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第379話 竜、鬼の長と酒を飲む
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「あーい!」
「あーう!」
「お、先ほどの坊や達か。我らが怖くないのか?」
「うぉふ!」
「ふむ、アッシュウルフ達が居るから怖くないようだな?」
テーブルへ向かう途中、ダルとヤクトに乗ったウコンとサコンへ挨拶をする。
顎に手を当ててほほ笑む二人はアッシュウルフに乗っていて、信頼しているからだと言う。
「多分、お主達が悪い者でないと見抜いているのだろう。リヒトは人の気持ちがわかるのじゃ」
「信頼はしていると思うけどね。ねえダル?」
「あい♪ だうー♪」
「……! わほぉん♪」
「あら」
見た目では騙されないのがリヒトだとディランが振り返って言う。
トワイトがダルに話しかけると、リヒトはダルの首に抱き着いてからたどたどしい口調で名前を呼んだ。
ダルは珍しく目をぱっちりと開け、尻尾と耳を立てて喜んだ。
「不思議な赤子だのう。今は子供たちもわかっているが、知らない子はやはり泣くからな」
「ディランさんが最強のドラゴンだからかもね?」
「お父さんと一緒だから落ち着くのかな?」
「でもライルを探し当てたときはダルと勝手に出て行ったぞい」
「そうなんだ?」
「あい」
「あーう♪」
鬼達は自分を見たら泣くが赤子で泣かないのは久しぶりに見たと口にする。
ディランやトワイトなどと一緒なので強気なのかとシスが聞くが、それとは関係なくリヒトは個人で動き回ると返した。
そういう意味ではアッシュウルフ達を信用していると言えるかもしれないと。
「見たところ人間のようだが?」
やがてテーブルについた一行。
酒吞童子がリヒトとライルを見てそう尋ねる。ドラゴンの子ではないことを見抜いていた。
「うむ。まあ、話すと長くなるがこの二人が本当の両親じゃ」
『……!』
『……!』
「埴輪と土偶ではないか!?」
「このやり取りも毎回あるわね」
「そりゃこれで人間の両親と言われたらそうなるだろうぜ」
驚く酒吞童子や鬼達を見て、シスとギーラが感想を漏らす。ソルとエレノアは頭を掻きながら照れていた。
「さて、それでは乾杯といこう」
「うむ」
「私はいっぱい飲んだらリヒトとライルにドラゴンフルーツを食べさせますね」
「俺達もいいのか?」
「黒竜だと聞いている。そっちのお嬢ちゃんは人間だな? まあ、ちょっと強いかもしれんが飲めるだろう」
「ちょっと怖いわね……あ、これくらいなの?」
「どうぞ」
強い酒と聞いてシスが驚いていたが、鬼からおちょこをもらい、あまり量がないことにホッとしていた。
「かぁー! こりゃすげえ! 酒ってこんな感じか! 火を吐きそうだ」
「か、辛い!? あ!?」
「あーう♪」
きゅっと飲んだギーラが顔をしかめて口を尖らせていた。ケイレブに至っては少しだがポッと火が出ていた。ライルがそれを見て拍手をする。
「喉にくるわ……! 量は飲めないけどすっきりしているからビールよりいいわね。ウェリスとかバルドは好きだと思うわ」
「鬼の里で作った酒だ。土産を用意しているから持って帰ってくれ」
「さすがは酒が好きな鬼じゃな朱天」
「まあな」
「朱天?」
「こやつの名前じゃ。酒吞童子というのは代々長につけられる肩書みたいなもんじゃな」
「そういうことだ」
シスは少し涙目で飲み切り感想を口にした。ディランもおちょこをテーブルに置きながら酒吞童子の本名を口にした。
代々受け継がれる長の肩書が酒吞童子とのこと。酒を飲まない者でもそう呼ばれるのだとか。
「なるほどなあ」
「リーダーか……そういうのもあるといいのかな?」
「で、珍しくこの国へ来たみたいだがどうしたのだ?」
「調味料が欲しかったの。それと黒竜たちに町を見せてあげたかったのよ」
「ほう、それは一体? リーダーがどうのと聞こえたが関係があるのか?」
