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ある少年の決意
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——メリークリスマス——
幸せな日々を送っている人なら、こう言って今日という日を楽しむだろう。
しかし、僕にとって今日は、年に一度のプレゼントを貰える日でもなく、友達と騒ぎながら夜を明かす日でもない。普段と何ら変わりない日だ。
僕は自分に自己暗示するかのように、静かな部屋で一人そう呟く。
特にやることが無い僕は、手元にあったスマホの電源をつけた。
——12月25日——
当然画面にはその表示が出る。
クリスマスに一人......クリボッチか。
静まった部屋には隣の家からの、なにやらプレゼントを貰って喜んでいる子供たちの甲高い声が響く。
そんな子供たちと今の自分を比べて少し憂鬱になった。
「はあ、クリスマスだというのに今日も僕はいつもと何ら変わらない日々を過ごすのか......」
そんなことを言ったって今更何も変わらない。
だから僕は今日もいつものように、布団の上で適当にスマホをつつこうとした。
しかし、それを邪魔するかのように布団の上で寝転がっていた僕の耳に、聞き慣れたうるさい声が響き渡る。
「ちょっと今から私の友達が家に来るから、ニ時間くらい外出してくれない? 」
そう、僕は今一人で家に居るのではなく、友達が多くいつも明るい四歳上の姉が居る。
そんな姉のことだ、友達とクリスマスパーティをしても何らおかしくない。
流石に僕がそこに入るわけにはいけないので、僕は二つ返事で承諾しようとしたのだが、僕は少し思いとどまった。
思い出してしまうのだ......。
そんな僕の姿を見て姉が口を開いた。
「あんたまだ過去のこと気にしてるの?でも、だってあれは......」
「もう、その話はやめてくれ」
優しい声色で語りかけるように言った姉に対して、僕は怒鳴るようにその言葉をぶつけた。
辺りが静寂に包まれた後、先に口を開いたのは僕の方だった。
「ごめん、強く言い過ぎた。パーティに僕が居たら流石に気まずいだろうし、ただ外出するだけなんだから行くことにするよ」
そう言い残してすぐ、僕は身支度を整える為に部屋へと駆け込んだ。
数分後、僕は身支度を終えて家を出ようとしていた。
リビングに目をやると、何やら姉が準備をしている。クリスマスパーティの準備だろうか。
まあそんなこと、気にしないでいいだろう。
そして僕は着慣れないダウンジャケットを羽織り、背負わなくなったリュックに肩を通し玄関の扉を押した。
外に出ると、冬を感じされるまるで冷凍庫の中のような冷たさが体を伝う。
「さ、寒すぎる......冬ってこんなにも寒いものなのか。この寒さを知っていたら、断っていたかもな」
そんな愚痴を溢しながら、歩を進める。
とは言っても急に外に出されたので、行き先など全く決まっていない。どこに行こうかと僕が頭を悩ませていた時、
——プルルル......プルルル......
ポケットに入れていたスマホが振動し、音を鳴らした。
ポケットからスマホを取り出し、画面に目をやると電話がかかって来ている。
僕の両親は仕事が忙しく、家に帰っている余裕がなければ、電話をかける余裕すら無い。おまけに僕には友達も居ない。だから僕のスマホに電話をかける相手など、容易に想像がつく......。
2コール目が終わる頃、僕は電話に出ていた。
「私だけど、急に外に出しちゃったから、あんた今行き先困ってるでしょ」
流石にまずいと思ったのだろうか、家を出る前に話していたことについては少しも触れてこなかった。
それにパーティをしているからだろうか、姉の電話にはまるで通勤ラッシュ時の駅前のような雑音が、酷く入っていた。
「まさにこのクソ寒い中、行き先も決まらず頭を悩ませている所だったよ」
僕は少し嫌味がこもった言い方でその言葉を吐いた。
「あんたちょっと怒ってない?まあ今回は急に外に出した私が悪いから、一応謝っておくわ」
一言余計なことには少し腹が立つが、流石は僕の姉。僕のことなら何でもお見通しのようだ。
「それでさ、行き先に困っているあんたにオススメな場所があって......」
─────────────────
おい嘘だろ、あいつ正気か?......。
辺りを見渡せば、目が痛くなるくらいギラギラと輝いているイルミネーションに、クリスマスを象徴する、クリスマスツリーがどっしりと構えている。
それに場所のせいも相まって、ここぞとばかりにイチャつくカップルが沢山。
ここに来てまだ数分なのにもかかわらず、僕は既にここの空気に押し殺されそうになっていた。
僕が今絶望しているこの場所は、ここらで有名なデートスポットである。
なぜ過去一度も彼女ができたことも無い、この僕がこんな場所に来てしまったかというと......。
十数分前——
「......まあ、オススメな場所についてはまだ教えないでおくわ。なんかその方が面白そうだしね」
笑いながらそんなことを言う。弟の僕が言うのもなんだが、うちの姉は少し性格が悪い。
「あんた今私に対して失礼なこと思ってなかった? 」
ムスッと怒った表情が容易に浮かぶような言い方で言う。
「なんで分かった......」
僕の姉だからといって、そんなに分かるものなのか?
