29 / 51
3:年上上司の愛し方(※)
(2)
しおりを挟む
*
会議室の端で、濱口は珍しく怒っていた。会議室には濱口と奥村の二人しかいない。昼前に奥村が送ってきたメールに驚いて、濱口が会議帰りの奥村を捕まえ、空き会議室で話をしたいと言ったのだ。
「なんでなんだよ?」
「仕事だってわかってんだろ。予定が無理になっただけじゃねえか」
「だって! 出張行き違いで、三週間もゆっくり会えてなくて」
「仕事場で会ってるだろ、こうやって」
「会ううちに入らないでしょ……そんなの! オレ、そういうこと言ってんじゃないんすよ!」
今日は金曜日の夜、一緒に御飯食べてお泊まりのはずだった。
奥村が雑誌でここ行ってみたいと言っていたところを予約までしていたのに。今朝になってのドタキャンに、事情が仕事だとわかっていても文句を言いたくなったのだ。それには積もり積もった理由だってある。
「部屋行って、待ってますし」
「疲れてるから相手できねえよ」
「飯作っておくから……! 待ってます! 一緒に過ごしたいんですって」
「濱口」
聞き分けろよ、子供か、と奥村がいらついて睨んでくる。濱口は思わず黙り込んで、なんだよ! とむかつきにぐしゃぐしゃにされた気分だった。
(何それ、だって、この前だって、礼人さんずっと寝てて、オレ家事しただけで……っ……! 出張で会えなくて、今日、すげえ楽しみにしてたのに!)
困った顔の奥村は、本当に、もういいだろう、と言わんばかりで時計を気にし始めている。それも気に入らない。濱口は、なんなんだよ!と怒鳴りつけたいのを抑えて、息をひとつ大きく吸い込んだ。
「あや、……奥村さん……じゃあ」
呼び方を戻して、少しだけ、とキスをしようと壁側にある彼の体に近づく。しかし、目を閉じた濱口の唇は、むぎゅっと奥村の掌におさえられてしまった。
「っ!」
「バカか、お前は!」
仕事場で何考えてる、そう冷たい声で言い放った奥村は、濱口をきっと睨んだ。眼鏡の奥のきれいな瞳に、少し蔑むような色が見えて、濱口はぐっと押し黙る。
「っ! でも、キスぐらい……」
「ありえねえ……お前なあ! いい加減にしろ!」
声を荒げた奥村に、びくっと濱口が揺れた。怯えてしまう。別に奥村自身は恐くはないのに、いや、そうじゃなくて、嫌われるんじゃないかと思うのが怖くなってきていて。
そんな濱口に、奥村は少し黙り、大きな溜息をついた。ずきん……と胸がいたむ。だって、だって、オレは!と濱口は、全然個人的に会えてなかった奥村にたまっていた想いをぶちまけそうになった。
「礼人さん……だって、オレは恋人なんじゃねえの? 言ってもらえてないけど、オレ、そうだって思ってました。こんなに会えないの辛くて……キスくらいして確かめたい」
「場所考えろって言ってんだよ」
「だって……! つ、次いつ会えるかわかんねーのに……一週間前だってドタキャンだったし! そうだよ……っ、今日のお店だって、予約取り直してるんだぜ!? 次、どうすんの……っ」
「仕事だっつってんだろ。今忙しいのわかってんだろーが。……キャンセルはオレがしとくし、他の誰かと行くなら、オレが金もってやるから」
「! そういうことじゃなくて! そうじゃなくて! オレがすっごく楽しみにしてたってわかんねえの!? いきなりメールで、無理になった、だけで……っ、オレのこと、どうでもいいのかって思うだろ!?」
構ってくれないにも程がある、と言う言葉をぐっと飲み込んで、沈黙の後に、震える声で、オレだって寂しいのに……と、呟いた。
奥村はむっとして黙ってしまう。互いに長い沈黙をどちらが破るのか待っているまま時間が経つ。奥村が長い溜息をついて、仕事だって分かってるのに我が儘言うな、と苛立つ声で呟くのが先だった。
「お前がこんな聞き分けねえのバカだと思わなかった」
「……は? えっ!?」
「子供じゃねえんだ。これだけそばにいて……オレがどれだけ仕事を大事にしてるか、わかるだろ!」
すたすたと会議室から出ていく奥村は少し乱れたネクタイを直し、濱口には着いてくるなという雰囲気を背中から撒き散らして歩いて行く。濱口は、その場に座り込み、あああ、もう! と大きな手のひらで顔を覆った。
(なんだよ! すげえむかつく!! 会いたいとかねえのかよ!! オレ、すげえ我慢してたのに! こんな風にキャンセル続いたら、オレとはもうダメなのかな、って思うに決まってるじゃねえか……!)
