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第8話 竜、また村へ行く
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「すぴー」
「こけー」
「ぴよー」
寝る子は育つという言い伝えが合っているかは分からないが、今日もリヒトはペット達に囲まれてよく眠っていた。
その間に洗濯や掃除を片付けるのがディランとトワイトの日課である。
「婆さんや、裏の洞窟を見に行ってくるがなにか居るかのう」
「竜の実とミルクをお願いできますか?」
「ん? 冷やしていた分はもうないぞい」
「あら、もうですか」
キッチンにいたトワイトに洞窟の整理をしてくると言ったディランにオーダーをしたところ、ミルクを所望された。
しかし冷蔵していた在庫も無いことを告げるとトワイトが目をぱちくりして頬に手を当てて驚いていた。
「まだあったと思ったんですけど、リヒトの飲みっぷりが凄いのね」
「ワシらも飲んでおるし、早かったわい。ふむ、なら今日は村へミルクを買いに行くかのう」
「あ、そうですね。お散歩がてら行きましょうか。起こしてしまうかしら」
「ぴよ……?」
「すぴー」
家に置いて行くわけにはいかないのでトワイトがそっとリヒトを抱きあげた。
それに気づいて目を覚ましたトコトはすぐにリヒトを伝いトワイトの肩へと移動する。
「あら、あなたは行くの? ジェニファー、お留守番をお願いね」
「こけ」
ソファに鎮座して、残りの眠っているひよこを温めているジェニファーが深く頷いていた。こちらも起こしたくないようである。
「では行くか」
ディランが先に家を出て、ミルクを貰うための大きなタルを抱えて言う。
これに詰めてもらい家や洞窟の中にある冷蔵倉庫へ入れておくのだ。
「アイスドラゴンの生え変わった角じゃけどあの塊は便利じゃのう」
「食べ物を冷やせると長持ちしますからね」
その仕組みは古い友人の角だった。人間の間では永久結晶とも呼ばれており、超レアなアイテムだったりする。
ドラゴンの彼等には珍しくないので適当に置いていて涼しいと感じるもの程度である。
「リヒトを拾ってからは行っておらんかったな」
「そういえばお金を用意していませんでしたね。どうしましょう」
「また宝石でええじゃろ」
「ぴーよー」
てくてくと山道を下っていく二人はまたお金が無かったと話していた。トコトは空を飛んでいる鳥に向かって鳴いていた。
すると――
「ケェェェェ!!」
「む?」
「ぴよ!?」
飛んでいた鳥は魔物で、トコトの鳴き声に反応して急降下してきた。美味しそうなひな鳥が自分から餌になりにきたと意気揚々と突っ込んで来たのだ。
しかし一緒に居るのがただの人間ならそれで餌にありつけたのだが、ここに居るのは二千五百年は生きているドラゴンである。
「おっと」
「ゲガ!?」
鳥はトワイトの肩に居るトコトに届く前に腕だけを竜化したディランに殴られて絶命した。
「あら、まあまあ大きなアロウイーグルですね。これをお土産にミルクを譲ってもらえないかしら」
「交渉してみるかのう」
「ぴっ……ぴよ……」
夫婦が暢気に話をする中、狙われたトコトはトワイトの肩でぷるぷると震えていた。
「怖かったわねえ。リヒトの懐に入っておきなさい」
「ぴー」
「むにゃ……」
トワイトが笑いながらリヒトの懐へトコトを入れると、一息ついたように鳴いた。
まだリヒトは起きないので、そのまま村まで歩いて行く。
後は特になにもなく、前回と同じ村の門番が居たのでディランが挨拶をした。
「久しぶりじゃのう」
「おや、あんたは! 久しぶり……って赤ちゃん!? 産まれたのかい。お腹は大きくなかったような……」
