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番外編
年下彼氏の甘え方
しおりを挟む「ん……?」
奥村はぽかぽかとした暖かさに目を覚ました。
どうやらいつの間にか眠り込んでしまっていたらしい。
(……もう、何時だ?)
休みの日なのは確かだ。昨日は濱口が泊まりにきていて、遅くまで二人で飲んで笑って……セックスをした。朝も遅くて、ゆっくりとしていたはずだ。
昼前に濱口がパスタを作ってくれて、それを食べてから仕事を少しした。そのあと、ソファーでだらだらとためていた本を消化していたところまでは覚えている。相手は……確か掃除をしていたか。
(……って、なんか重い……)
寝ぼけた目をこすって、眼鏡をかけると、自分の状況にぎょっとした。自分の腹の上に濱口の頭がのって、そのままくうくうと寝ているではないか。
(……なんつー態勢で寝てやがるんだ、こいつは……)
床に座り込んで自分に首をかくんともたれさせているその姿はなかなかに間抜けである。呆れてその幸せそうな寝顔を見つめる。ちらりとスマホを確認すると、時刻は夕方だった。西日が小さな窓から差し込み、休日の終わりを告げようとし始めていた。
(首いわせそー……なんでこんな格好で寝てるんだか……)
そうは思うものの、明るい中でこの恋人の寝顔を見ることなどあまりない。大体、自分よりも先に起きている濱口に寝顔を見られていることの方が多いし、ベッドの中では恥ずかしくて見ていられないというのが本音である。
茜色に染まった、黒髪をふわふわと撫でるとその感触が指先に馴染んだ。体温の高い塊に、じんわりと肌と心があたたまっていく。
(犬みたいだな、こいつ)
ずっと思っていたことを改めて思うと、尻尾を振っている濱口を想像してしまって笑えた。
愛しい、と思うようになったのはいつからだろうか。自分の世話を焼いてくれて、全力で愛してくるこの恋人は簡単には手放せそうにない。
「ん……」
「……おい、そんな寝方したら首痛めるぞ」
びくっと起きた濱口に、呆れたように声をかけて、指先を引っ込める。すると、ゆっくりと首をこちらに向けた濱口は、んー、と言いながら体の向きをかえ、ぐりぐりと奥村の腹に鼻を擦り付けた。
「夕飯どうする?」
「あとで作りますよ。昨日、材料買ったし」
「そっか」
「ん……。礼人さんー……」
「あ?っ、て、お前、おもっ……!」
二人で寝そべるには狭いソファーの上、正確には奥村の上にのってきた濱口は、へへ、と笑って彼の顔を覗き込む。そして、ちゅっと音のなるキスをすると、鼻先を鎖骨のあたりに沈めてきた。
「おい……オレ、読書中……」
「さっきまで礼人さんも寝てたくせに」
「寝てねえよ」
「嘘ですね」
起きることしましょ?と額をくっつけてくる濱口に、う、と奥村は声を詰まらせた。前から思ってはいたが、どうしてこいつはこうも甘えるのはうまいのだろうか。腹立たしくも呆れ、近づいてきた唇を意地悪く躱した。
「えー……」
「本読んだ後でな」
「ケチっすね」
「うるさい」
そう言って眼鏡をかけなおすと、濱口は少しだけ下にずり下がり、奥村の胸元に顔を埋める。
「……おい」
「じゃあ、いい子で待ってます」
頭撫でてもいいですよ?と笑った濱口に、お前、起きてたのかよ……と奥村は呆れ、嫌がらせのように髪の毛をぐちゃぐちゃにしてやったのだった。
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すっっごく好みのお話です!ツンデレな奥村さんかわいい…✨
濱口がちょっと(結構?)ヘタレなのもすっごくいいです!
番外編も読みたい…!永遠とこの2人を追っていたいくらいです笑
頑張ってください📣
わー、感想ありがとうございます!
番外編のストックもあるので、また後日更新しますね。
そちらも楽しんでもらえたら嬉しいです❤