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第266話 竜、気になることを口にする
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「あーう」
「わほぉん?」
「きゃう?」
「ふあ……リヒト君とリコットちゃんはもう起きているんだ……赤ん坊なのにあんまり寝ないし」
「アトレオン殿、おはよう」
庭でペット達と戯れているリヒト達を見てアトレオンがあくびをしながら声をかけた。一緒に居たディランが挨拶をすると、アトレオンが片手を上げて応えていた。
サリエルド帝国に来てからさらに一日が経過した。
アトレオンが連れて行ったレストランのモーニングはクリニヒト王国の面々にも好評だった。
特にサラダのドレッシングがトワイトとユリの口に合っていた。そのトワイトは作り方を知るために今はレストランへ出向いていたりする。
「あれだけ気に入ってくれたら連れて行った甲斐がありますよ」
「あれはボクも気に入ったよ。また行こう」
「あー♪」
「きゃー♪」
そこでゾンネアがすっと茂みの中から現れて、不敵な笑みを浮かべた。
その様子が面白かったのか、リヒトとリコットが手を叩いて喜んでいた。
「なにがおかしいのか……! あ、こらボクの裾を掴むんじゃない」
「ははは、神秘的なドラゴンも赤ちゃんには形無しだね。さて、ディランさん達も彼女の要請に答えたし今日あたりに帰りますか?」
「そうじゃのう。トワイトがドレッシングのレシピを覚えたらじゃな。トーニャにヒューシやユリも仕事があるじゃろう」
「そうですね。騎士様に肩代わりをさせっぱなしも申し訳ないですし……」
割と懐かれているゾンネアを見てアトレオンが笑う。
彼がそろそろ国へ帰るかとディランへ尋ねたところ、トワイト次第だと返答があった。
ただ、トーニャ達冒険者が戻らないのは問題があるかとも口にしていた。
「たまにはいいと思うがな。冒険者がどういった戦いをしているなど、あまり見る機会はない」
「バーリオさんったら言うわねー。とはいえ、あたしはレイカが心配だし早めに戻りたいわね」
「仲間かな? でも、帰られると僕がさぼれないから残念だよ」
「あーい?」
帰る方向で固まっているのを見て、アトレオンが肩を竦めた。リヒトの頭を撫でて微笑む。
しかしそこでゾンネアが気になることを口にした。
「それはいいんだけど、リヒトの周囲に姿がおぼろげな魂が居るんだよ。どうもリヒトが気になっているようだ。離れてくれないんだよね」
「なんじゃと? 正体は分らんのか?」
「本当におぼろげでね。性別さえもわからない。あの木に影があるだろ? あんな感じさ」
「ちょっと怖いから止めてよ」
端的に言うとリヒトに憑りついているような感じだとゾンネアが言う。謁見で会った際には気づかなかったが、今は色濃くなっているそうである。
トーニャがゾンネアの背中を叩いて抗議をするが、彼女はリヒトを抱っこして続ける。
「リヒトだけでなく、あの誰だったかな? 嫌味な貴族。アレが連れていた赤子の近くにも居てさ。揺れていたんだ」
「あの子にも? リヒト君となにか関係があるのでしょうか? 確かに雰囲気は似ていましたけど……」
「どうかのう」
「リヒト君は拾った子だろう? 彼等は兄弟がいるなんてことは言わなかったし、違うんじゃないかな」
「わざわざ忌み子について言うとは思えんがな。まあ、もしあやつが父親であるというなら関わらなくて良かろう。向こうもお断りという雰囲気じゃった」
ゾンネアはライルにもなにか魂が憑いていると言う。
ヒューシは髪の色以外はリヒトに雰囲気が似ていたと口にするが、アトレオンは赤ちゃんだし似ているだけではと返していた。
その話を聞いていたディランは不機嫌な様子で関わるなという。
「でもリヒトに憑いている魂がしきりに遠くを見るような感じになるんだ。あの子を気にしているみたいにさ」
「ふむ」
「なにか聞き出せたりしないの? スピリットドラゴンなんだし?」
「そうしたいのは山々なんだけど、もう少しハッキリ魂が見えないと声が聞こえないのさ」
「なぜ言わんかったのじゃ」