「そりゃ姉だし分かるよ。てか、話脱線しすぎたね。とりあえず今から、その場所まで道案内するから」
どうやらマップアプリを使って、通話越しに僕に指示を出すようだ。
「じゃあまずは、そこから真っ直ぐ進んで......その後は......」
こうして僕はこの地獄に来たというわけだ。振り返ってみると僕の姉は、結構性格が悪いと思う。
それにしてもこれからどうしようか......。
とりあえず温かい飲み物でも買うか。
そして僕は、少し先にあった自動販売機の目の前に着く。
飲み物は何にするかって?もちろんココア一択である。冬に飲む温かいものとして、おしるこやコンポタなどが挙げられるがココアが好きな僕からしたら、そんなものたちは邪道である。
早速ココアを買う為にリュックから財布を取り出そうとした。その時リュックの中から、何かがキラリと光る......。
この 青いペンダントは......。
僕は大切なものをまた少し忘れかけていたようだ。
その後、僕はココアを買ってその場を後にした。
その後は特にやることが無かったので少し、そこらを歩き回っていた。
時間というものは案外過ぎるのが早いようで、スマホの時間を見ると約束の二時間になろうとしていた。
そして僕は帰路に着くことにした。
家に着く頃には既に当たりは暗くなっていた。
そして僕はただいまと言いながら、玄関の扉を引く。
しかし、その言葉に対する返事が返ってこない......。
心臓の鼓動が早くなり、頬には冷や汗が伝う。
嫌だ......もう......。
「あ、帰って来てたんだ。気付かなかったわ」
そんな僕の心情とは裏腹に、姉は両手に紙袋を持ちながら軽い口調でそう言った。
「気付くのが遅過ぎるんだよ」
頭の中がぐちゃぐちゃになっていた僕は、少し怒った言い方で言う。
「ごめんごめん、ちょっと準備してたからさ」
怒っている僕に対して、笑いながらそんなことを言ってくる。
「準備ってもうパーティは終わったはずじゃないのか」
辺りを見渡す限り、姉と僕以外誰もいない。
「というかあんた家を出る前からずっと勘違いしてるけど、私パーティするなんて言ってないよ」
驚きのあまり一瞬脳が停止したが、すかさず僕はそのことを聞く。
「じゃあ何の為に僕を外に出したんだ?」
パーティでも無いのに、ただ友達との談笑で二時間もかかるものなのだろうか。友達が居ない僕からしたら、その理由が分からなかった。
「その理由がこれだよ!」
まず一つ目がー......と呟きながら二つあるうちの一つの紙袋からそれを取り出していく。
「見てこれ良くない?! 私あんたの為に新しいリュック買って来たの」
どうやら僕の為にプレゼントを用意してくれていたらしい。
実際、リュックはすごく良いものだったし、流石の僕も嬉しかった。
「そしてもう一つが......これ!」
二つ目の紙袋から取り出したもの、それは 青いペンダントだった......。
誰しも、良かれと思ってやったことが悪い方に転んだ経験があるだろう。今回はそれの一番最悪なパターンだ。
「あんた友達の壮太君が亡くなってからずっと抜け殻のようになっていたでしょう?だから私、元気付けようと壮太君のお姉ちゃんから、二人の思い出の青いペンダントを貰って来たの。だから......」
姉の話は何も頭に入って来なかった。そして僕の足は勝手に動き出した。この場からただ逃げる為に......。
——ハァ、ハァ......。
吐く息は白くなり、冷たい夜へと消えて行く。
さっき姉の道案内を受けたからだろうか、いつのまにか僕はまたこのデートスポットに来ていた。
しかし、イルミネーションは水玉のようになって滲み、目に優しい輝きを放ちらクリスマスツリーは優しくこちらを見つめているようで......。
壮太が死んだのは一年前の冬、丁度今と同じくらいの寒さの日だった。
その日はいつもと何ら変わりない楽しい日々になるはずだった。
「最近学校楽しいか?」
急に壮太がそんなことを言った。
「壮太が居るから僕は楽しいよ」
僕は少し照れながら言う。
「そりゃ嬉しいな」
壮太が嬉しそうなら良かった。
「じゃ、俺こっちだからじゃあな」
「うん、また明日ね」
僕と壮太の家は反対の方向にある。だから僕は壮太と別れた後、家に向かおうと壮太から視線を外した。
そんな時何やら後ろから、騒めく声たちが聞こえて来た。
「おい、高校生が車に轢かれたらしいぞ」
「救急車はまだ来ないのか?......」
......は? どうゆうことだ? その光景を見た瞬間、僕は膝から崩れて落ちてしまう。
そこには頭から大量に血を流した壮太の姿があった。
「なんで、どうして、壮太......頼むから起きてくれよ......」
現実は残酷だ。僕はアニメや漫画みたいに最後の言葉を聞くこともできずに、壮太は息を引き取った。
そして僕はこの煮え切らない怒りを、どこにぶつけていいかも分からず悲しみだけが残り、そのまま不登校へと成り果てていった。
イルミネーションが辺りを照らす。
僕は自分の首に壮太のペンダントを通した。
これからもずっと、壮太の死を引きずり続ける訳には行かない。それに、きっと壮太も僕の背中を押してくれる。
だから壮太が死んでから一年がだった、この高校二年生のクリスマスに僕は決意をしようと思う。
——メリークリスマス——
幸せな日々を送っている人は、明日になったらこの幸せな時間は終わるのかと嘆く。
しかし、僕は幸せな日々をスタートさせると決意する。
幸せな日々を送っている人なら、こう言って今日という日を楽しむだろう。
しかし、僕にとって今日は、年に一度のプレゼントを貰える日でもなく、友達と騒ぎながら夜を明かす日でもない。普段と何ら変わりない日だ。
僕は自分に自己暗示するかのように、静かな部屋で一人そう呟く。
特にやることが無い僕は、手元にあったスマホの電源をつけた。
——12月25日——
当然画面にはその表示が出る。
クリスマスに一人......クリボッチか。
静まった部屋には隣の家からの、なにやらプレゼントを貰って喜んでいる子供たちの甲高い声が響く。
そんな子供たちと今の自分を比べて少し憂鬱になった。
「はあ、クリスマスだというのに今日も僕はいつもと何ら変わらない日々を過ごすのか......」
そんなことを言ったって今更何も変わらない。
だから僕は今日もいつものように、布団の上で適当にスマホをつつこうとした。
しかし、それを邪魔するかのように布団の上で寝転がっていた僕の耳に、聞き慣れたうるさい声が響き渡る。
「ちょっと今から私の友達が家に来るから、ニ時間くらい外出してくれない? 」
そう、僕は今一人で家に居るのではなく、友達が多くいつも明るい四歳上の姉が居る。
そんな姉のことだ、友達とクリスマスパーティをしても何らおかしくない。
流石に僕がそこに入るわけにはいけないので、僕は二つ返事で承諾しようとしたのだが、僕は少し思いとどまった。
思い出してしまうのだ......。
そんな僕の姿を見て姉が口を開いた。
「あんたまだ過去のこと気にしてるの?でも、だってあれは......」
「もう、その話はやめてくれ」
優しい声色で語りかけるように言った姉に対して、僕は怒鳴るようにその言葉をぶつけた。
辺りが静寂に包まれた後、先に口を開いたのは僕の方だった。
「ごめん、強く言い過ぎた。パーティに僕が居たら流石に気まずいだろうし、ただ外出するだけなんだから行くことにするよ」
そう言い残してすぐ、僕は身支度を整える為に部屋へと駆け込んだ。
数分後、僕は身支度を終えて家を出ようとしていた。
リビングに目をやると、何やら姉が準備をしている。クリスマスパーティの準備だろうか。
まあそんなこと、気にしないでいいだろう。
そして僕は着慣れないダウンジャケットを羽織り、背負わなくなったリュックに肩を通し玄関の扉を押した。
外に出ると、冬を感じされるまるで冷凍庫の中のような冷たさが体を伝う。
「さ、寒すぎる......冬ってこんなにも寒いものなのか。この寒さを知っていたら、断っていたかもな」
そんな愚痴を溢しながら、歩を進める。
とは言っても急に外に出されたので、行き先など全く決まっていない。どこに行こうかと僕が頭を悩ませていた時、
——プルルル......プルルル......
