486 / 488
第485話 双子、王都へ到着する
思いがけずビーククロウの雛を拾った一家はゆっくりと王都へ進んでいた。
「すぴー……」
「あー♪」
「あうー♪」
「うふふ、可愛いわね♪」
「かあいいねー♪」
「かあいい♪」
そんな中、リヒトとライルは落ちてきたビーククロウの雛に興味津々で、ダルの頭で寝ている雛をじっと見て可愛いと口にしていた。
「ぴよー?」
「ぴー?」
「ぴよぴー」
『ひよこ達と仲良くなれたりするのだろうか……?』
『会わせてみたいわね。ソオン君たちは優しいからいじめたりしないでしょうし』
雛の寝息が聞こえてきて、トコト達が荷台の縁に乗って前を歩くダルに目を向ける。ソルがその様子を見て雛同士で仲良くやれるのだろうかと疑問を言う。
エレノアはひよこ達が優しいので合わせても良さそうだと笑っていた。
「すぴー……」
「しかし良く寝る子じゃのう」
「あう♪ ……ふあ」
普通に話をしているので声は聞こえているはずだが、雛はまったく起きる気配が無い。ディランが呆れていると、ライルがもらいあくびをしていた。
「ライル、荷台で寝る?」
「あうー……」
「ねんね」
「やー……」
トワイトがルミナスの上で抱き着くように寝そべっているライルに荷台へ行くか尋ねる。リヒトも寝るか首を傾げるも、ライルは嫌だと頭を振っていた。
「すぴー……」
「あうー……」
「おかあさん、らーるといっしょにするの」
「うふふ、分かったわ」
「わん」
結局、ライルは寝入ってしまった。
リヒトはそれを見て、雛とライルを一緒に寝かせてあげようと提案した。
トワイトはすぐにライルを回収した。
「ではこれを使うのじゃ」
「ありがとうお父さん」
『お布団が鞄から……』
そこでディランが鞄から子供用の布団を取り出して荷台に敷いた。
エレノアが驚きを見せる。
「あうー……すぴー……」
「すぴー……」
「みんな、起こさないようにね」
「こけ」
「ぴよー♪」
ライルの枕元に雛を置いてあげると、早速ひよこ達が集まって喜びの声を上げていた。
「こけー……」
『ジェニファー? 空を見上げてどうしたんだい』
「恐らくさっきの親が心配しているのではと思っているのじゃ。ジェニファーは雌鶏じゃし、ひよこ達を育てているから気持ちがわかるのかもしれん」
『なるほど。帰ってきますかね?』
「落ち着けば探すはずですよ。ビーククロウは魔物で頭もいいみたいですものね」
『元のところで待っていた方が良かったですかね……』
「まあ、いつになるか分からんし帰りに探してみてもいいじゃろ」
「アー」
「ぷー」
そんな話をしながらさらに進むこと一時間ほどでディラン達一家は王都へと到着した。
「そこの馬……いや狼車……? 止まれ!」
「やはり驚かせてしまったか。裏のデランザのところへ行っておこう」
「おや、ディラン殿! この狼たちは家族ですか?」
「そうなんです。この子達の両親なんですよ」
「わほぉん」
「あい」
門まで行くと門番がロイシュ達を見て慌ててこちらへ来ていた。
ディランが片手を上げて挨拶を交わすと、なんだディランさんかという顔で笑って頭を下げた。
「アッシュウルフの親でしたか。あなた方なら問題ないと思いますけど、念のためあちらへ行っていただいていいですか?」
「その間に陛下へ報告してきます。結構大きな個体ですし、いきなり町へは入らない方がいいと思います」
「承知したぞい。ロイシュ、セレネこっちじゃ」
『ガウ』
門番の言うこともももっともだと一家はデランザの発着場へ行くことにした。
狼車を回して裏へ回ると、騎士たちが挨拶をしてくれる。
「やあディランさん! 色々あったみたいですが無事でなによりです。デランザは配達の仕事で今は不在です」
「奴はおらんのか。まあ、そのうち戻ってくるじゃろ」
「フレイヤさんは?」
「エメリさんと一緒に行ってますよ。いやあ、大きな狼ですね。また増えましたか。強そうだ」
『ダル君たちの親ですから大人しいですよ』
『わおん♪』
騎士が敬礼をしながら状況の説明をしてくれた。フレイヤとエメリも同行しているらしく、日常に戻った感じがあった。