「……言う暇が無かったからだよ! しばらくそっちでずっと話していたからボクが口を挟む暇が無かった! ま、別に悪い魂じゃなさそうというのもあったけど」
「あーう!」
ディランが目を細めて呆れた様子で言う。
するとゾンネアは謁見の後から話をする暇が無かったと目をカッと見開いてから抗議の声を上げた。
「リヒトに憑いているのがライル君を気にしているのが気になるわね。兄弟なのかも……そういえばお母さんは居なかったわね。あの人、メイドだったし」
「ふん、気にするなトーニャ。もしあやつらの子だとしても、今さら捨てた子に興味はあるまい。あればあの時点でなにか言うじゃろ」
「そうなんだけど、どちらかと言えばライル君が可哀想かなって思ったのよ。絶対あの親子に育てられたらロクな成長をしないんじゃない?」
「トーニャちゃんの勘もいいね。彼等は私欲に走る傾向がある。この国には満月の深夜に産まれた子は幸運をもたらすと言われているんだけど、ライル君が該当するらしい」
「うーん、人間はそういう話が好きだなあ」
「きゃーう!」
ゾンネアの言葉にトーニャがライルを心配していた。
ディランはもう関わりたくないと手を振り、アトレオンが伝説の話を口にする。
そこへハバラがやってきてリコットを抱っこしながらため息を吐く。
「とりあえずこの話は終わりじゃ。憑いている魂も気にしてはならん」
「あ、なんか残念そうになったよ」
「知らん知らん」
ディランは首を振ってもうこの話はナシだと言う。ゾンネアが面白がって魂の状況を伝えるが取り付く島もない。
しかし――
「リヒトとあの子に憑いている魂がなにか訴えているんですか? 気になりますね……あなた、ライル君に会ってみませんか?」
「む……しかし……」
「魂がなんなのかわからないですし、確かに関わる必要はないと思いますけど、あの子が利用されているなら怒らないと!」
「じゃが関わっていいことは無いわい」
「なら私だけでも行ってきます! ゾンネア、行きますよ」
「ええー……」
「分かったわい。リヒトを連れて行くならワシも行かざるを得まい」
「なら僕が取り仕切るよ。王族の言うことは聞くだろうしね」
――話を聞いたトワイトが魂の話を聞いて気になると言い出し、ライルの下へ行くことになった。
「わほぉん?」
「きゃう?」
「ふあ……リヒト君とリコットちゃんはもう起きているんだ……赤ん坊なのにあんまり寝ないし」
「アトレオン殿、おはよう」
庭でペット達と戯れているリヒト達を見てアトレオンがあくびをしながら声をかけた。一緒に居たディランが挨拶をすると、アトレオンが片手を上げて応えていた。
サリエルド帝国に来てからさらに一日が経過した。
アトレオンが連れて行ったレストランのモーニングはクリニヒト王国の面々にも好評だった。
特にサラダのドレッシングがトワイトとユリの口に合っていた。そのトワイトは作り方を知るために今はレストランへ出向いていたりする。
「あれだけ気に入ってくれたら連れて行った甲斐がありますよ」
「あれはボクも気に入ったよ。また行こう」
「あー♪」
「きゃー♪」
そこでゾンネアがすっと茂みの中から現れて、不敵な笑みを浮かべた。
その様子が面白かったのか、リヒトとリコットが手を叩いて喜んでいた。
「なにがおかしいのか……! あ、こらボクの裾を掴むんじゃない」
「ははは、神秘的なドラゴンも赤ちゃんには形無しだね。さて、ディランさん達も彼女の要請に答えたし今日あたりに帰りますか?」
「そうじゃのう。トワイトがドレッシングのレシピを覚えたらじゃな。トーニャにヒューシやユリも仕事があるじゃろう」
「そうですね。騎士様に肩代わりをさせっぱなしも申し訳ないですし……」
割と懐かれているゾンネアを見てアトレオンが笑う。
彼がそろそろ国へ帰るかとディランへ尋ねたところ、トワイト次第だと返答があった。
ただ、トーニャ達冒険者が戻らないのは問題があるかとも口にしていた。
「たまにはいいと思うがな。冒険者がどういった戦いをしているなど、あまり見る機会はない」
「バーリオさんったら言うわねー。とはいえ、あたしはレイカが心配だし早めに戻りたいわね」
「仲間かな? でも、帰られると僕がさぼれないから残念だよ」
「あーい?」
帰る方向で固まっているのを見て、アトレオンが肩を竦めた。リヒトの頭を撫でて微笑む。
