3 / 7
最凶
しおりを挟む
「クレイジー兄妹なんて失礼だな~只の双子ですよ。馬渕組長」
颯が笑いながらやんわりと訂正する。
「そうかい、外見は高校生のくせして実際は殺し屋が只の双子かい。怖いねぇ」
馬渕の部下が銃を構える。それに楓も反応し、両手に合わせて七本の小型ナイフを構える。
「やめとけ!!!」
馬渕の声に部下は訝しげに銃を下ろす。「ほら、楓も」と颯が楓を制した。楓も渋々兄の言葉に従う。
「確認はした。依頼報酬だ。受けとれ」
馬渕は机の上に分厚い茶封筒をだした。
楓が中身を確認し「確かに、貰ったよ」と言った。
「じゃぁ、また依頼がありましたら是非~」
そう言って颯と楓は踵を返して歩き出した。
それを見送ると案内をした男が不満そうにポツリと放つ。
「・・・兄貴より妹の方が強そうじゃねぇか」
「お前、それをあの二人の前で言わない方がいいぞ」
馬渕が静かに呟いた。
「へ?」
「分からねぇのか?」
「す、すいやせん!」
慌てて謝罪する部下を横目に「ふー・・・」と煙草の煙を体に纏わせながら「あぁ、そういやぁお前はまだ新人だったな」と言った。
「覚えておけ。あの双子は歳は幼い。まだ17のガキだ。が、殺しの技術はピカ一だ。周到に計画を立て、殺し現場の半径百メートル以内の人間の行動全てを把握し、絶好のタイミングで殺す。俺はアイツ等以上の殺し屋を見たことがねぇ」
馬渕は言葉を続ける。その場にいる数十人の幹部も、黙って聞いていた。
「お前、さっき女のほうが強そうだと言ったな」
「う、うす!」
新人は慌てて返事をする。背筋に冷や汗が走った。
「それは間違いだ。確かに妹は強い。ザ・殺し屋って雰囲気だ。だが・・・」
煙草を消し、ビルから出た双子を見ながら馬渕は低く言った。
「本当に恐ろしいのは兄貴のほうだ。アイツは相手に殺気を一切感じさせずに殺しやがる。実際、銃を向けられたあの場で妹より早く反応し妹より多くブツを構えた」
強さを漂わせる妹。それを従えながら殺気を感じさせずに殺す兄貴。金曜日に現れる殺人鬼
「全く恐ろしい双子だ」
決して怒らせてはいけない双子。敵に回してはいけない双子。
「―アイツ等からは逃げられねぇ」
―過去に触れてはいけない双子。
「逆鱗に触れたら、懺悔の言葉もなくあの世行きだろうな」
颯が笑いながらやんわりと訂正する。
「そうかい、外見は高校生のくせして実際は殺し屋が只の双子かい。怖いねぇ」
馬渕の部下が銃を構える。それに楓も反応し、両手に合わせて七本の小型ナイフを構える。
「やめとけ!!!」
馬渕の声に部下は訝しげに銃を下ろす。「ほら、楓も」と颯が楓を制した。楓も渋々兄の言葉に従う。
「確認はした。依頼報酬だ。受けとれ」
馬渕は机の上に分厚い茶封筒をだした。
楓が中身を確認し「確かに、貰ったよ」と言った。
「じゃぁ、また依頼がありましたら是非~」
そう言って颯と楓は踵を返して歩き出した。
それを見送ると案内をした男が不満そうにポツリと放つ。
「・・・兄貴より妹の方が強そうじゃねぇか」
「お前、それをあの二人の前で言わない方がいいぞ」
馬渕が静かに呟いた。
「へ?」
「分からねぇのか?」
「す、すいやせん!」
慌てて謝罪する部下を横目に「ふー・・・」と煙草の煙を体に纏わせながら「あぁ、そういやぁお前はまだ新人だったな」と言った。
「覚えておけ。あの双子は歳は幼い。まだ17のガキだ。が、殺しの技術はピカ一だ。周到に計画を立て、殺し現場の半径百メートル以内の人間の行動全てを把握し、絶好のタイミングで殺す。俺はアイツ等以上の殺し屋を見たことがねぇ」
馬渕は言葉を続ける。その場にいる数十人の幹部も、黙って聞いていた。
「お前、さっき女のほうが強そうだと言ったな」
「う、うす!」
新人は慌てて返事をする。背筋に冷や汗が走った。
「それは間違いだ。確かに妹は強い。ザ・殺し屋って雰囲気だ。だが・・・」
煙草を消し、ビルから出た双子を見ながら馬渕は低く言った。
「本当に恐ろしいのは兄貴のほうだ。アイツは相手に殺気を一切感じさせずに殺しやがる。実際、銃を向けられたあの場で妹より早く反応し妹より多くブツを構えた」
強さを漂わせる妹。それを従えながら殺気を感じさせずに殺す兄貴。金曜日に現れる殺人鬼
「全く恐ろしい双子だ」
決して怒らせてはいけない双子。敵に回してはいけない双子。
「―アイツ等からは逃げられねぇ」
―過去に触れてはいけない双子。
「逆鱗に触れたら、懺悔の言葉もなくあの世行きだろうな」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる