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第7話 竜、楽しく生活する
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「だー♪」
「ぴよっ!」
「ふむ、今日もリヒトは元気そうじゃわい」
赤ん坊を拾ってから数日が過ぎた。
確認したところトワイトが言った通り男の子だった。そこで彼女は輝く未来を与えたいとして、光を意味する言葉である『リヒト』と命名した。
特に病気だということもなく、ディランが作ったベッドの上で元気にミルクを飲んで笑っている。
夫婦が覗き込めるように少し高い位置に作っているのだが、ひよこ達から抗議があり、昇降用の階段と、帰る時に使える滑り台を増設した。
そうしたところ、必ず数時間おきに一羽がやってきて様子を見にくるようになった。
「使命感でもあるのかのう」
「どうしたんですか?」
「いや、ひよこ達がのう。まあ、リヒトが楽しそうじゃからいいか」
「?」
洗濯物を干し終えたトワイトが戻ってきてディランの独り言に反応していた。
ディランはなにか言いたそうだったが話を打ち切ったのでトワイトは首を傾げる。
まあいいかと彼女はテーブルでお茶を飲んでいた彼の正面に座る。
「おしめも嫌がらないし、ミルクも良く飲むから元気ですね。トコト達が構ってくれるから疲れて寝るし、夜泣きも少ないわ」
「確かに。トーニャの時は寝不足だった覚えがあるわい。もう百五十年も前か、懐かしいのう」
彼等には息子と娘が居て、下の子である娘の時は苦労したなとディランは目を細めて茶をすする。
「この子は人間だから百年くらいしか生きられないですし、目いっぱい愛してあげましょうね」
「もちろんじゃ。ワシらが居れば魔物の危険もないしの」
トワイトが少しだけ寂しそうに言い、ディランは優しく微笑んで肯定した。
人と竜では感覚が違い、もらってきたニワトリやひよこ達はそれこそもっと早くに亡くなる。
それが分かっているからこそ、二人は命を大事にするのだった。捨て子をあっさりと育てると決めたのはこういうところも関係していた。
「そういえばあやつらに引っ越したことを伝えておらんかったな」
「あの子達ももう立派なドラゴンですし、大丈夫でしょう。里のドラゴンが説明してくれますよ。さ、そろそろお散歩に行きますよリヒト」
「一日の楽しみじゃからの」
「あー♪」
「ぴよぴよ」
トワイトもお茶を飲み干すと立ち上がってリヒトを抱っこする。散歩だと気づいたひよこのトコトも滑り台でスイーっと床に降りて足元に来る。
「こけ」
「ぴよ」
「ぴ」
残りのペット達もやってきて散歩の準備が整うと、みんなで外へ行き散歩が始まる。
ルートは適当で川に行ってみたり、木の実を取るついでに山奥へ行くこともある。
「そういえばまだ村には行っていませんね。今度、採った果物をお土産にして挨拶に行きましょうか」
「リヒトを見せたいんじゃろ……」
「ええ♪ お隣さんだし、みなさんに挨拶をしないとねリヒト」
「だーうー」
トワイトがリヒトの手を取ってディランへ振る。そこで彼は顎に手を当てて口を開いた。
「とりあえずワシらは父ちゃんと母ちゃんでええんじゃろか」
「え、そこですかあなた? どっちでもいいと思いますけど……両親の方が将来この子が勘違いしなくていいかもしれませんね」
「じゃな。ワシにも抱っこさせてくれ」
「あうー!」
「あたた、髭を引っ張るんじゃない」
顔を近づけると元気よくディランのあご髭を引っ張るリヒト。それを見てトワイトが朗らかに笑っていた。
「こけ!」
「ぴよぴよ!」
「あーうー」
「なんじゃい。遊びたいのか?」
「そうみたいですね。少しその辺で休憩しましょうよ」
着いてきたペット達が自分たちも混ぜろと抗議の声を上げていた。トワイトがその辺にあった石を椅子にして休もうと提案し適当に腰かけた。
「ぴよっ」
「あー♪」
「こけー」
「だうー」
ディランに抱っこされているリヒトにジェニファーやひよこのレイタが服や手をくちばしで軽く突いていた。
それが楽しいのかリヒトは終始笑顔だった。
「あう……」
「む?」
「ぴよ?」
しばらく遊ばせていると、リヒトが不機嫌そうな顔になる。訝しんだディランとひよこのソオンをよそに、トワイトがリヒトを抱き上げてあまり汚れていない岩の上に寝かせた。
「おむつか」
「ええ。この子、泣かないけど顔に出るのよね」
「なるほどのう。覚えておこう」
そんなやり取りをしながらトワイトが持っていたカバンからおむつを取り出し、おしりを拭いてから取り替えてやった。
その間はリヒトの顔の横で三羽がキレイに並んで見守っており、そっちに気を取られているせいか大人しかった。
「はい、終わり。きれいになったわねえ」
「きゃっきゃ♪」
「ぴーよ♪」
おむつを取り替えられたリヒトは再び笑顔でひよこのトコトを撫でていた。
「ではもう少し歩いて帰るとするかのう?」
「そうですね。でも今日はお天気が良くて気持ちいいですよ」
「なら今日は山頂にまで行ってみるか。ほら、お前達はそこまで歩けんじゃろ、連れていくから乗るのじゃ」
「こけー」
ディランが手を出すとペット達は手の中に納まっていく。
そして山頂までいき、優雅な景色を見ながら『あそこが村だ』とか『人間の王が居るのはあそこか』といった話をリヒトに聞かせていた。
やがてお昼になると下山し、家でのんびり過ごすのだった。