ロイシュとセレネを見た騎士が大きくて強そうだと頷く。
エレノアがダル達の両親だと告げると、騎士たちはセレネの顔を見た後、ダルを見て納得していた。
「そうなんだ。ダル君はお母さん似だな」
「あい♪」
「わほぉん♪」
「そういえばライル君は……ああ、寝ているんですね」
「しーなの」
「そうだね、ではゆっくりしていってください」
騎士がダルを撫でた後、いつも一緒のライルが居ないと探し、荷台で発見していた。リヒトが静かにと唇に指を当てて騎士へ言う。
彼は肩を竦めてウインクをするとその場を去っていった。
「みんな優しいわね」
「うむ。おや?」
「くあー……くあ?」
そこで嘴を大きく開けたビーククロウの雛が目を覚ました。寝ぼけ眼で周囲を見渡していた。
「ぴよっ」
「くあ……!? ぴー!」
「ぴ、ぴよ!?」
そんな雛にトコトが羽を上げて挨拶をすると、雛はカっと目を見開いて叫んだ。
どうやらここが自分の巣ではないとすぐに気づいたらしい。
けたたましく叫ぶためレイタとソオンが驚いて後ずさる。
「あーい。しー」
「ぴあー!」
「ふあ……」
『ライルが起きてしまいそうだな。どうしようか』
「こけ」
「あら、ジェニファー」
泣き止まない雛にどうするかソルが考える。するとジェニファーがてくてくとやってきて雛の前に立った。
「こけー」
「ぴあー! ……ぴあ?」
「こけ」
「ぴあ……」
「なんだか通じたみたいじゃな」
『良かった……のかしら?』
「今はこれでええじゃろう」
「あー……」
ジェニファーが毛づくろいをしてあげると大人しくなった。
急に親の姿が見えなくて不安になったのだろう。
あまりの鳴きっぷりにリヒトが少し不安そうにするのであった。
「すぴー……」
「あー♪」
「あうー♪」
「うふふ、可愛いわね♪」
「かあいいねー♪」
「かあいい♪」
そんな中、リヒトとライルは落ちてきたビーククロウの雛に興味津々で、ダルの頭で寝ている雛をじっと見て可愛いと口にしていた。
「ぴよー?」
「ぴー?」
「ぴよぴー」
『ひよこ達と仲良くなれたりするのだろうか……?』
『会わせてみたいわね。ソオン君たちは優しいからいじめたりしないでしょうし』
雛の寝息が聞こえてきて、トコト達が荷台の縁に乗って前を歩くダルに目を向ける。ソルがその様子を見て雛同士で仲良くやれるのだろうかと疑問を言う。
エレノアはひよこ達が優しいので合わせても良さそうだと笑っていた。
「すぴー……」
「しかし良く寝る子じゃのう」
「あう♪ ……ふあ」
普通に話をしているので声は聞こえているはずだが、雛はまったく起きる気配が無い。ディランが呆れていると、ライルがもらいあくびをしていた。
「ライル、荷台で寝る?」
「あうー……」
「ねんね」
「やー……」
トワイトがルミナスの上で抱き着くように寝そべっているライルに荷台へ行くか尋ねる。リヒトも寝るか首を傾げるも、ライルは嫌だと頭を振っていた。
「すぴー……」
「あうー……」
「おかあさん、らーるといっしょにするの」
「うふふ、分かったわ」
「わん」
結局、ライルは寝入ってしまった。
リヒトはそれを見て、雛とライルを一緒に寝かせてあげようと提案した。
トワイトはすぐにライルを回収した。
「ではこれを使うのじゃ」
「ありがとうお父さん」
『お布団が鞄から……』
そこでディランが鞄から子供用の布団を取り出して荷台に敷いた。
エレノアが驚きを見せる。
「あうー……すぴー……」
「すぴー……」
「みんな、起こさないようにね」
「こけ」
「ぴよー♪」
ライルの枕元に雛を置いてあげると、早速ひよこ達が集まって喜びの声を上げていた。
「こけー……」
『ジェニファー? 空を見上げてどうしたんだい』
「恐らくさっきの親が心配しているのではと思っているのじゃ。ジェニファーは雌鶏じゃし、ひよこ達を育てているから気持ちがわかるのかもしれん」
『なるほど。帰ってきますかね?』
「落ち着けば探すはずですよ。ビーククロウは魔物で頭もいいみたいですものね」
『元のところで待っていた方が良かったですかね……』