「まあ、色々あってのう。すまんが、今日はミルクを分けて欲しいと思って来た次第じゃ。こいつと交換してくれる者を探してくれんか?」
ディランは適当に話を流してからアロウイーグルをサッと見せると、門番の男はぎょっとして目を見開いた。
「でかい!? あんたが獲ったのか?」
「来る途中、ひよこを狙って襲って来たからちょっと叩きのめしてやったわい」
「マジか……って武器もないのに倒したのかよ?」
「そうじゃけど?」
「ええー……まあ、入ってくれ。ミルクと交換ならドカのところへ行ったらいい」
なにが問題なのか分からないと言った感じでディランが答えると男は冷や汗をかきながら門を開けてくれた。
「ありがとうございます」
「ドカじゃな」
「おう、その辺の誰かに聞けばわかるぜ」
門番は気を取り直して二人を招き入れてそんなことを言う。ディランが名前を再確認して奥へと進んだ。
「ぴよっ」
「トコトは久しぶりの村だったわね。おばさまのところへも行きましょう」
「ぴー♪」
「ふえ……」
トワイトがトコトへ告げると嬉しそうに鳴いていた。しかし胸元でもぞもぞしていたのでリヒトが目を覚ました。
「ぴ! ぴよ……」
「ふあ……? あー♪」
「あら、起きちゃった?」
泣かないようにとリヒトの頬にすり寄っていくトコト。トワイトも起きたリヒトにキスをしていた。その様子を尻目にディランがちょうど近くに居た村人へ声をかける。
「すまん、ドガという者がミルクを分けてくれると聞いたのじゃが」
「お、この前の御夫婦か! ドガの家はあそこに見える茶色の屋根の家だよ。……でかい獲物だな……」
「こいつは美味いし交換してもらえんかと」
「いいなあ。またなんか獲れたらウチの羊毛とも交換してくれよ」
「羊毛いいですね」
お布団を作ろうかしらとトワイトのテンションが高くなっていた。年寄りらしく裁縫が好きなので材料はいくらでも欲しいのである。
そして案内された家へ行く途中、ジェニファー達を分けてくれたおばさんに遭遇する。
「こけー」
「ぴよー」
寝る子は育つという言い伝えが合っているかは分からないが、今日もリヒトはペット達に囲まれてよく眠っていた。
その間に洗濯や掃除を片付けるのがディランとトワイトの日課である。
「婆さんや、裏の洞窟を見に行ってくるがなにか居るかのう」
「竜の実とミルクをお願いできますか?」
「ん? 冷やしていた分はもうないぞい」
「あら、もうですか」
キッチンにいたトワイトに洞窟の整理をしてくると言ったディランにオーダーをしたところ、ミルクを所望された。
しかし冷蔵していた在庫も無いことを告げるとトワイトが目をぱちくりして頬に手を当てて驚いていた。
「まだあったと思ったんですけど、リヒトの飲みっぷりが凄いのね」
「ワシらも飲んでおるし、早かったわい。ふむ、なら今日は村へミルクを買いに行くかのう」
「あ、そうですね。お散歩がてら行きましょうか。起こしてしまうかしら」
「ぴよ……?」
「すぴー」
家に置いて行くわけにはいかないのでトワイトがそっとリヒトを抱きあげた。
それに気づいて目を覚ましたトコトはすぐにリヒトを伝いトワイトの肩へと移動する。
「あら、あなたは行くの? ジェニファー、お留守番をお願いね」
「こけ」
ソファに鎮座して、残りの眠っているひよこを温めているジェニファーが深く頷いていた。こちらも起こしたくないようである。
「では行くか」
ディランが先に家を出て、ミルクを貰うための大きなタルを抱えて言う。
これに詰めてもらい家や洞窟の中にある冷蔵倉庫へ入れておくのだ。
「アイスドラゴンの生え変わった角じゃけどあの塊は便利じゃのう」
「食べ物を冷やせると長持ちしますからね」
その仕組みは古い友人の角だった。人間の間では永久結晶とも呼ばれており、超レアなアイテムだったりする。
