ハーレムキング

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2章 セイクリールの歩き方 編

ハーレムキングは内情を知る

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 適当に街を歩きながら話をしていた。
 右にアレッタ、左にサラがいて、まさに両手に花! 一生歩き続けたい気分だった。

「……それにしても、“第三部隊隊長”ってのは、なんなんだ?」

 オレはしれっとした顔でアレッタに尋ねた。
 好奇心から、というよりは“王として部下の役職を理解しておきたい”という体裁を保って。

 アレッタは少し驚いたように眉を上げ、それから皮肉っぽく笑った。

「知らないであたしに合格とか言ってたの?」

「見た目と雰囲気で人のことは大体わかるものだろう?」

「まさかすぎて逆に納得したわ……こりゃ大物ね」

 アレッタは軽く肩をすくめると、騎士らしい凛とした姿勢に戻った。

「まず、セイクリール神殿の組織構成について説明した方がいいかな」

「うむ、頼む」

「第一にあたしはセイクリール神殿直属の警備部隊に所属していて、そこの第三部隊の隊長よ。警備部隊は第一~第五まであって、第三部隊は“聖具保管区”とその関連施設の巡回、守衛、調査を担当してる」

「ほう……つまり、アレッタは器の関係部署ということか」

「そう。だからこそ、私はあのときも“そこ”にいた。器の異常に、最初に気づいた立場でもあるのよ」

 オレは頷いた。

 つまり、アレッタは神託の器に関する事件において、現場にいた数少ない“公的な目撃者”というわけだ。

「サラのような神官はまた別の立場なんだな?」

 オレはアレッタからサラへと視線を移した。

「セイクリール神殿を守護するアレッタたちとは違い、私たち神官はセイクリール神殿で祈りを捧げて、神の啓示を皆に届ける役目があります」

「ほう。確か君は中級神官といったか」

「はい。見習い神官から始まり、中級神官、上級神官、司祭、大司祭と段階を踏んで位が上がります。ちなみに、神殿であなたが言い負かしていた相手は上級神官の方々です」

 サラはどこかすっきりした顔だった。
 それにしても、彼奴らが上級神官か。セイクリール神殿の内部事情の程度が知れるな。サラのほうがよっぽど誠実で清らかだ。

「で、その器が壊れたのはいつのことだった?」

「三年前。サラがまだ十五歳になる少し前で、中級神官になったばかりの頃」

「十五歳……随分と若いな」

「若いわよ。と言っても、あたしも同い年だから人のこと言えないけど……。でも、当時のサラは本当に優秀だった。だからおかしかったのよね。あんなミスをするなんて」

 サラはその言葉に少しだけ肩を竦めていた。
 過去の話をされることには慣れているのだろう。でも、少しだけ耳が赤かった。照れてるようだ。可愛いやつめ。今は空気がそうさせてくれないが、今度は絶対に褒め殺ししてやろう。

「……で、器はその場で砕けて、原因不明。秘密裏に調査はされたって記録を見たけど、結局は“不慮の事故”として処理されたのよ」

「ふはははははっ! くだらん! 実にくだらん! こんな程度の情報しかないにも関わらず、彼奴らはサラをいびって悦に浸っていたのか! わかった、いっそのことオレの聖なる拳で事故の真相すらも砕いてやろう!」

「うるさい」

 オレは優雅に笑って天を仰いだのだが、アレッタの警戒心はまだ全開だった。
 だが、それでいい。すぐに信じ込むような相手より、ずっと信頼できる。

「さて……本格的に調査するとなると、器が保管されている場所にも行かないとだな」

「そうね。だけど簡単には立ち入れないわ。保管庫は許可制で、部隊長の私でも勝手には出入りできない」

「許可を取ればいいんだな? では、オレが頼んでやろう!」

 王であるオレの願いは早急に届くはずだ!

「頼む相手が誰かも分かってないでしょ……」

 呆れ顔のアレッタに、サラが小さく笑いながら助け舟を出す。

「大司祭様に掛け合えば、可能性はあると思います。でも、あの人に認めさせるのは……大変です」

「大司祭のおっさんはサラのことを気にかけてくれてるって話はよく聞くけど、こと職務においてはかなりの堅物だから難しいかもね」

「ふむ……ならば王たるオレのカリスマで押すしかあるまい!」

「「無理無理無理無理!!!!」」

 サラとアレッタのハモった声が見事だった。

 王を舐めてる気がしなくもないが、瑣末なことを気にすることはない!
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