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第305話 双子、誕生日を迎える⑥
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「さて、歓談中に申し訳ないが料理が揃ったようなので各自、着席をお願いする」
「承知しました」
「はーい!」
テーブルに食器や鍋が並びだしてきたところでモルゲンロートがそろそろかと指示を出す。
まさかの国王自らの声に一同は驚きつつも従っていく。
「あーう」
「だー」
「あーい!」
「きゃーう!」
「それではまた後で」
「ええ!」
敷物で遊んでいた赤ちゃんたちはそれぞれ席に着くため移動をする。
ライルとリコットがまだユリウスと遊びたそうだったが、母親に抱っこされて大人しくなった。
「リヒトはワシの膝でええのか?」
「あい!」
お誕生席についたディラン達一家。
テーブルの横にペット達が寝そべり、なんだか豪華な椅子にはディランとトワイトが座る。
リヒトはディラン。ライルはトワイトが膝に乗せ、ソルとエレノアはテーブルに鎮座した。これで準備が整った。
「鍋料理……トワイトさん仕込みだから絶対美味いぜこれ」
「静かにしなさいってガルフ」
「あー、アトレオン様は初めてですね。びっくりすると思います」
「楽しみだね」
『王子様がここでいいのかなー……?』
「私は構わないよ。騎士団長としての方が性に合っているしね」
アトレオンはユリたちの近くに腰を落ち着けていた。料理に関しては彼らかモルゲンロート達が一番よく食べているので誇らしげである。
リーナが首を傾げるが、ユリの婚約者として、ディランの友人や騎士団長としての参加と考えて欲しいと述べていた。
「ドラゴンの料理とは凄いな。一生をかけても口にする人間はどれだけいるか」
「東の国の料理みたいですよ。里があっちの方にあるらしいです」
「だーう♪」
「ふふ、ユリウスはあの二人が大層気に入ったようだ」
ドルコント国のオルドライデもトワイトの作った料理が気になると笑みを浮かべていた。どちらかといえばユリウスが元気に双子と遊んでいるのを見るのが嬉しいようだ。
「……こうやって色々な国の人間が訪れていること、嬉しく思う」
そこでモルゲンロートが感慨深いと口にする。話が続くようでその場に居た者達は静かに聞く。
「問題のあったドルコント国の事情を解決し」
「……ありがたいことです」
「実の弟がいたサリエルド帝国の実家事情を救った。そしてドラゴン達を住まわせるように尽力をしたディラン殿とトワイトさん」
「お恥ずかしながら、足元が見えていなかったですね」
それぞれの国の王子が真面目な顔で呟く。フッとモルゲンロートが笑い、さらに続けた。
「元は里を追い出されて隠れるようにこの国へやってきたことがきっかけであった。しかし、ドラゴンのご夫婦の縁は我らだけでなく様々な人間を繋いでくれた。この縁を大切にし、お互いの国をより良くしていきたい」
「そうですね。喧嘩をする理由など、本来はないのですから」
商人としてあちこちを回るザミールは他国との共存ができているのでそう言う。
ロクローやボルカノ、カーラやヴァールが頷く。
「人間の子ながらドラゴンに拾われて育てられ、人同士、国同士の架け橋となるであろうことを願い、リヒト君、そして最近一緒に生活が出来るようになったライル君のお祝いを始めたいと思う」
「あなた、さすがよ!」
産まれてからこの短期間で数奇な運命を辿った双子の兄弟。
育てるのはドラゴン。
この異種族子育ては出会った者達をきっと優しい気持ちにしてくれると締めくくった。妻のローザが半泣きで拍手をし、他の者も続けて拍手をした。
「お二人からもどうぞ」
「え? ワシらもか? むう、考えておらんかった」
「あはは、ディランさんらしいねー」
「わほぉん」
「ユリ、静かにしろ」
モルゲンロートに話を振られて目を丸くするディラン。少し考えた後、咳ばらいをしてから口を開く。
「なんというか、ワシらが里に出てからこんなことになるとは思っておらんかった。ひっそりと山で暮らして、季節の移り変わりを楽しみながら生きようと思っておった」