「まあ、いつになるか分からんし帰りに探してみてもいいじゃろ」
「アー」
「ぷー」
そんな話をしながらさらに進むこと一時間ほどでディラン達一家は王都へと到着した。
「そこの馬……いや狼車……? 止まれ!」
「やはり驚かせてしまったか。裏のデランザのところへ行っておこう」
「おや、ディラン殿! この狼たちは家族ですか?」
「そうなんです。この子達の両親なんですよ」
「わほぉん」
「あい」
門まで行くと門番がロイシュ達を見て慌ててこちらへ来ていた。
ディランが片手を上げて挨拶を交わすと、なんだディランさんかという顔で笑って頭を下げた。
「アッシュウルフの親でしたか。あなた方なら問題ないと思いますけど、念のためあちらへ行っていただいていいですか?」
「その間に陛下へ報告してきます。結構大きな個体ですし、いきなり町へは入らない方がいいと思います」
「承知したぞい。ロイシュ、セレネこっちじゃ」
『ガウ』
門番の言うこともももっともだと一家はデランザの発着場へ行くことにした。
狼車を回して裏へ回ると、騎士たちが挨拶をしてくれる。
「やあディランさん! 色々あったみたいですが無事でなによりです。デランザは配達の仕事で今は不在です」
「奴はおらんのか。まあ、そのうち戻ってくるじゃろ」
「フレイヤさんは?」
「エメリさんと一緒に行ってますよ。いやあ、大きな狼ですね。また増えましたか。強そうだ」
『ダル君たちの親ですから大人しいですよ』
『わおん♪』
騎士が敬礼をしながら状況の説明をしてくれた。フレイヤとエメリも同行しているらしく、日常に戻った感じがあった。
ロイシュとセレネを見た騎士が大きくて強そうだと頷く。
エレノアがダル達の両親だと告げると、騎士たちはセレネの顔を見た後、ダルを見て納得していた。
「そうなんだ。ダル君はお母さん似だな」
「あい♪」
「わほぉん♪」
「そういえばライル君は……ああ、寝ているんですね」
「しーなの」
「そうだね、ではゆっくりしていってください」
騎士がダルを撫でた後、いつも一緒のライルが居ないと探し、荷台で発見していた。リヒトが静かにと唇に指を当てて騎士へ言う。
彼は肩を竦めてウインクをするとその場を去っていった。
「みんな優しいわね」
「うむ。おや?」
「くあー……くあ?」
そこで嘴を大きく開けたビーククロウの雛が目を覚ました。寝ぼけ眼で周囲を見渡していた。
「ぴよっ」
「くあ……!? ぴー!」
「ぴ、ぴよ!?」
そんな雛にトコトが羽を上げて挨拶をすると、雛はカっと目を見開いて叫んだ。
どうやらここが自分の巣ではないとすぐに気づいたらしい。
けたたましく叫ぶためレイタとソオンが驚いて後ずさる。
「あーい。しー」
「ぴあー!」
「ふあ……」
『ライルが起きてしまいそうだな。どうしようか』
「こけ」
「あら、ジェニファー」
泣き止まない雛にどうするかソルが考える。するとジェニファーがてくてくとやってきて雛の前に立った。
「こけー」
「ぴあー! ……ぴあ?」
「こけ」
「ぴあ……」
「なんだか通じたみたいじゃな」
『良かった……のかしら?』
「今はこれでええじゃろう」
「あー……」
ジェニファーが毛づくろいをしてあげると大人しくなった。
急に親の姿が見えなくて不安になったのだろう。
あまりの鳴きっぷりにリヒトが少し不安そうにするのであった。
あなたにおすすめの小説
初恋を諦めてお見合いに行ったら、私を振ったはずの人に連れ去られました
こじまき
恋愛
【全2話】
孤児のリアナは、自分を育ててくれた牧師のルカの恋をしている。けれど孤児からの告白が受け入れられるはずもなく、リアナはあっさり失恋してしまった。十八歳になったとき、ついに想いに区切りをつけようとお見合いに臨むことを決めたリアナ。けれどそれを聞いたルカは、お見合い会場までリアナを追ってきて…
「本当は、最初から逃がす気なんてなかったのかもね」
※小説家になろうにも投稿しています
田舎娘をバカにした令嬢の末路
冬吹せいら
恋愛
オーロラ・レンジ―は、小国の産まれでありながらも、名門バッテンデン学園に、首席で合格した。