特に稼ぐための仕事もしないため、こんなゆったりとして楽しく過ごすことができるのだった。
「ぴよっ!」
「ふむ、今日もリヒトは元気そうじゃわい」
赤ん坊を拾ってから数日が過ぎた。
確認したところトワイトが言った通り男の子だった。そこで彼女は輝く未来を与えたいとして、光を意味する言葉である『リヒト』と命名した。
特に病気だということもなく、ディランが作ったベッドの上で元気にミルクを飲んで笑っている。
夫婦が覗き込めるように少し高い位置に作っているのだが、ひよこ達から抗議があり、昇降用の階段と、帰る時に使える滑り台を増設した。
そうしたところ、必ず数時間おきに一羽がやってきて様子を見にくるようになった。
「使命感でもあるのかのう」
「どうしたんですか?」
「いや、ひよこ達がのう。まあ、リヒトが楽しそうじゃからいいか」
「?」
洗濯物を干し終えたトワイトが戻ってきてディランの独り言に反応していた。
ディランはなにか言いたそうだったが話を打ち切ったのでトワイトは首を傾げる。
まあいいかと彼女はテーブルでお茶を飲んでいた彼の正面に座る。
「おしめも嫌がらないし、ミルクも良く飲むから元気ですね。トコト達が構ってくれるから疲れて寝るし、夜泣きも少ないわ」
「確かに。トーニャの時は寝不足だった覚えがあるわい。もう百五十年も前か、懐かしいのう」
彼等には息子と娘が居て、下の子である娘の時は苦労したなとディランは目を細めて茶をすする。
「この子は人間だから百年くらいしか生きられないですし、目いっぱい愛してあげましょうね」
「もちろんじゃ。ワシらが居れば魔物の危険もないしの」
トワイトが少しだけ寂しそうに言い、ディランは優しく微笑んで肯定した。
人と竜では感覚が違い、もらってきたニワトリやひよこ達はそれこそもっと早くに亡くなる。
それが分かっているからこそ、二人は命を大事にするのだった。捨て子をあっさりと育てると決めたのはこういうところも関係していた。
「そういえばあやつらに引っ越したことを伝えておらんかったな」
「あの子達ももう立派なドラゴンですし、大丈夫でしょう。里のドラゴンが説明してくれますよ。さ、そろそろお散歩に行きますよリヒト」
「一日の楽しみじゃからの」
「あー♪」
「ぴよぴよ」
トワイトもお茶を飲み干すと立ち上がってリヒトを抱っこする。散歩だと気づいたひよこのトコトも滑り台でスイーっと床に降りて足元に来る。
「こけ」
「ぴよ」
「ぴ」
残りのペット達もやってきて散歩の準備が整うと、みんなで外へ行き散歩が始まる。
ルートは適当で川に行ってみたり、木の実を取るついでに山奥へ行くこともある。
「そういえばまだ村には行っていませんね。今度、採った果物をお土産にして挨拶に行きましょうか」
「リヒトを見せたいんじゃろ……」
「ええ♪ お隣さんだし、みなさんに挨拶をしないとねリヒト」
「だーうー」
トワイトがリヒトの手を取ってディランへ振る。そこで彼は顎に手を当てて口を開いた。
「とりあえずワシらは父ちゃんと母ちゃんでええんじゃろか」
「え、そこですかあなた? どっちでもいいと思いますけど……両親の方が将来この子が勘違いしなくていいかもしれませんね」
「じゃな。ワシにも抱っこさせてくれ」
「あうー!」
「あたた、髭を引っ張るんじゃない」
顔を近づけると元気よくディランのあご髭を引っ張るリヒト。それを見てトワイトが朗らかに笑っていた。
「こけ!」
「ぴよぴよ!」
「あーうー」
「なんじゃい。遊びたいのか?」
「そうみたいですね。少しその辺で休憩しましょうよ」
着いてきたペット達が自分たちも混ぜろと抗議の声を上げていた。トワイトがその辺にあった石を椅子にして休もうと提案し適当に腰かけた。
「ぴよっ」
「あー♪」
「こけー」
「だうー」
ディランに抱っこされているリヒトにジェニファーやひよこのレイタが服や手をくちばしで軽く突いていた。
それが楽しいのかリヒトは終始笑顔だった。
「あう……」
「む?」
「ぴよ?」
しばらく遊ばせていると、リヒトが不機嫌そうな顔になる。訝しんだディランとひよこのソオンをよそに、トワイトがリヒトを抱き上げてあまり汚れていない岩の上に寝かせた。
「おむつか」
「ええ。この子、泣かないけど顔に出るのよね」
「なるほどのう。覚えておこう」
そんなやり取りをしながらトワイトが持っていたカバンからおむつを取り出し、おしりを拭いてから取り替えてやった。
その間はリヒトの顔の横で三羽がキレイに並んで見守っており、そっちに気を取られているせいか大人しかった。
「はい、終わり。きれいになったわねえ」
「きゃっきゃ♪」
「ぴーよ♪」
おむつを取り替えられたリヒトは再び笑顔でひよこのトコトを撫でていた。
「ではもう少し歩いて帰るとするかのう?」
「そうですね。でも今日はお天気が良くて気持ちいいですよ」
「なら今日は山頂にまで行ってみるか。ほら、お前達はそこまで歩けんじゃろ、連れていくから乗るのじゃ」
「こけー」
ディランが手を出すとペット達は手の中に納まっていく。
そして山頂までいき、優雅な景色を見ながら『あそこが村だ』とか『人間の王が居るのはあそこか』といった話をリヒトに聞かせていた。
やがてお昼になると下山し、家でのんびり過ごすのだった。
特に稼ぐための仕事もしないため、こんなゆったりとして楽しく過ごすことができるのだった。
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