ｎ番煎じの脇役令嬢になった件について

幼少期

第10話 魔の森の開墾

　母が男爵位を二つゲットしてきた代わりに魔の森の開拓が必須となったらしい。でもググル先生曰く、魔の森は資源豊富で美味しいらしい。
　ヒヒイロカネを筆頭に鉱脈が沢山あるそうだ。開墾した畑には砂糖を植えよう。今まではネットショップで砂糖を購入してたからね！！
　ネットショップで購入する砂糖は貴族用に、そして開墾した所で作った砂糖は一般市民用に売れば良いだろう。
　恩恵ギフトを貰うまでは、此方の米で満足してたけど今はネットショップで購入した米を植えている。
　この世界の米は家畜の餌だったのを頑張って認識を変えたんだよ！本当に大変だったわ。
　品種は現代日本のブランド米を購入して繁殖させたからとっても美味しい。ググル先生によって交配させ、品種改良して独自のブランド米を作ったっけな。
　ググル先生のお陰でお酒の種類が増えた！主に日本酒やブランデー等だけどね！！お米のブランデーは美味おいちいのだ！早く大人になりてぇーなぁ。
　「――…という事は魔の森の開拓は私わたくしの仕事というわけですか？」
　「ティーナは次期女伯になるの。だから開拓ぐらい熟してみせなさいね。１０年間は各種の税金は免除した上で支度金を渡すわ。貴女の好きなように開発してみなさい。」
　ニッコリと笑顔で圧を掛けて来る母。
　「税金免除なら３０年は欲しいですわ。村とも呼べるものすらないのですよ？入植希望者も集いませんと！開墾はそれからではなくて？支度金は幾らくらい貰えますの？金額によっては次期当主の座を弟に放り投げますわよ！」
　ギブミーお金マネー！ギブミー時間タイム！！と強請ねだってみる。
　「あら？貴女なら１０年でも利益を出すと思うんだけど？」
　「買い被り過ぎですよ、お母様！！最低でも２０年！お金も開発費はこれぐらいで！！」
　ググル先生に計算して貰った金額を出して交渉する。
　１０年で収税は見込めないってググル先生も言ってたからね！だから収益が出る２０年まで納税義務免除を願い出た。
　「もうっ！ティーナは我儘ねぇ。仕方ないわね――…」
　大きな溜息を吐いて、私の条件を飲んだ母はニンマリとした笑顔だった。
　もしかして私ってハメられた？
　



　母にハメられて私は出稼でかせ……うふん、おっほん…辺境の地に視察に来てます。
　「本当に何も無いわね。」
　広がるのは鬱蒼とした木々！！
　辛かろううじて道？らしき道を馬で走ってる。馬車？そんなの使えないわよ！！
　「あ！拓けた場所があるわ！！」
　「あれが村なんじゃないでしょうか？」
　ジェイの言葉に
　「そうだと良いんだけど。最悪、野宿も検討していたもの。」
はぁ～と大きな溜息を吐いた。
　拓けた場所に出ると今にも倒壊しそうな掘立小屋と小さな畑がいくつかあった。
　脅えた視線めで私達を見る村人に
　「私わたくしはレスティーナ・フォン・グランテ。グランテ領主の娘で、この開拓村の領主に就任しましたの。」
天使の微笑みを浮かべても村人はガタガタと震え脅え出してしまった。
　「ねぇジェイ、私ってそんなに悪人顔かしら？」
　「いいえ、お嬢様は天使か妖精の化身で御座います。お嬢様はとてもお美しい！」
　流れるような賛辞をありがとう、ジェイ。
　「どうして怯えてるのかしら？」
　私の疑問にジェイが村人に事情を聞きに行った。え？そんなに話し辛い事なのかしら？
　１０分ぐらいでジェイが帰って来て、私に報告を行った。
　「此処に居る者達は村人ではなく、勝手に棲みついた農奴です。」
　「え？農奴？？どうして此処に棲みついてるの？」
　私の素っ頓狂な言葉にビクっと農奴が怯えてしまった。うん、ごめんね。脅かすつもりは無かったの。
　「３年前の飢饉があったでしょう？」
　「ええ、でも飢饉はグランテの作物で乗り切れたと聞くわ。」
　３年前に起こった小麦の疫病はあっという間に帝国内の小麦を枯らしたわ。私にはググル先生とネットショップがあったので、何とか乗り切ったけどね！！
　国の一大事って事だからネットショップをフル活用して割高で小麦を打ってあげたのよ。
　国には備蓄麦を全部放出したと報告しておいたから問題は無いけどね！問題は疫病が終わって麦の種が無くなっちゃったって事よ！！
　これもネットショップにて寒冷や疫病に強い品種を購入して割高で売ったもの。以前の品種は全滅しちゃったからしゃーなし！
　味一点特化じゃないからね。私の畑では味の良い麦を栽培してるもん。私の家で食べるパンや造酒に回されちゃうんだけどね。
　さてさてどうしようかな。
　「確か逃げた農奴って一族郎党いちぞくろうとう斬首刑だったわよね？」
　帝国の法律ではそうなってたはず…農民が逃げれば農奴に落とされるのよね。
　「そうですね。どうされます？」
　元の領地に引き渡せばお金が多少入るけど――…
　「人手がこれから沢山いるんだし、このまま農奴として開墾を手伝って貰いましょう。どうせ、元の領地に送り返しても微々たるものでしょ？」
　ジェイに話を振れば
　「恩を着せて忠誠心を厚くし、裏切らないように労働させるという事ですね！！」
なんか違う方向で納得されてしまった。私は純粋に労力が欲しかっただけなんだけどなぁ。
　「代表の方はいらっしゃるかしら？」
　私の言葉に一人の男が前に出てきた。
　「俺が此処の代表をしてる…してます、ユラです。」
　「ユラさんね。私わたくしは貴方達を私わたくしの村の農奴として迎え入れたいと思います。本当は村人として迎え入れたいのだけど、事情が事情なのよ…此処がより開拓されれば恩赦を与え村人にする事を約束するわ。」
　私の言葉にユラさんの瞳が潤んだ。あ、他の農奴さん達も同じようだ。
　「お、俺達を……助けて下さるんですか？」
　「う～ん、助けるとはちょっと違うけど…貴方達は住む場所が欲しい。私は働き手が欲しい。どっちもWin Winの関係だと思うの。だから力を貸して頂戴。」
　お願いね、と言えば
　「はい！必ずお役に立ちます！！」
村人？一同が頭を下げた。