「あ、いえ、それは僕が勝手に思っていることです。ただ――」
朱天がこの国へ来た理由を尋ねると、調味料を買いに来たとトワイトが返す。
同時に黒竜たちへ町を見せたいからという話をすると、先ほどのケイレブの言葉を拾って再度疑問を口にした。
そしてケイレブは朱天へことの顛末を話した。人型で島で暮らすべきだとディランに言われたこと、自由に生きる者と改革に応じるものといったことを。
「種族の話か」
「なかなか耳が痛いですねえ酒吞童子様」
「我々もこの国を乗っ取ろうとしましたし」
「そ、そうでしたね。でも今は仲良くやれている……?」
「ああ。この竜神殿が裁定してくれたこともあるが、結果的に住めるようになったな。逆に言えばお前たちは自分たちだけの島がある。種族だけで生きていくことができるなら受け入れるのは吝かではないと思うがな」
「ええ。ただ町の様子をみて、種族が同じでもバラバラになっていると喧嘩はあるんじゃないかなと考えています」
ケイレブは見聞きしたことを口にすると鬼達はなるほどと腕組みをして返す。
基本的に同種族はそれほど戦争になりにくいが、島のような場所だと対立が生まれて喧嘩はあり得る。
「俺は国とか見てきたけどな!」
「役に立たせなよ、ルーガスのためにさ……」
「まあ、今は考える時間じゃろう。家、食料、料理など覚えることが増えればまた変わるかもしれん」
「そうですね」
「さて、それじゃこの何十年かなにをしていたかお互いに話そうではないか!」
「よかろう」
黒竜たちの件はまだ未来があるとし、ひとまず再会を祝うため近況報告とした。
そんな中、トワイトは席を外してフルーツを切っていた。
双子もテーブルから敷物の上へと移動する。
「はい、お待たせ♪ ドラゴンフルーツですよ~あなたたちもご飯ね」
「あーい♪」
「あーう♪」
「うぉふ!」
「アー!」
そしてトワイトが二人の口に小さく切った真っ赤なドラゴンフルーツを入れてあげた。
「……! あーい♪」
「あうー♪」
「あ、とても美味しそうな顔をしてる」
ドラゴンフルーツはとても美味しかったようで、とろんとした顔で次をせがむのだった。
「あーう!」
「お、先ほどの坊や達か。我らが怖くないのか?」
「うぉふ!」
「ふむ、アッシュウルフ達が居るから怖くないようだな?」
テーブルへ向かう途中、ダルとヤクトに乗ったウコンとサコンへ挨拶をする。
顎に手を当ててほほ笑む二人はアッシュウルフに乗っていて、信頼しているからだと言う。
「多分、お主達が悪い者でないと見抜いているのだろう。リヒトは人の気持ちがわかるのじゃ」
「信頼はしていると思うけどね。ねえダル?」
「あい♪ だうー♪」
「……! わほぉん♪」
「あら」
見た目では騙されないのがリヒトだとディランが振り返って言う。
トワイトがダルに話しかけると、リヒトはダルの首に抱き着いてからたどたどしい口調で名前を呼んだ。
ダルは珍しく目をぱっちりと開け、尻尾と耳を立てて喜んだ。
「不思議な赤子だのう。今は子供たちもわかっているが、知らない子はやはり泣くからな」
「ディランさんが最強のドラゴンだからかもね?」
「お父さんと一緒だから落ち着くのかな?」
「でもライルを探し当てたときはダルと勝手に出て行ったぞい」
「そうなんだ?」
「あい」
「あーう♪」
鬼達は自分を見たら泣くが赤子で泣かないのは久しぶりに見たと口にする。
ディランやトワイトなどと一緒なので強気なのかとシスが聞くが、それとは関係なくリヒトは個人で動き回ると返した。
そういう意味ではアッシュウルフ達を信用していると言えるかもしれないと。
「見たところ人間のようだが?」
やがてテーブルについた一行。
酒吞童子がリヒトとライルを見てそう尋ねる。ドラゴンの子ではないことを見抜いていた。
「うむ。まあ、話すと長くなるがこの二人が本当の両親じゃ」
『……!』
『……!』
「埴輪と土偶ではないか!?」
「このやり取りも毎回あるわね」
「そりゃこれで人間の両親と言われたらそうなるだろうぜ」
驚く酒吞童子や鬼達を見て、シスとギーラが感想を漏らす。ソルとエレノアは頭を掻きながら照れていた。
「さて、それでは乾杯といこう」
「うむ」
「私はいっぱい飲んだらリヒトとライルにドラゴンフルーツを食べさせますね」
「俺達もいいのか?」
「黒竜だと聞いている。そっちのお嬢ちゃんは人間だな? まあ、ちょっと強いかもしれんが飲めるだろう」
「ちょっと怖いわね……あ、これくらいなの?」
「どうぞ」
強い酒と聞いてシスが驚いていたが、鬼からおちょこをもらい、あまり量がないことにホッとしていた。
「かぁー! こりゃすげえ! 酒ってこんな感じか! 火を吐きそうだ」
「か、辛い!? あ!?」
「あーう♪」
きゅっと飲んだギーラが顔をしかめて口を尖らせていた。ケイレブに至っては少しだがポッと火が出ていた。ライルがそれを見て拍手をする。
「喉にくるわ……! 量は飲めないけどすっきりしているからビールよりいいわね。ウェリスとかバルドは好きだと思うわ」
「鬼の里で作った酒だ。土産を用意しているから持って帰ってくれ」
「さすがは酒が好きな鬼じゃな朱天」
「まあな」
「朱天?」
「こやつの名前じゃ。酒吞童子というのは代々長につけられる肩書みたいなもんじゃな」
「そういうことだ」
シスは少し涙目で飲み切り感想を口にした。ディランもおちょこをテーブルに置きながら酒吞童子の本名を口にした。
代々受け継がれる長の肩書が酒吞童子とのこと。酒を飲まない者でもそう呼ばれるのだとか。
「なるほどなあ」
「リーダーか……そういうのもあるといいのかな?」
「で、珍しくこの国へ来たみたいだがどうしたのだ?」
「調味料が欲しかったの。それと黒竜たちに町を見せてあげたかったのよ」
「ほう、それは一体? リーダーがどうのと聞こえたが関係があるのか?」
「あ、いえ、それは僕が勝手に思っていることです。ただ――」
朱天がこの国へ来た理由を尋ねると、調味料を買いに来たとトワイトが返す。
同時に黒竜たちへ町を見せたいからという話をすると、先ほどのケイレブの言葉を拾って再度疑問を口にした。
そしてケイレブは朱天へことの顛末を話した。人型で島で暮らすべきだとディランに言われたこと、自由に生きる者と改革に応じるものといったことを。
「種族の話か」
「なかなか耳が痛いですねえ酒吞童子様」
「我々もこの国を乗っ取ろうとしましたし」
「そ、そうでしたね。でも今は仲良くやれている……?」
「ああ。この竜神殿が裁定してくれたこともあるが、結果的に住めるようになったな。逆に言えばお前たちは自分たちだけの島がある。種族だけで生きていくことができるなら受け入れるのは吝かではないと思うがな」
「ええ。ただ町の様子をみて、種族が同じでもバラバラになっていると喧嘩はあるんじゃないかなと考えています」
ケイレブは見聞きしたことを口にすると鬼達はなるほどと腕組みをして返す。
基本的に同種族はそれほど戦争になりにくいが、島のような場所だと対立が生まれて喧嘩はあり得る。
「俺は国とか見てきたけどな!」
「役に立たせなよ、ルーガスのためにさ……」
「まあ、今は考える時間じゃろう。家、食料、料理など覚えることが増えればまた変わるかもしれん」
「そうですね」
「さて、それじゃこの何十年かなにをしていたかお互いに話そうではないか!」
「よかろう」
黒竜たちの件はまだ未来があるとし、ひとまず再会を祝うため近況報告とした。
そんな中、トワイトは席を外してフルーツを切っていた。
双子もテーブルから敷物の上へと移動する。
「はい、お待たせ♪ ドラゴンフルーツですよ~あなたたちもご飯ね」
「あーい♪」
「あーう♪」
「うぉふ!」
「アー!」
そしてトワイトが二人の口に小さく切った真っ赤なドラゴンフルーツを入れてあげた。
「……! あーい♪」
「あうー♪」
「あ、とても美味しそうな顔をしてる」
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