「そこへ赤ちゃん……リヒトを拾い、私達の生活は賑やかになりましたねえ」
「うむ。山を下りて村へ行き、お金を稼ぐために町へ……そうこうしている内に人間と知り合うことになった」
「俺とかダイアン、陛下が最初だよな」
「そうねガルフ君♪」
「あーう♪」
しみじみと振り返りを行うディランにガルフが自慢げに口を開く。トワイトが笑いながらライルの頭を撫でる。
「この場に居るのは間違いなくリヒトのおかげじゃ。せっかくだし、盛大に祝ってやってくれ。ワシらは長く生きるが、人間の世界で生活することになるじゃろう。その時、困っていたら助けてやってほしいわい」
「きちんと育てますけど、道に迷うこともありますからね。みなさんよろしくお願いいたします」
「もちろんですよ! すでに竜神様に似ていい子です!」
「デランザも怖がらないし、強くもあるわね」
「あい!」
エメリとフレイヤは笑顔で承諾する。リヒトは名前を呼ばれたからか手を上げて返事をしていた。
「ちなみにこのハニワが父のソルで、ドグウが母のエレノアじゃ。知っている者もいると思うがよろしく頼む」
『……!』
『……♪』
「「「え!?」」」
そんな中、ディランが両親のカミングアウトをした。知っているのはアトレオンやユリといったサリエルド帝国と所縁のある者だけ。
概ね知らない者ばかりなので、今、目の前で照れながらお辞儀をする埴輪と土偶はディラン達が作ったゴーレムだと思っていた。
しかし、リヒトとライルの両親と聞いた会場の一同はぎょっとしたのだった。
「どうしてそんなことに……」
『私みたいに死んじゃったの?』
「それについてはボクから話そう――」
どよめく会場の中、ゾンネアがここぞとばかりに立ち上がり説明に入った。
魂を操るドラゴンである自己紹介から入り、ソルの身体が弱く、亡くなってしまったこと。
リヒト達の祖父と叔父にあたる人物により母親であるエレノアがリヒトを捨てることになってしまったといった情報を話す。
「なんと酷い……」
「リヒト君が捨てられていた理由ってそういうことだったのか……」
「許せませんね……!!」
「ふむ、罰則は与えているのだろうな?」
「ええ、モルゲンロート様」
「追放してやればいいのだ」
話を聞いたメンツは当然激怒していた。
「まあ、こうやってひとまず成長を見守ることが出来るようになったから大丈夫じゃ。あやつらも散々二人に叩かれたから懲りたじゃろう」
「まったく……もしここに居たら説教をするだけでは足りんな」
「そうですね」
ディランがそう言い、ソルとエレノアがまあまあとジェスチャーをしたことで落ち着きを取り戻していた。
しかし、オルドライデとカーラが真顔で『ぼこぼこにしたい』と口にしていた。
「ユリウス君を見つけられたから結果ありきですけど、良かったのかもしれませんね」
「……そう思おう」
「運命というのは本当にわからないからね。リヒト君が捨てられていなければ、ここに居る人間達が顔を合わせることもなかったかもしれない」
とりあえずこの場をゾンネアが締めた。
しかし、そんな話の中、建物の陰に様子を伺っていた人影があった。
「ち、父上、これはまずいのでは?」
「そ、そうだな……風の噂で聞きつけて誕生日にプレゼントを渡してやんわりと許してもらおうと思っていたが……というか偉い人間が多すぎないか……?」
それはダニーとキーラだった。浅はかなことを考えてここまで来ていたようだ。
しかし思いのほか人が多く、アトレオンを含めた王族もこぞって参加しているのを見て腰が引けた。
「か、帰ろう……」
「そうだな……」
踵を返して帰ろうとする二人。
だが、そこへこの場に来なさそうな者達が声をかけた。
「お、なんだおっちゃん。誕生会に来たんじゃねえのか?」
「お、おっちゃんだと!? この私を誰だと思っている!」
「もしかして貴族の方ですか? 申し訳ありません。ほら、ウェリスも謝りなさい!」
「冒険者か? これだから平民は――」
それはウェリス達だった。
なにやらバルドがずた袋を担いでいて、参加者だと思っていたダニー達が怪しい動きをしていたので声をかけたのだ。
もちろんダニーはそれが気に入らずにふんぞり返っていた。
「あ! ダニー様にキーラ様!? どうしてここに!」
