ささやかな祝福を

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3/僕は頭を抱えた

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なぜその『空の小瓶』を目の前にして少女がそこまで無邪気に笑えるのか。
僕には理解ができなかった。
その『空の小瓶』を少女が必要としているからか?
それとも『空の小瓶』が見つかったからか?

違和感

少女は拾い上げた『空の小瓶』を嬉しそうに見つめる。
無邪気な笑顔のまま。

君は今何を感じた?
僕はとても怖くなった。そう。

恐怖

君に問おう。僕は今どんな顔をしている?
見えているだろう?答えておくれよ。

「あら、ひどいわね。人を化け物を見るような目で見て。」

少女は急に不機嫌な顔をする。
『空の小瓶』を大切そうにかかえる。
一体その『空の小瓶』をなぜ必要としているんだい?

きょとんとした少女の顔。不思議そうに僕の顔を見上げた。

「おかしなことを言うのね。じゃ、私からも質問したいのだけれど。」

そう、少女は僕に聞いたのだ。

僕はなぜ存在しているのか。

「存在を証明することはできたんでしょう?なら、なぜ存在するかの証明もできると思うのだけれどそれは私だけの考えかしら?」

そうだ。忘れていた。
少女も空の小瓶も僕も君もなぜ存在するのか考えなければならないかもしれない。
なぜそんなめんどくさい事をするのか。君は呆れているのか、複雑な顔をしているね。
存在することはとても難しいことなんだ。
理由がないとすぐ壊れてしまいそうで。
僕は頭を抱えた。
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