イライラしながら部署に戻ると、席についた瞬間に先輩に呼ばれ、はい? と振り向くと相手が微妙な表情を浮かべた。
「なんだ恐い顔してぇ! 営業先で何かあったか?」
「いえ……違います。すみません」
うわ、機嫌悪いの丸出しだったかも最悪、と濱口は笑おうとするが、どうにも笑顔が不自然になってしまう。先輩はそこまでは気付かず、ちょっと内緒話でもするように、彼の耳に唇を近づけた。
「あのさ、お前、今夜暇?」
「……」
相手に言われて夜の予定の空白を思い出し、がっくりと項垂れてしまう。……暇ですよ、と答えるのが精一杯だった。
会議室の端で、濱口は珍しく怒っていた。会議室には濱口と奥村の二人しかいない。昼前に奥村が送ってきたメールに驚いて、濱口が会議帰りの奥村を捕まえ、空き会議室で話をしたいと言ったのだ。
「なんでなんだよ?」
「仕事だってわかってんだろ。予定が無理になっただけじゃねえか」
「だって! 出張行き違いで、三週間もゆっくり会えてなくて」
「仕事場で会ってるだろ、こうやって」
「会ううちに入らないでしょ……そんなの! オレ、そういうこと言ってんじゃないんすよ!」
今日は金曜日の夜、一緒に御飯食べてお泊まりのはずだった。
奥村が雑誌でここ行ってみたいと言っていたところを予約までしていたのに。今朝になってのドタキャンに、事情が仕事だとわかっていても文句を言いたくなったのだ。それには積もり積もった理由だってある。
「部屋行って、待ってますし」
「疲れてるから相手できねえよ」
「飯作っておくから……! 待ってます! 一緒に過ごしたいんですって」
「濱口」
聞き分けろよ、子供か、と奥村がいらついて睨んでくる。濱口は思わず黙り込んで、なんだよ! とむかつきにぐしゃぐしゃにされた気分だった。
(何それ、だって、この前だって、礼人さんずっと寝てて、オレ家事しただけで……っ……! 出張で会えなくて、今日、すげえ楽しみにしてたのに!)
困った顔の奥村は、本当に、もういいだろう、と言わんばかりで時計を気にし始めている。それも気に入らない。濱口は、なんなんだよ!と怒鳴りつけたいのを抑えて、息をひとつ大きく吸い込んだ。
「あや、……奥村さん……じゃあ」
呼び方を戻して、少しだけ、とキスをしようと壁側にある彼の体に近づく。しかし、目を閉じた濱口の唇は、むぎゅっと奥村の掌におさえられてしまった。
「っ!」
「バカか、お前は!」
仕事場で何考えてる、そう冷たい声で言い放った奥村は、濱口をきっと睨んだ。眼鏡の奥のきれいな瞳に、少し蔑むような色が見えて、濱口はぐっと押し黙る。
「っ! でも、キスぐらい……」
「ありえねえ……お前なあ! いい加減にしろ!」
声を荒げた奥村に、びくっと濱口が揺れた。怯えてしまう。別に奥村自身は恐くはないのに、いや、そうじゃなくて、嫌われるんじゃないかと思うのが怖くなってきていて。
そんな濱口に、奥村は少し黙り、大きな溜息をついた。ずきん……と胸がいたむ。だって、だって、オレは!と濱口は、全然個人的に会えてなかった奥村にたまっていた想いをぶちまけそうになった。
「礼人さん……だって、オレは恋人なんじゃねえの? 言ってもらえてないけど、オレ、そうだって思ってました。こんなに会えないの辛くて……キスくらいして確かめたい」
「場所考えろって言ってんだよ」
「だって……! つ、次いつ会えるかわかんねーのに……一週間前だってドタキャンだったし! そうだよ……っ、今日のお店だって、予約取り直してるんだぜ!? 次、どうすんの……っ」
「仕事だっつってんだろ。今忙しいのわかってんだろーが。……キャンセルはオレがしとくし、他の誰かと行くなら、オレが金もってやるから」
「! そういうことじゃなくて! そうじゃなくて! オレがすっごく楽しみにしてたってわかんねえの!? いきなりメールで、無理になった、だけで……っ、オレのこと、どうでもいいのかって思うだろ!?」
構ってくれないにも程がある、と言う言葉をぐっと飲み込んで、沈黙の後に、震える声で、オレだって寂しいのに……と、呟いた。
奥村はむっとして黙ってしまう。互いに長い沈黙をどちらが破るのか待っているまま時間が経つ。奥村が長い溜息をついて、仕事だって分かってるのに我が儘言うな、と苛立つ声で呟くのが先だった。
「お前がこんな聞き分けねえのバカだと思わなかった」
「……は? えっ!?」
「子供じゃねえんだ。これだけそばにいて……オレがどれだけ仕事を大事にしてるか、わかるだろ!」
すたすたと会議室から出ていく奥村は少し乱れたネクタイを直し、濱口には着いてくるなという雰囲気を背中から撒き散らして歩いて行く。濱口は、その場に座り込み、あああ、もう! と大きな手のひらで顔を覆った。
(なんだよ! すげえむかつく!! 会いたいとかねえのかよ!! オレ、すげえ我慢してたのに! こんな風にキャンセル続いたら、オレとはもうダメなのかな、って思うに決まってるじゃねえか……!)