「「あ!?」」
しかしそこでロザが気づき、彼等は参加者の視線にさらされることになった――
「承知しました」
「はーい!」
テーブルに食器や鍋が並びだしてきたところでモルゲンロートがそろそろかと指示を出す。
まさかの国王自らの声に一同は驚きつつも従っていく。
「あーう」
「だー」
「あーい!」
「きゃーう!」
「それではまた後で」
「ええ!」
敷物で遊んでいた赤ちゃんたちはそれぞれ席に着くため移動をする。
ライルとリコットがまだユリウスと遊びたそうだったが、母親に抱っこされて大人しくなった。
「リヒトはワシの膝でええのか?」
「あい!」
お誕生席についたディラン達一家。
テーブルの横にペット達が寝そべり、なんだか豪華な椅子にはディランとトワイトが座る。
リヒトはディラン。ライルはトワイトが膝に乗せ、ソルとエレノアはテーブルに鎮座した。これで準備が整った。
「鍋料理……トワイトさん仕込みだから絶対美味いぜこれ」
「静かにしなさいってガルフ」
「あー、アトレオン様は初めてですね。びっくりすると思います」
「楽しみだね」
『王子様がここでいいのかなー……?』
「私は構わないよ。騎士団長としての方が性に合っているしね」
アトレオンはユリたちの近くに腰を落ち着けていた。料理に関しては彼らかモルゲンロート達が一番よく食べているので誇らしげである。
リーナが首を傾げるが、ユリの婚約者として、ディランの友人や騎士団長としての参加と考えて欲しいと述べていた。
「ドラゴンの料理とは凄いな。一生をかけても口にする人間はどれだけいるか」
「東の国の料理みたいですよ。里があっちの方にあるらしいです」
「だーう♪」
「ふふ、ユリウスはあの二人が大層気に入ったようだ」
ドルコント国のオルドライデもトワイトの作った料理が気になると笑みを浮かべていた。どちらかといえばユリウスが元気に双子と遊んでいるのを見るのが嬉しいようだ。
「……こうやって色々な国の人間が訪れていること、嬉しく思う」
そこでモルゲンロートが感慨深いと口にする。話が続くようでその場に居た者達は静かに聞く。
「問題のあったドルコント国の事情を解決し」
「……ありがたいことです」
「実の弟がいたサリエルド帝国の実家事情を救った。そしてドラゴン達を住まわせるように尽力をしたディラン殿とトワイトさん」
「お恥ずかしながら、足元が見えていなかったですね」
それぞれの国の王子が真面目な顔で呟く。フッとモルゲンロートが笑い、さらに続けた。
「元は里を追い出されて隠れるようにこの国へやってきたことがきっかけであった。しかし、ドラゴンのご夫婦の縁は我らだけでなく様々な人間を繋いでくれた。この縁を大切にし、お互いの国をより良くしていきたい」
「そうですね。喧嘩をする理由など、本来はないのですから」
商人としてあちこちを回るザミールは他国との共存ができているのでそう言う。
ロクローやボルカノ、カーラやヴァールが頷く。
「人間の子ながらドラゴンに拾われて育てられ、人同士、国同士の架け橋となるであろうことを願い、リヒト君、そして最近一緒に生活が出来るようになったライル君のお祝いを始めたいと思う」
「あなた、さすがよ!」
産まれてからこの短期間で数奇な運命を辿った双子の兄弟。
育てるのはドラゴン。
この異種族子育ては出会った者達をきっと優しい気持ちにしてくれると締めくくった。妻のローザが半泣きで拍手をし、他の者も続けて拍手をした。
「お二人からもどうぞ」
「え? ワシらもか? むう、考えておらんかった」
「あはは、ディランさんらしいねー」
「わほぉん」
「ユリ、静かにしろ」
モルゲンロートに話を振られて目を丸くするディラン。少し考えた後、咳ばらいをしてから口を開く。
「なんというか、ワシらが里に出てからこんなことになるとは思っておらんかった。ひっそりと山で暮らして、季節の移り変わりを楽しみながら生きようと思っておった」
「そこへ赤ちゃん……リヒトを拾い、私達の生活は賑やかになりましたねえ」
「うむ。山を下りて村へ行き、お金を稼ぐために町へ……そうこうしている内に人間と知り合うことになった」
「俺とかダイアン、陛下が最初だよな」
「そうねガルフ君♪」
「あーう♪」