それを不快に思った、令嬢のディアナ・カルホーンは、オーロラが試験官を買収したと嘘をつく。
――あんな田舎娘に、私が負けるわけないじゃない。
田舎娘をバカにした令嬢の末路は……。
破壊神になり損ねた男
拓海のり
ファンタジー
アシルは魔法学校を卒業して魔道具師になった。だが平民のアシルは、就職した国の魔道具課では魔道具の倉庫に勤務することになった。魔道具の倉庫にある廃材で作った魔道具は、全て上司に奪われた。再投稿のような気もするようなしないような、書き直して一万五千字くらいの短編です。
婚約者の兄に妃にして欲しいと頼んだら
にゃみ3
恋愛
子爵令嬢でありながら、第二王子の婚約者という輝かしい地位を手に入れたフレイア。
彼女が築き上げた全ては、ある日突然覆された。
「悪いが、婚約は解消だ。僕は彼女と婚約することにした。安心しろ、お前のことはいずれ側室に迎えてやろう」
そう告げた婚約者の隣には、王子の婚約者として相応しく、生まれながらにして高位の身分を持つ侯爵令嬢が立っていた。
築き上げてきたものが、音もなく崩れ落ちるのは一瞬のことだった。
状況を上手く飲み込めず、彷徨うフレイアの前に現れたのは、婚約者の実兄である第一王子アルスハインだった。
彼女は、咄嗟に口にした。
「私を妃にしてください」
・・・
10話以内完結でサクッと終わります!
地味な私を捨てた元婚約者にざまぁ返し!私の才能に惚れたハイスペ社長にスカウトされ溺愛されてます
久遠翠
恋愛
「君は、可愛げがない。いつも数字しか見ていないじゃないか」
大手商社に勤める地味なOL・相沢美月は、エリートの婚約者・高遠彰から突然婚約破棄を告げられる。
彼の心変わりと社内での孤立に傷つき、退職を選んだ美月。
しかし、彼らは知らなかった。彼女には、IT業界で“K”という名で知られる伝説的なデータアナリストという、もう一つの顔があったことを。
失意の中、足を運んだ交流会で美月が出会ったのは、急成長中のIT企業「ホライゾン・テクノロジーズ」の若き社長・一条蓮。
彼女が何気なく口にした市場分析の鋭さに衝撃を受けた蓮は、すぐさま彼女を破格の条件でスカウトする。
「君のその目で、俺と未来を見てほしい」──。
蓮の情熱に心を動かされ、新たな一歩を踏み出した美月は、その才能を遺憾なく発揮していく。
地味なOLから、誰もが注目するキャリアウーマンへ。
そして、仕事のパートナーである蓮の、真っ直ぐで誠実な愛情に、凍てついていた心は次第に溶かされていく。
これは、才能というガラスの靴を見出された、一人の女性のシンデレラストーリー。
数字の奥に隠された真実を見抜く彼女が、本当の愛と幸せを掴むまでの、最高にドラマチックな逆転ラブストーリー。
修道院パラダイス
羊
恋愛
伯爵令嬢リディアは、修道院に向かう馬車の中で思いっきり自分をののしった。
『私の馬鹿。昨日までの私って、なんて愚かだったの』
でも、いくら後悔しても無駄なのだ。馬車は監獄の異名を持つシリカ修道院に向かって走っている。そこは一度入ったら、王族でも一年間は出られない、厳しい修道院なのだ。いくら私の父が実力者でも、その決まりを変えることは出来ない。
◇・◇・◇・・・・・・・・・・
優秀だけど突っ走りやすいリディアの、失恋から始まる物語です。重い展開があっても、あまり暗くならないので、気楽に笑いながら読んでください。
なろうでも連載しています。
お兄様の指輪が壊れたら、溺愛が始まりまして
みこと。
恋愛
お兄様は女王陛下からいただいた指輪を、ずっと大切にしている。
きっと苦しい片恋をなさっているお兄様。
私はただ、お兄様の家に引き取られただけの存在。血の繋がってない妹。
だから、早々に屋敷を出なくては。私がお兄様の恋路を邪魔するわけにはいかないの。私の想いは、ずっと秘めて生きていく──。
なのに、ある日、お兄様の指輪が壊れて?
全7話、ご都合主義のハピエンです! 楽しんでいただけると嬉しいです!
※「小説家になろう」様にも掲載しています。