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第一章
F**kin Outlaw
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ドブネズミが青年の足元を通った。汚い身体に、傷だらけの足。目だけは異様に美しい。でも、その純粋な透き通った目の奥には、人々からの嫌悪を一心に受け止めてきた生傷が見える。青年は、まるで自分を見ているようだと思った。
ここはこの青年、リュウの生まれ育った地、新宿•K町。濁った夜空には、雲も無ければ星も無い。星のように煌めくのはホストクラブの看板だけで、夜の街を歩く女の目には、虚構の光しかない。
彼はこの街で薄汚いソープランドのボーイをしている。半グレや闇金がシノギに使っているような、風営法に違反する風俗だった。青年は、こんなところで一生を終えるのかと思うと、こめかみに銃口を突きつけたくなる。バックヤードにはチャカが常備してあった。
人生を変えたくても、中卒で何の才覚もない十八歳のガキには、何もなす術がなかった。
借金まみれの擦れた女の、汚い喘ぎ声が薄らと聞こえる部屋で、虚な目をしてマルボロを吹かす日々。ときどき客として来る一流企業の社員が、受付にいるリュウを見るときの目は、まさにドブネズミを見るときのそれであった。
そんなうだつの上がらない、灰色な生活をしていたある日、彼の人生がひっくり返る事件が起きる。
それは、眩暈がするほど明るいピンク色の壁に囲まれ、今晩の予約の電話対応をしていたときだった。
プレイ中の嬢から、一瞬内線の着信があり、すぐに切れた。客からの予約の電話をしながらも、何かを察知する。ヤクザも半グレもシャブ中も混在するこの街で、トラブルは付きものだ。
電話を終えた後、ため息をつきながらタバコの火を消し、嬢のいるプレイルームに向かい、ノックをした。
返事がない。
数回ノックをした後、ドアを開けた。
ここはこの青年、リュウの生まれ育った地、新宿•K町。濁った夜空には、雲も無ければ星も無い。星のように煌めくのはホストクラブの看板だけで、夜の街を歩く女の目には、虚構の光しかない。
彼はこの街で薄汚いソープランドのボーイをしている。半グレや闇金がシノギに使っているような、風営法に違反する風俗だった。青年は、こんなところで一生を終えるのかと思うと、こめかみに銃口を突きつけたくなる。バックヤードにはチャカが常備してあった。
人生を変えたくても、中卒で何の才覚もない十八歳のガキには、何もなす術がなかった。
借金まみれの擦れた女の、汚い喘ぎ声が薄らと聞こえる部屋で、虚な目をしてマルボロを吹かす日々。ときどき客として来る一流企業の社員が、受付にいるリュウを見るときの目は、まさにドブネズミを見るときのそれであった。
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電話を終えた後、ため息をつきながらタバコの火を消し、嬢のいるプレイルームに向かい、ノックをした。
返事がない。
数回ノックをした後、ドアを開けた。
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