ポケットに入れていたスマホが振動し、音を鳴らした。
ポケットからスマホを取り出し、画面に目をやると電話がかかって来ている。
僕の両親は仕事が忙しく、家に帰っている余裕がなければ、電話をかける余裕すら無い。おまけに僕には友達も居ない。だから僕のスマホに電話をかける相手など、容易に想像がつく......。
2コール目が終わる頃、僕は電話に出ていた。
「私だけど、急に外に出しちゃったから、あんた今行き先困ってるでしょ」
流石にまずいと思ったのだろうか、家を出る前に話していたことについては少しも触れてこなかった。
それにパーティをしているからだろうか、姉の電話にはまるで通勤ラッシュ時の駅前のような雑音が、酷く入っていた。
「まさにこのクソ寒い中、行き先も決まらず頭を悩ませている所だったよ」
僕は少し嫌味がこもった言い方でその言葉を吐いた。
「あんたちょっと怒ってない?まあ今回は急に外に出した私が悪いから、一応謝っておくわ」
一言余計なことには少し腹が立つが、流石は僕の姉。僕のことなら何でもお見通しのようだ。
「それでさ、行き先に困っているあんたにオススメな場所があって......」
─────────────────
おい嘘だろ、あいつ正気か?......。
辺りを見渡せば、目が痛くなるくらいギラギラと輝いているイルミネーションに、クリスマスを象徴する、クリスマスツリーがどっしりと構えている。
それに場所のせいも相まって、ここぞとばかりにイチャつくカップルが沢山。
ここに来てまだ数分なのにもかかわらず、僕は既にここの空気に押し殺されそうになっていた。
僕が今絶望しているこの場所は、ここらで有名なデートスポットである。
なぜ過去一度も彼女ができたことも無い、この僕がこんな場所に来てしまったかというと......。
十数分前——
「......まあ、オススメな場所についてはまだ教えないでおくわ。なんかその方が面白そうだしね」
笑いながらそんなことを言う。弟の僕が言うのもなんだが、うちの姉は少し性格が悪い。
「あんた今私に対して失礼なこと思ってなかった? 」
ムスッと怒った表情が容易に浮かぶような言い方で言う。
「なんで分かった......」
僕の姉だからといって、そんなに分かるものなのか?