しみじみと振り返りを行うディランにガルフが自慢げに口を開く。トワイトが笑いながらライルの頭を撫でる。
「この場に居るのは間違いなくリヒトのおかげじゃ。せっかくだし、盛大に祝ってやってくれ。ワシらは長く生きるが、人間の世界で生活することになるじゃろう。その時、困っていたら助けてやってほしいわい」
「きちんと育てますけど、道に迷うこともありますからね。みなさんよろしくお願いいたします」
「もちろんですよ! すでに竜神様に似ていい子です!」
「デランザも怖がらないし、強くもあるわね」
「あい!」
エメリとフレイヤは笑顔で承諾する。リヒトは名前を呼ばれたからか手を上げて返事をしていた。
「ちなみにこのハニワが父のソルで、ドグウが母のエレノアじゃ。知っている者もいると思うがよろしく頼む」
『……!』
『……♪』
「「「え!?」」」
そんな中、ディランが両親のカミングアウトをした。知っているのはアトレオンやユリといったサリエルド帝国と所縁のある者だけ。
概ね知らない者ばかりなので、今、目の前で照れながらお辞儀をする埴輪と土偶はディラン達が作ったゴーレムだと思っていた。
しかし、リヒトとライルの両親と聞いた会場の一同はぎょっとしたのだった。
「どうしてそんなことに……」
『私みたいに死んじゃったの?』
「それについてはボクから話そう――」
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魂を操るドラゴンである自己紹介から入り、ソルの身体が弱く、亡くなってしまったこと。
リヒト達の祖父と叔父にあたる人物により母親であるエレノアがリヒトを捨てることになってしまったといった情報を話す。
「なんと酷い……」
「リヒト君が捨てられていた理由ってそういうことだったのか……」
「許せませんね……!!」
「ふむ、罰則は与えているのだろうな?」
「ええ、モルゲンロート様」
「追放してやればいいのだ」
話を聞いたメンツは当然激怒していた。
「まあ、こうやってひとまず成長を見守ることが出来るようになったから大丈夫じゃ。あやつらも散々二人に叩かれたから懲りたじゃろう」
「まったく……もしここに居たら説教をするだけでは足りんな」
「そうですね」
ディランがそう言い、ソルとエレノアがまあまあとジェスチャーをしたことで落ち着きを取り戻していた。
しかし、オルドライデとカーラが真顔で『ぼこぼこにしたい』と口にしていた。
「ユリウス君を見つけられたから結果ありきですけど、良かったのかもしれませんね」
「……そう思おう」
「運命というのは本当にわからないからね。リヒト君が捨てられていなければ、ここに居る人間達が顔を合わせることもなかったかもしれない」
とりあえずこの場をゾンネアが締めた。
しかし、そんな話の中、建物の陰に様子を伺っていた人影があった。
「ち、父上、これはまずいのでは?」
「そ、そうだな……風の噂で聞きつけて誕生日にプレゼントを渡してやんわりと許してもらおうと思っていたが……というか偉い人間が多すぎないか……?」
それはダニーとキーラだった。浅はかなことを考えてここまで来ていたようだ。
しかし思いのほか人が多く、アトレオンを含めた王族もこぞって参加しているのを見て腰が引けた。
「か、帰ろう……」
「そうだな……」
踵を返して帰ろうとする二人。
だが、そこへこの場に来なさそうな者達が声をかけた。
「お、なんだおっちゃん。誕生会に来たんじゃねえのか?」
「お、おっちゃんだと!? この私を誰だと思っている!」
「もしかして貴族の方ですか? 申し訳ありません。ほら、ウェリスも謝りなさい!」
「冒険者か? これだから平民は――」
それはウェリス達だった。
なにやらバルドがずた袋を担いでいて、参加者だと思っていたダニー達が怪しい動きをしていたので声をかけたのだ。
もちろんダニーはそれが気に入らずにふんぞり返っていた。
「あ! ダニー様にキーラ様!? どうしてここに!」
「「あ!?」」
しかしそこでロザが気づき、彼等は参加者の視線にさらされることになった――
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