいかなくとも、ちゃんとした情報整理は必要だ。
そうして、部屋に戻ろうとした時、アイリという魔術師に会うことができた。彼はすぐに俺にあった処方だと言ってΩ用の魔法薬を持ってきてくれた。
「一日一回、定期的に飲み続けなければ効きが悪くなりますので、お気をつけくださいませ」
「分かったよ。ありがとう」
「あと、それでもヒートがひどい時期がございましたら、なんなりとご相談を」
心強い言葉に嬉しく思うが、俺にはいまいち「ヒート」がどういうものなのか分からない。
そりゃ、受け側としてムラっとするときはあるけど、付き合っていなかったりセフレがいなかったりの時期には割と淡白な方だったからだ。
(とりあえず今日の分は飲んでおくか)
言われた通り、薬瓶の小さな受け口に入れて一杯飲み干す。味は悪くない。色がとてつもなくどぎついピンクなだけで……。
味はお世辞にも美味いとは言えなかったが、飲むのに苦労する感じではなかった。薬瓶の中身もたっぷりあるし、容量と言われた蓋のカップは小さい。子供のシロップ薬みたいなもんだった。
(はあ、これからどうしたもんかな)
五人の皇子たちとの接触……明日から色々とイベントごとが始まっていくのだろう。
俺は出会ってしまったゴーチエのことを思い出し、嫉妬システムについてハッと気づいた。
(そうだ……! 嫉妬ステータスだけでも分かれば、変なことにはならないよな? 確か嫉妬ステータスが分かるのはブレスレット……王宮の森の奥にある泉にあったはず!)
(あのアイテムが泉に浮かぶのは確か夜だけだったよな。それで入手に苦労したわけだし!)
「とりあえず場所確認に行ってみるか」
ランベールはあんなことを言っていたが、カイトも王宮の結界は強力だと言っていた。
思い立ったが、とばかりに俺はベッドから飛び起き、そっと廊下へと抜け出す。
俺はカイトからもらった地図を、さらに小さな紙に写して部屋を出た。
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