「そりゃ姉だし分かるよ。てか、話脱線しすぎたね。とりあえず今から、その場所まで道案内するから」
どうやらマップアプリを使って、通話越しに僕に指示を出すようだ。
「じゃあまずは、そこから真っ直ぐ進んで......その後は......」
こうして僕はこの地獄に来たというわけだ。振り返ってみると僕の姉は、結構性格が悪いと思う。
それにしてもこれからどうしようか......。
とりあえず温かい飲み物でも買うか。
そして僕は、少し先にあった自動販売機の目の前に着く。
飲み物は何にするかって?もちろんココア一択である。冬に飲む温かいものとして、おしるこやコンポタなどが挙げられるがココアが好きな僕からしたら、そんなものたちは邪道である。
早速ココアを買う為にリュックから財布を取り出そうとした。その時リュックの中から、何かがキラリと光る......。
この 青いペンダントは......。
僕は大切なものをまた少し忘れかけていたようだ。
その後、僕はココアを買ってその場を後にした。
その後は特にやることが無かったので少し、そこらを歩き回っていた。
時間というものは案外過ぎるのが早いようで、スマホの時間を見ると約束の二時間になろうとしていた。
そして僕は帰路に着くことにした。
家に着く頃には既に当たりは暗くなっていた。
そして僕はただいまと言いながら、玄関の扉を引く。
しかし、その言葉に対する返事が返ってこない......。
心臓の鼓動が早くなり、頬には冷や汗が伝う。
嫌だ......もう......。
「あ、帰って来てたんだ。気付かなかったわ」
そんな僕の心情とは裏腹に、姉は両手に紙袋を持ちながら軽い口調でそう言った。
「気付くのが遅過ぎるんだよ」
頭の中がぐちゃぐちゃになっていた僕は、少し怒った言い方で言う。
「ごめんごめん、ちょっと準備してたからさ」
怒っている僕に対して、笑いながらそんなことを言ってくる。
「準備ってもうパーティは終わったはずじゃないのか」
辺りを見渡す限り、姉と僕以外誰もいない。
「というかあんた家を出る前からずっと勘違いしてるけど、私パーティするなんて言ってないよ」
驚きのあまり一瞬脳が停止したが、すかさず僕はそのことを聞く。
「じゃあ何の為に僕を外に出したんだ?」
パーティでも無いのに、ただ友達との談笑で二時間もかかるものなのだろうか。友達が居ない僕からしたら、その理由が分からなかった。
「その理由がこれだよ!」
まず一つ目がー......と呟きながら二つあるうちの一つの紙袋からそれを取り出していく。
「見てこれ良くない?! 私あんたの為に新しいリュック買って来たの」
どうやら僕の為にプレゼントを用意してくれていたらしい。
実際、リュックはすごく良いものだったし、流石の僕も嬉しかった。
「そしてもう一つが......これ!」
二つ目の紙袋から取り出したもの、それは 青いペンダントだった......。
誰しも、良かれと思ってやったことが悪い方に転んだ経験があるだろう。今回はそれの一番最悪なパターンだ。
「あんた友達の壮太君が亡くなってからずっと抜け殻のようになっていたでしょう?だから私、元気付けようと壮太君のお姉ちゃんから、二人の思い出の青いペンダントを貰って来たの。だから......」
姉の話は何も頭に入って来なかった。そして僕の足は勝手に動き出した。この場からただ逃げる為に......。
——ハァ、ハァ......。
吐く息は白くなり、冷たい夜へと消えて行く。
さっき姉の道案内を受けたからだろうか、いつのまにか僕はまたこのデートスポットに来ていた。
しかし、イルミネーションは水玉のようになって滲み、目に優しい輝きを放ちらクリスマスツリーは優しくこちらを見つめているようで......。
壮太が死んだのは一年前の冬、丁度今と同じくらいの寒さの日だった。
その日はいつもと何ら変わりない楽しい日々になるはずだった。
「最近学校楽しいか?」
急に壮太がそんなことを言った。
「壮太が居るから僕は楽しいよ」
僕は少し照れながら言う。
「そりゃ嬉しいな」
壮太が嬉しそうなら良かった。
「じゃ、俺こっちだからじゃあな」
「うん、また明日ね」
僕と壮太の家は反対の方向にある。だから僕は壮太と別れた後、家に向かおうと壮太から視線を外した。
そんな時何やら後ろから、騒めく声たちが聞こえて来た。
「おい、高校生が車に轢かれたらしいぞ」
「救急車はまだ来ないのか?......」
......は? どうゆうことだ? その光景を見た瞬間、僕は膝から崩れて落ちてしまう。
そこには頭から大量に血を流した壮太の姿があった。
「なんで、どうして、壮太......頼むから起きてくれよ......」
現実は残酷だ。僕はアニメや漫画みたいに最後の言葉を聞くこともできずに、壮太は息を引き取った。
そして僕はこの煮え切らない怒りを、どこにぶつけていいかも分からず悲しみだけが残り、そのまま不登校へと成り果てていった。
イルミネーションが辺りを照らす。
僕は自分の首に壮太のペンダントを通した。
これからもずっと、壮太の死を引きずり続ける訳には行かない。それに、きっと壮太も僕の背中を押してくれる。
だから壮太が死んでから一年がだった、この高校二年生のクリスマスに僕は決意をしようと思う。
——メリークリスマス——
幸せな日々を送っている人は、明日になったらこの幸せな時間は終わるのかと嘆く。
しかし、僕は幸せな日々をスタートさせると決意する。
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