ドラゴンの彼等には珍しくないので適当に置いていて涼しいと感じるもの程度である。
「リヒトを拾ってからは行っておらんかったな」
「そういえばお金を用意していませんでしたね。どうしましょう」
「また宝石でええじゃろ」
「ぴーよー」
てくてくと山道を下っていく二人はまたお金が無かったと話していた。トコトは空を飛んでいる鳥に向かって鳴いていた。
すると――
「ケェェェェ!!」
「む?」
「ぴよ!?」
飛んでいた鳥は魔物で、トコトの鳴き声に反応して急降下してきた。美味しそうなひな鳥が自分から餌になりにきたと意気揚々と突っ込んで来たのだ。
しかし一緒に居るのがただの人間ならそれで餌にありつけたのだが、ここに居るのは二千五百年は生きているドラゴンである。
「おっと」
「ゲガ!?」
鳥はトワイトの肩に居るトコトに届く前に腕だけを竜化したディランに殴られて絶命した。
「あら、まあまあ大きなアロウイーグルですね。これをお土産にミルクを譲ってもらえないかしら」
「交渉してみるかのう」
「ぴっ……ぴよ……」
夫婦が暢気に話をする中、狙われたトコトはトワイトの肩でぷるぷると震えていた。
「怖かったわねえ。リヒトの懐に入っておきなさい」
「ぴー」
「むにゃ……」
トワイトが笑いながらリヒトの懐へトコトを入れると、一息ついたように鳴いた。
まだリヒトは起きないので、そのまま村まで歩いて行く。
後は特になにもなく、前回と同じ村の門番が居たのでディランが挨拶をした。
「久しぶりじゃのう」
「おや、あんたは! 久しぶり……って赤ちゃん!? 産まれたのかい。お腹は大きくなかったような……」
「まあ、色々あってのう。すまんが、今日はミルクを分けて欲しいと思って来た次第じゃ。こいつと交換してくれる者を探してくれんか?」
ディランは適当に話を流してからアロウイーグルをサッと見せると、門番の男はぎょっとして目を見開いた。
「でかい!? あんたが獲ったのか?」
「来る途中、ひよこを狙って襲って来たからちょっと叩きのめしてやったわい」
「マジか……って武器もないのに倒したのかよ?」
「そうじゃけど?」
「ええー……まあ、入ってくれ。ミルクと交換ならドカのところへ行ったらいい」
なにが問題なのか分からないと言った感じでディランが答えると男は冷や汗をかきながら門を開けてくれた。
「ありがとうございます」
「ドカじゃな」
「おう、その辺の誰かに聞けばわかるぜ」
門番は気を取り直して二人を招き入れてそんなことを言う。ディランが名前を再確認して奥へと進んだ。
「ぴよっ」
「トコトは久しぶりの村だったわね。おばさまのところへも行きましょう」
「ぴー♪」
「ふえ……」
トワイトがトコトへ告げると嬉しそうに鳴いていた。しかし胸元でもぞもぞしていたのでリヒトが目を覚ました。
「ぴ! ぴよ……」
「ふあ……? あー♪」
「あら、起きちゃった?」
泣かないようにとリヒトの頬にすり寄っていくトコト。トワイトも起きたリヒトにキスをしていた。その様子を尻目にディランがちょうど近くに居た村人へ声をかける。
「すまん、ドガという者がミルクを分けてくれると聞いたのじゃが」
「お、この前の御夫婦か! ドガの家はあそこに見える茶色の屋根の家だよ。……でかい獲物だな……」
「こいつは美味いし交換してもらえんかと」
「いいなあ。またなんか獲れたらウチの羊毛とも交換してくれよ」
「羊毛いいですね」
お布団を作ろうかしらとトワイトのテンションが高くなっていた。年寄りらしく裁縫が好きなので材料はいくらでも欲しいのである。
そして案内された家へ行く途中、ジェニファー達を分けてくれたおばさんに遭遇する。
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