イライラしながら部署に戻ると、席についた瞬間に先輩に呼ばれ、はい? と振り向くと相手が微妙な表情を浮かべた。
「なんだ恐い顔してぇ! 営業先で何かあったか?」
「いえ……違います。すみません」
うわ、機嫌悪いの丸出しだったかも最悪、と濱口は笑おうとするが、どうにも笑顔が不自然になってしまう。先輩はそこまでは気付かず、ちょっと内緒話でもするように、彼の耳に唇を近づけた。
「あのさ、お前、今夜暇?」
「……」
相手に言われて夜の予定の空白を思い出し、がっくりと項垂れてしまう。……暇ですよ、と答えるのが精一杯だった。
6
あなたにおすすめの小説
オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?
中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」
そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。
しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は――
ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。
(……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ)
ところが、初めての商談でその評価は一変する。
榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。
(仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな)
ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり――
なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。
そして気づく。
「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」
煙草をくゆらせる仕草。
ネクタイを緩める無防備な姿。
そのたびに、陽翔の理性は削られていく。
「俺、もう待てないんで……」
ついに陽翔は榊を追い詰めるが――
「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」
攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。
じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。
【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】
主任補佐として、ちゃんとせなあかん──
そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。
春のすこし手前、まだ肌寒い季節。
新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。
風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。
何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。
拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。
年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。
これはまだ、恋になる“少し前”の物語。
関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。
(5月14日より連載開始)
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
宵にまぎれて兎は回る
宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…
エリート上司に完全に落とされるまで
琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。
彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。
そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。
社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。
ヤンキーDKの献身
ナムラケイ
BL
スパダリ高校生×こじらせ公務員のBLです。
ケンカ上等、金髪ヤンキー高校生の三沢空乃は、築51年のオンボロアパートで一人暮らしを始めることに。隣人の近間行人は、お堅い公務員かと思いきや、夜な夜な違う男と寝ているビッチ系ネコで…。
性描写があるものには、タイトルに★をつけています。
行人の兄が主人公の「戦闘機乗りの劣情」(完結済み)も掲載しています。
ミルクと砂糖は?
もにもに子
BL
瀬川は大学三年生。学費と生活費を稼ぐために始めたカフェのアルバイトは、思いのほか心地よい日々だった。ある日、スーツ姿の男性が来店する。落ち着いた物腰と柔らかな笑顔を見せるその人は、どうやら常連らしい。「アイスコーヒーを」と注文を受け、「ミルクと砂糖は?」と尋ねると、軽く口元を緩め「いつもと同じで」と返ってきた――それが久我との最初の会話だった。これは、カフェで交わした小さなやりとりから始まる、静かで甘い恋の物語。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
イケメンモデルと新人マネージャーが結ばれるまでの話
タタミ
BL
新坂真澄…27歳。トップモデル。端正な顔立ちと抜群のスタイルでブレイク中。瀬戸のことが好きだが、隠している。
瀬戸幸人…24歳。マネージャー。最近新坂の担当になった社会人2年目。新坂に仲良くしてもらって懐いているが、好意には気付いていない。
笹川尚也…27歳。チーフマネージャー。新坂とは学生時代からの友人関係。新坂のことは大抵なんでも分かる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる