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3章 公爵令嬢の救い方 編
ハーレムキングは屈しない
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「早朝から仕掛けてくるのは目に見えていたぞ! 次は何を仕掛けてくる気だ!」
部屋を出たオレは威風堂々と廊下を進んだ。
王は決して怯まない。屈しない。立ち向かう精神は揺るがない!
使用人の姿はない。掃除や朝の支度をする様子もなく、廊下は閑散としていた。朝食を運んできた数名も雲隠れのように姿を消した。
まるでオレが部屋の外に出るのを待っていたかのように。
そして、その瞬間はいきなり訪れた。
——ぷちっ……
廊下を進んでいくと、糸が切れるような音が聞こえた。同時に、高所から巨大な壺が落ちてきた。
姑息な真似をしてくれるな。
「無駄だッ!」
ガキィィンッ!
壺はまるで鋼を砕いたかのような鈍い音を残し、オレの脳天に直撃した。
壺は硬い鋼製だった。これではもう壺ではなく単なる鈍器だ。
しかし、オレへのダメージはゼロ。
それもそのはず。
「フッ……残念だったな。ハーレムキングは怪我をしない!」
床へ壺が落ちた衝撃音はフロア全体に響いたのか、後方の戸が勢いよく開かれると、そこからサラが飛び出してきた。
「な、なんの音ですか?」
「罠だ。毒に続いて罠が仕掛けられていた」
「わ、わな!? というか、王様がさっき挑発したせいでは……?」
正論は受け付けん!
「あの角度と構造、自然な落下ではありえん。おそらくオレがここを通ると同時に、足元の絹糸が切れる仕掛けだ。絹糸は天井付近に吊るされた壺に繋がれていたから間違いない」
そう断言しながら、オレは足元の絹糸を手に取った。
サラやルシアが引っかかっていたら間違いなく死んでいた。
「これで二つ目だ。毒と罠……なるほど、義兄殿よ、小賢しい真似をしてくれるじゃないか」
オレがここまでさらに説明したところで、目の前からルシアが走ってきた。
その顔は焦燥に満ちていて、息は荒くなっている。
「デイビッドさん! すごい音がしましたが!?」
「心配はいらん。愚者の遊びに付き合っていただけだ。王がいる限り、君に毒も傷も届かせはしない。安心しろ! 昨晩の約束はきっちり果たす!」
その言葉に、ルシアの目がわずかに揺れた。詳細を伝えずとも何が起きたか理解したようだ。頭の回転が早くて助かる。
サラは真剣な顔で隣に立ち、窓の外を睨む。
「……私、しっかり見張ります。毒とか罠で命を狙うなんて、絶対に許せない」
オレはサラの肩に手を置いた。
「頼りにしているぞ。だが、背負いすぎるなよ。サラ、君が傷つくのも、オレは許さない。ハーレムキングとはそういうものだ!」
「っ……は、はい」
サラの顔がほんのりと赤くなった。
ルシアは少しの間、何も言わずオレたちを見ていたが、やがて、ゆっくりと口を開いた。
「どうして、そこまで……」
「ふむ、説明は簡単だ」
オレは胸を張り、朗々と言い放つ。
「昨晩も伝えた通り、この世には守られるべき“王の女”がいてな。君がその一人なら、当然守る。それだけの話だ!」
ルシアは一度何か言いかけて、すぐにやめた。
その代わり、ほんの一瞬だけ笑った。
あの仮面ではない、昨晩と同じく本物の笑みの“片鱗”だった。
「その笑顔を大切にするといい! 君の笑顔は美しい! 分厚い仮面の下にあるその笑顔こそが君の価値なのだからな! ふはははははっ!」
オレはそれだけ言い残すと、改めて用を出しに歩みを進めたのだった。
部屋を出たオレは威風堂々と廊下を進んだ。
王は決して怯まない。屈しない。立ち向かう精神は揺るがない!
使用人の姿はない。掃除や朝の支度をする様子もなく、廊下は閑散としていた。朝食を運んできた数名も雲隠れのように姿を消した。
まるでオレが部屋の外に出るのを待っていたかのように。
そして、その瞬間はいきなり訪れた。
——ぷちっ……
廊下を進んでいくと、糸が切れるような音が聞こえた。同時に、高所から巨大な壺が落ちてきた。
姑息な真似をしてくれるな。
「無駄だッ!」
ガキィィンッ!
壺はまるで鋼を砕いたかのような鈍い音を残し、オレの脳天に直撃した。
壺は硬い鋼製だった。これではもう壺ではなく単なる鈍器だ。
しかし、オレへのダメージはゼロ。
それもそのはず。
「フッ……残念だったな。ハーレムキングは怪我をしない!」
床へ壺が落ちた衝撃音はフロア全体に響いたのか、後方の戸が勢いよく開かれると、そこからサラが飛び出してきた。
「な、なんの音ですか?」
「罠だ。毒に続いて罠が仕掛けられていた」
「わ、わな!? というか、王様がさっき挑発したせいでは……?」
正論は受け付けん!
「あの角度と構造、自然な落下ではありえん。おそらくオレがここを通ると同時に、足元の絹糸が切れる仕掛けだ。絹糸は天井付近に吊るされた壺に繋がれていたから間違いない」
そう断言しながら、オレは足元の絹糸を手に取った。
サラやルシアが引っかかっていたら間違いなく死んでいた。
「これで二つ目だ。毒と罠……なるほど、義兄殿よ、小賢しい真似をしてくれるじゃないか」
オレがここまでさらに説明したところで、目の前からルシアが走ってきた。
その顔は焦燥に満ちていて、息は荒くなっている。
「デイビッドさん! すごい音がしましたが!?」
「心配はいらん。愚者の遊びに付き合っていただけだ。王がいる限り、君に毒も傷も届かせはしない。安心しろ! 昨晩の約束はきっちり果たす!」
その言葉に、ルシアの目がわずかに揺れた。詳細を伝えずとも何が起きたか理解したようだ。頭の回転が早くて助かる。
サラは真剣な顔で隣に立ち、窓の外を睨む。
「……私、しっかり見張ります。毒とか罠で命を狙うなんて、絶対に許せない」
オレはサラの肩に手を置いた。
「頼りにしているぞ。だが、背負いすぎるなよ。サラ、君が傷つくのも、オレは許さない。ハーレムキングとはそういうものだ!」
「っ……は、はい」
サラの顔がほんのりと赤くなった。
ルシアは少しの間、何も言わずオレたちを見ていたが、やがて、ゆっくりと口を開いた。
「どうして、そこまで……」
「ふむ、説明は簡単だ」
オレは胸を張り、朗々と言い放つ。
「昨晩も伝えた通り、この世には守られるべき“王の女”がいてな。君がその一人なら、当然守る。それだけの話だ!」
ルシアは一度何か言いかけて、すぐにやめた。
その代わり、ほんの一瞬だけ笑った。
あの仮面ではない、昨晩と同じく本物の笑みの“片鱗”だった。
「その笑顔を大切にするといい! 君の笑顔は美しい! 分厚い仮面の下にあるその笑顔こそが君の価値なのだからな! ふはははははっ!」
オレはそれだけ言い残すと、改めて用を出しに歩みを進めたのだった。
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