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2/少女は無邪気に笑った
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ひとつ訂正をしなければいけない。
『君』は『僕以外』に属するために、『僕』ではない。
と、さっき言ったのだが、もし『君』が『僕』だった場合、『僕』は『君』になってしまうんだね。
まぁ、単純に考えれば、
『僕』にとって『君』は『君』であり『僕以外』だ。
『君』にとって『僕』は『僕以外』であり『君』だ。
ここで語るのは『僕』だから、『君』は『君』と呼ばせてもらおう。
ところで、僕の目の前には『空の小瓶』があるわけなんだが、君はこれがなぜあるのかわかるかい?
「あ、それ、探してたの。私のよ。」
白い指で『空の小瓶』を指差す。
突然驚いたな。誰だい?
白い袖のないワンピースを着ている。
「私よ。見えないの?」
いや、見えるさ。君にも見えてるだろう?
肩につくかつかないかの長さの黒髪をさらさらとゆらしている。
「私、これがないと困るの。」
それはあなたのものだったのか。
白く長い脚を音無く『空の小瓶』に歩み寄せる。
「どうして『空の小瓶』がここに存在しているか知ってる?」
それを知っているのか?
こちらを見上げている黒い瞳は白い肌を一層際立たせる。
「それはね、私がこの『空の小瓶』を必要としているからよ。」
赤色の唇がキュっと横に広がる。
少女は無邪気に笑った。
『君』は『僕以外』に属するために、『僕』ではない。
と、さっき言ったのだが、もし『君』が『僕』だった場合、『僕』は『君』になってしまうんだね。
まぁ、単純に考えれば、
『僕』にとって『君』は『君』であり『僕以外』だ。
『君』にとって『僕』は『僕以外』であり『君』だ。
ここで語るのは『僕』だから、『君』は『君』と呼ばせてもらおう。
ところで、僕の目の前には『空の小瓶』があるわけなんだが、君はこれがなぜあるのかわかるかい?
「あ、それ、探してたの。私のよ。」
白い指で『空の小瓶』を指差す。
突然驚いたな。誰だい?
白い袖のないワンピースを着ている。
「私よ。見えないの?」
いや、見えるさ。君にも見えてるだろう?
肩につくかつかないかの長さの黒髪をさらさらとゆらしている。
「私、これがないと困るの。」
それはあなたのものだったのか。
白く長い脚を音無く『空の小瓶』に歩み寄せる。
「どうして『空の小瓶』がここに存在しているか知ってる?」
それを知っているのか?
こちらを見上げている黒い瞳は白い肌を一層際立たせる。
「それはね、私がこの『空の小瓶』を必要としているからよ。」
赤色の唇がキュっと横に広がる。
少女は無邪気に笑った。
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