ハーレムキング

チドリ正明@不労所得発売中!!

文字の大きさ
1 / 48
1章 ハーレムキングの目覚め 編

ハーレムキングの使命を知る

しおりを挟む
 ここは、どこだ?

 頭がぼんやりしている。目の前に広がるのは、見渡す限りの緑。聞き慣れない鳥の声と、肌に触れる風の匂い——。

「あ、あれ? オレ死んだ、んだよな……?」

 確か、バイトからの帰り道。夜中の横断歩道でブレーキ音が聞こえて、目の奥に強い光が飛び込んできた。
 その先の記憶はない。でも、目を覚ましたらこの森の中だった。なんで全裸なのかも分からない。

「全裸!?」

 改めて整理すると、どうして全裸なのかは本当に理解できなかった。
 肉体は筋肉でコーティングされている。傷一つ、ほくろひとつ、汚れひとつない肉体はまさに”美”そのものと言えた。

 中肉中背だったオレの肉体はどこに消えたんだ……?

「まさか、転生したのか?」

 口にして、自分で笑った。

 彼女いない歴=年齢の無様な童貞男子大学生の最後が事故死かよ。ほんで、知らないうちに転生なんてして……ラノベじゃないんだから。

 バカバカしい。

 でも、この状況はどう考えても普通じゃない。
 夢とは違うし……なんかこう、リアルすぎるというか、転生を信じるわけじゃないが、どこか体の感覚がおかしい。
 まるで、自分の体じゃないみたいな感じがする。

 そう思っていた時だった。

 頭の奥で、何かが——「告げた」。



 【転生特典:ハーレムキング】

 効果:対女性アプローチ時、羞恥・躊躇が完全に消失。優れた容姿と話術を得る。また、王としての資質と何人にも負けない圧倒的な力を獲得する。
 備考:この力は、あなたの価値観の中心を“女性”に再構築します。必ずしも女性を堕とせるわけではありません。相応の努力が必要です。創作の世界のような「びびーん!」とくる一目惚れは稀です。



「な、んだそれ……」

 誰に向けた言葉でもない。
 だがそれを理解した瞬間、身体の奥で何かが“塗り替わる”感覚があった。

 心が、少しずつ軽くなる。
 恥ずかしいとか、遠慮とか、そういうのが……どうでもよくなっていく。
 いや、違う。どうでもいいんじゃない。

 女の子のこと“しか”考えられなくなっていく。


 大学の男友達の記憶が朧げになった。あいつは誰だっけ?

 高校の頃の親友の顔にモヤがかかった。なんであいつとは親友になれたんだっけ?

 その他の男に関する記憶もまた、突如として薄れていった。

 完全に消えたわけじゃない。単に男が映る記憶の全てが見えにくくなっていた。

「——オレは、誰だ?」

 無意識に口をついて出た言葉に、答えはなかった。

 ただ、気づいた時には立ち上がっていた。
 背筋は伸びて、笑みが浮かんでいた。

「ふははははっ……そうか。これがオレの……王の力か!」

 その声は確かに“オレ”だったけれど、“オレ”じゃなかった。


 オレは、ただの大学生から、全裸のイケメン——もといハーレムキング・デイビッドになっていた。




◇◆◇◆◇




 【ハーレムキング】

 能力はシンプル。
 女の子に対するアプローチに一切の躊躇がなくなる。
 美しい見た目と、それなりに軽妙な話術は付属品。だが、最も重要なのは——心のブレーキが完全に消えてるってこと!

 つまり、告白でも口説きでもプロポーズでも、初対面だろうが気にせずぶっ込める。
 失敗? 些細なことは気にしない。
 断られる? そんなの微塵も気にも止めない。

「ふっ、愛とはタイミングだ。だからこそ、真正面から素直に伝えるしかないんだ!」

 そう自信満々に口走るオレの姿は、端から見たらただの危ないイケメンである。黒髪で全裸のな。

 そして今、ちょうど良く現れたのが——

「……あなた、誰?」

 森の奥から出てきたのは、弓を背負った少女。栗毛の髪を一つにまとめ、キリッとした目でこちらを見据えている。よし、好みだ。

 オレは迷いなく、にっこりと微笑んだ。

「初めまして、お嬢さん。オレはハーレムキング・デイビッド。まだ服も持たぬ王である! よろしく頼む!」

「は、は……? 変な人……」

「君は実に美しい。よろしければ、この出会いに祝福を込めて、結婚を前提にお茶でもどうかな? 無論、こんな森にお茶はないがなっ! ふはははははっ!」

「……やっぱり変な人!!」

 叫んで逃げていく少女。

 だが、オレは追わない。これでいいのだ。

 第一印象は最悪でもいい。
 むしろ、そこからどうやって振り向かせるかが勝負!
 オレは知っているぞ! 恋とは“数”だ! 情熱だ! 誠意と努力の積み重ねなのだ!

「ふははははっ! 面白い! 実に面白いぞ、この世界ッ!」

 笑いながら立ち上がる。まだ服すらない。でも心は満ちている。

 オレは、女の子のために戦い、旅をし、ドラゴンをも倒すだろう。
 だって、そうだろう?

 ハーレムキングとは、女の子のために命を燃やす王の称号なのだから!




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

勇者パーティーを追放された俺は辺境の地で魔王に拾われて後継者として育てられる~魔王から教わった美学でメロメロにしてスローライフを満喫する~

一ノ瀬 彩音
ファンタジー
主人公は、勇者パーティーを追放されて辺境の地へと追放される。 そこで出会った魔族の少女と仲良くなり、彼女と共にスローライフを送ることになる。 しかし、ある日突然現れた魔王によって、俺は後継者として育てられることになる。 そして、俺の元には次々と美少女達が集まってくるのだった……。

異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~

於田縫紀
ファンタジー
 図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。  その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...