しかしそこでゾンネアが気になることを口にした。
「それはいいんだけど、リヒトの周囲に姿がおぼろげな魂が居るんだよ。どうもリヒトが気になっているようだ。離れてくれないんだよね」
「なんじゃと? 正体は分らんのか?」
「本当におぼろげでね。性別さえもわからない。あの木に影があるだろ? あんな感じさ」
「ちょっと怖いから止めてよ」
端的に言うとリヒトに憑りついているような感じだとゾンネアが言う。謁見で会った際には気づかなかったが、今は色濃くなっているそうである。
トーニャがゾンネアの背中を叩いて抗議をするが、彼女はリヒトを抱っこして続ける。
「リヒトだけでなく、あの誰だったかな? 嫌味な貴族。アレが連れていた赤子の近くにも居てさ。揺れていたんだ」
「あの子にも? リヒト君となにか関係があるのでしょうか? 確かに雰囲気は似ていましたけど……」
「どうかのう」
「リヒト君は拾った子だろう? 彼等は兄弟がいるなんてことは言わなかったし、違うんじゃないかな」
「わざわざ忌み子について言うとは思えんがな。まあ、もしあやつが父親であるというなら関わらなくて良かろう。向こうもお断りという雰囲気じゃった」
ゾンネアはライルにもなにか魂が憑いていると言う。
ヒューシは髪の色以外はリヒトに雰囲気が似ていたと口にするが、アトレオンは赤ちゃんだし似ているだけではと返していた。
その話を聞いていたディランは不機嫌な様子で関わるなという。
「でもリヒトに憑いている魂がしきりに遠くを見るような感じになるんだ。あの子を気にしているみたいにさ」
「ふむ」
「なにか聞き出せたりしないの? スピリットドラゴンなんだし?」
「そうしたいのは山々なんだけど、もう少しハッキリ魂が見えないと声が聞こえないのさ」
「なぜ言わんかったのじゃ」
「……言う暇が無かったからだよ! しばらくそっちでずっと話していたからボクが口を挟む暇が無かった! ま、別に悪い魂じゃなさそうというのもあったけど」
「あーう!」
ディランが目を細めて呆れた様子で言う。
するとゾンネアは謁見の後から話をする暇が無かったと目をカッと見開いてから抗議の声を上げた。
「リヒトに憑いているのがライル君を気にしているのが気になるわね。兄弟なのかも……そういえばお母さんは居なかったわね。あの人、メイドだったし」
「ふん、気にするなトーニャ。もしあやつらの子だとしても、今さら捨てた子に興味はあるまい。あればあの時点でなにか言うじゃろ」
「そうなんだけど、どちらかと言えばライル君が可哀想かなって思ったのよ。絶対あの親子に育てられたらロクな成長をしないんじゃない?」
「トーニャちゃんの勘もいいね。彼等は私欲に走る傾向がある。この国には満月の深夜に産まれた子は幸運をもたらすと言われているんだけど、ライル君が該当するらしい」
「うーん、人間はそういう話が好きだなあ」
「きゃーう!」
ゾンネアの言葉にトーニャがライルを心配していた。
ディランはもう関わりたくないと手を振り、アトレオンが伝説の話を口にする。
そこへハバラがやってきてリコットを抱っこしながらため息を吐く。
「とりあえずこの話は終わりじゃ。憑いている魂も気にしてはならん」
「あ、なんか残念そうになったよ」
「知らん知らん」
ディランは首を振ってもうこの話はナシだと言う。ゾンネアが面白がって魂の状況を伝えるが取り付く島もない。
しかし――
「リヒトとあの子に憑いている魂がなにか訴えているんですか? 気になりますね……あなた、ライル君に会ってみませんか?」
「む……しかし……」
「魂がなんなのかわからないですし、確かに関わる必要はないと思いますけど、あの子が利用されているなら怒らないと!」
「じゃが関わっていいことは無いわい」
「なら私だけでも行ってきます! ゾンネア、行きますよ」
「ええー……」
「分かったわい。リヒトを連れて行くならワシも行かざるを得まい」
「なら僕が取り仕切るよ。王族の言うことは聞くだろうしね」
――話を聞いたトワイトが魂の話を聞いて気になると言い出し、ライルの下へ行くことになった。
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