【R18】異世界転生したら、まさかの総受ヒロインポジ(しかもΩ)だったんだが?

二久アカミ

文字の大きさ
9 / 11
1:はじまりはじまり

夜の森は怖いんだが?

しおりを挟む
 俺は書き写した地図を見ながら廊下を抜け、外に出た。
 部屋にあった灯りがちょうどよくランタン代わりになるものでラッキーだ。
 こういうご都合のいいところはソシャゲのままらしい。
 
 城の裏側にある森。神殿の方に向かってその森に入っていく。
 
(そういえば、俺がアレクシと出会ったのもこの森の中と聞いたような)
(うーん、ゲームの始まりってああだっけ? 神殿に落ちるんじゃなかったか?)

 どこまでがゲームと同じでどこからが違うのか分からない。
 自分の攻略対象が分からない不安で、かなり混乱しているのかもしれなかった。

(確かこの森の奥に泉があって……)

 嫉妬ステータスが分かるアイテムは虹色の宝石のついたブレスレットだったはずだ。
 ちょっとそういうのが乙女ゲームっぽいよなあと思いつつプレイしていた記憶がある。
 とにかく、ゲームとは違って人の感情が数字で見えないのは不便で仕方がない。攻略対象がわからない限り、とりあえずのアイテムは必要だ。俺は明日からのイベントに備えて装備を整える冒険者の気分だった。

 夜の冷えた空気が頬を撫でる。ぶるりと体が震えてしまい、はあと息を吐いた。
 鬱蒼とした夜の森は、静かな風のせいか、不穏なざわめきに揺れていた。
 
(ランベールが妙なことを言っていたな)
 
『魔獣が出るやもしれませんよ』

 確かに魔獣がいて魔法が使える世界線ではあったはずだが、シナリオに魔獣が出てくるのは各皇子と結ばれかけてからの外的要因として、だったはずだ。
 それに城と神殿、つまり王宮の敷地内は広大とはいえ、しっかりと結界が張られていて、魔獣は出入りできなくなっている。……はずだ!
 
 要するに、二人の恋愛を盛り上げるために出てくる障壁の一つでしかないって認識。本編でもバトルシーンなんてイケメン皇子たちのスチルであるぐらいだし。魔獣なんてものを具体的に思い描けなかった。現実世界でいうところのクマみたいなもんだろうか?
 ……いや、それは出会った瞬間、完全にアウトじゃね??
 
(ま、まあ……大丈夫だろ。出ない出ない!)
 
 少し冷えた空気に不安になるものの、俺は強い気持ちをもって森の奥に進んでいく。
 この森の泉は木々が開けたところにあるはず。
 
「……あった!」
 
 わずかな光に導かれて俺は明るい方へ進んでいく。
 小さな泉は大きな月に照らされ、水面が光り輝いていた。
 
「うわ……綺麗……」

 思わずそんな言葉がでて、俺は泉の近くにゆっくりと歩み寄る。少し背の高い草とぬかるみが不安定だった。
 たしかこの近くでアイテムとして拾ったはずなのだ。それこそ月が出ている夜、草むらで何かが光って……

(ん?)
 
 自分がいるのと反対側、ちらりとした反射に気づいてそちらを見ると、そこに少し大きな影があった。
 ……人だ。誰がこんな時間にこんなところに?と思うも、相手も向こうを向いていてよく見えない。
 
(誰だ……? 髪は長そうな……)
 
 その瞬間、向こうが先にこちらに気づき、ばっと振り返る。

「誰だ!?」

 その大きな声に驚き、思わず後ずさると……

「うわっ!?」

 俺は「なにものか」に足をとられ、そのまま逆さに吊り上げられてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

オメガだと隠して魔王討伐隊に入ったら、最強アルファ達に溺愛されています

水凪しおん
BL
前世は、どこにでもいる普通の大学生だった。車に轢かれ、次に目覚めた時、俺はミルクティー色の髪を持つ少年『サナ』として、剣と魔法の異世界にいた。 そこで知らされたのは、衝撃の事実。この世界には男女の他に『アルファ』『ベータ』『オメガ』という第二の性が存在し、俺はその中で最も希少で、男性でありながら子を宿すことができる『オメガ』だという。 アルファに守られ、番になるのが幸せ? そんな決められた道は歩きたくない。俺は、俺自身の力で生きていく。そう決意し、平凡な『ベータ』と身分を偽った俺の前に現れたのは、太陽のように眩しい聖騎士カイル。彼は俺のささやかな機転を「稀代の戦術眼」と絶賛し、半ば強引に魔王討伐隊へと引き入れた。 しかし、そこは最強のアルファたちの巣窟だった! リーダーのカイルに加え、皮肉屋の天才魔法使いリアム、寡黙な獣人暗殺者ジン。三人の強烈なアルファフェロモンに日々当てられ、俺の身体は甘く疼き始める。 隠し通したい秘密と、抗いがたい本能。偽りのベータとして、俺はこの英雄たちの中で生き残れるのか? これは運命に抗う一人のオメガが、本当の居場所と愛を見つけるまでの物語。

こわがりオメガは溺愛アルファ様と毎日おいかけっこ♡

なお
BL
政略結婚(?)したアルファの旦那様をこわがってるオメガ。 あまり近付かないようにしようと逃げ回っている。発情期も結婚してから来ないし、番になってない。このままじゃ離婚になるかもしれない…。 ♡♡♡ 恐いけど、きっと旦那様のことは好いてるのかな?なオメガ受けちゃん。ちゃんとアルファ旦那攻め様に甘々どろどろに溺愛されて、たまに垣間見えるアルファの執着も楽しめるように書きたいところだけ書くみたいになるかもしれないのでストーリーは面白くないかもです!!!ごめんなさい!!!

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

お兄ちゃんができた!!

くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。 お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。 「悠くんはえらい子だね。」 「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」 「ふふ、かわいいね。」 律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡ 「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」 ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。

処理中です...